風琴密室

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041076569

作品紹介・あらすじ

忍棚村に暮らす高校生の凌汰は、夏休みのバイトとして幼馴染みたちと廃校の小学校を片付けていた。そこへ東京から2人の女子高校生が訪ねてくる。ひとりは、6年前の一時期この小学校に通い、すぐに引っ越していった「雨ちゃん」だった。凌汰の脳裏に、兄・コーちゃんと雨ちゃんと3人で遊んだひと夏が甦る。コーちゃんの「事故」で、思い出は悲しい記憶に変わったのだが――。再会に盛り上がる凌汰たちはそのまま廃校に宿泊することになり、修学旅行の夜のような時間を過ごす。しかし翌朝、幼馴染みの四條がプールに沈んでいるのが見つかり――。犯人の名が明かされるとき、世界は一変する。二度読み必至の青春本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 小学五年生のリョータの住む忍棚村に雨田菫(雨ちゃん)という女の子が転校してきて仲間になります。

    仲間は六年生の兄のコーちゃんと同じく六年のうがっち、五年生のハタ、四條、畠山の六人プラス雨ちゃんで、アジトを作って遊び、またアメリカのサクラメントに引っ越してしまう雨ちゃんの為にリョータたちは蛍の星を作ろうとします。

    しかし、雨ちゃんが引っ越した後、コーちゃんは川に溺れ溺死してしまいます。

    六年後、<廃校に泊まろう!>というイベントで小学校を片付けていた高校二年生のリョータたち六人と庄子香奈。そこへ殺人事件が起きそうな写真を撮りに来た雨ちゃんと友人の立原美空がやってきて偶然再会します。

    その夜はそこでバーベキューをして盛り上がりますが、台風がやってきて皆、帰れなくなり、その日はそこに泊まることになります。
    信州からやってきた大学生の風沢も一緒に泊まることになります。

    その夜、そこで起こった廃校の密室殺人。
    二人の仲間が死亡します。
    風沢とリョータがその謎を解いていきます。

    謎には六年前のコーちゃんの死が関わっています。
    リョータが雨ちゃんを想っていた気持ちと(リョータは雨ちゃんがコーちゃんを好きだったのだと思っています)雨ちゃんの気持ちが交差するところが切なかったです。

  • 高2の夏休み、廃校になった母校の小学校の片付けバイトの最中に凌汰と幼馴染達は6年前の小5の時に3ヶ月で転校してしまった雨田菫と再会する。盛り上がって皆でバーベキューを開催。そして台風が近付く中一夜を廃校で過ごすが、次の日の朝暴風雨の中一人が屋上のプールに浮かび…。雨田との出会いと別れ、秘密基地からの兄の消失が語られる小学校時代とか再会してからのやり取りとかはノスタルジックな雰囲気が良い。仲間達と廃校に泊まるとかもわくわくする。過去現在の密室ズも凝っているし特に秘密基地の方は仕掛けた理由含め光ってる。しかし犯人はすぐぴんとくるのはいいとするけど、判明時のあの行動はなんだ?その前段階じゃ駄目だったのか?

  • 小5と小6の兄弟、良太と昴星のパートは、児童文学みたいでほのぼのしている。東京からの転校生・雨を交えた三人の冒険の日々が楽しい。それだけに事故は痛ましい。
    そして六年後に起きた事件。村で育った幼なじみたちの和気藹々とした作業と事件のギャップが辛い。

    ただね。表記…… 校正者泣かせの割にそこまで意味あるのかな。

  • これは…すごく面白かったけど、途中でずっとアレに気になってたので犯人がすぐ分かってしまったというか…。まあフォントは仕方ないですよね…。
    でもこう甘酸っぱい田舎の小学生男子の思い出とか、密室の謎解きとか、最後の雨ちゃんのドンデン返しとか、その辺りはすごく面白かったので良し。
    暗号使うのかと思ったけど、そんなことは全くなかったなー

  • 面白い。小説でしかできない。映像化なんてしなくていい。雨ちゃんせつない。
    ラストゾクゾクする。

  • 高2の夏休み凌汰と幼馴染が廃校になった母校の小学校で掃除バイトをしていると東京から2人の女子高生が訪れ、彼女達の1人が小5で3ヶ月だけ一緒に遊んだ雨田菫だった。田舎でのノスタルジックな思い出そして兄コーちゃんの事故死が甦る。その夜台風が廃小学校をクローズドサークルとし幼馴染が殺される。
    早い段階で作者の意図に気付きふたつの密室トリックより動機が気になる。表記の混同混乱がわかってしまうと種明かしを待つだけだ。ヒロインのどんでん返しはミステリーとは関係なく物語を綺麗に終わらせるスパイスか。
    ★★★✩✩ 3.0

  • 二つの川が交わる風光明媚な村に暮らす小学生の兄弟、そこにほんの三ヶ月だけ引っ越してきた少女。彼らの友情を描く第一部は、とある悲劇で幕を閉じる。それから数年、高校生の凌汰は夏休みのバイトとして幼馴染みたちと廃校の小学校を片付けていた。そこへ東京から二人の女子高校生が訪れる。ひとりはかつて友情を育んだ少女「雨ちゃん」だった。再開した彼らはとある事情から廃校に宿泊するのだが、そこで再び悲劇が幕を上げる。
    青春と密室。著者の持ち味は今回も期待どおりに鋭い。青春は風が吹き抜けるように爽やかでどこかノスタルジックで甘酸っぱい。そこに張り巡らされた伏線と密室トリック。その謎の強度は決して強力ではなく、手探りで組み立てて解ける丁度よいレベルのパズルだが、物語との親和性は高く、解る快感とエモーショナルな心の揺れが絶妙にシンクロする。
    とある点においてその必然性への批判は想定でき、そこが評価の分かれ目になることは避けられないと思われるが、好みを明確に分かつ一方でハマれば手放しに褒めたくなる。
    またノンシリーズだが、同じように「密室」を冠する『夕暮れ密室』に通じる犯人の造形なども、これまた好みを分けるところであろうが、好きな人はたまらないだろう。
    個人的には青春には徹底的に光属性と闇属性があると思う。爽やかさやエモさ切なさなど青春を彩る要素は多岐に渡るが、それを明るくまとめ上げるものもあれば、どこか影が差す物もある。『夕暮れ密室』は闇属性だなと思ったのだが、この作品には闇を感じながらも光も感じ、どうにも不思議な余韻が残った。
    タイトルも内容も風に彩られているだけに、清らかで優しい顔と邪悪で荒々しい顔とを併せ持った風のような青春ミステリだった。

  • 読みづらい。
    第一章を読み切るのもしんどかった。
    内容が全然頭に入って来ない。

  • いやはや、こじつけ感が何とも…
    こんなんで人殺していたら、人類滅亡じゃん。

  • 過去の思い出が引き起こしたとある事件のお話。
    密室と孤立のワードだけでもワクワクしながら読めました。
    風沢さんはいったい何者なのか気になりました。

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著者プロフィール

1973年京都府生まれ。成城大学文学部卒業。2004年に『風の歌、星の口笛』で、第24回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。他、著作に『修学旅行は終わらない』、『校庭には誰もいない』、『フェイバリット・シングス』などがある。

「2022年 『風琴密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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