小説 シライサン (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1124
感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041087602

作品紹介・あらすじ

親友の変死を目撃した女子大生・瑞紀の前に現れたのは、同じように弟を亡くした青年・春男だった。何かに怯え、眼球を破裂させて死んだ二人。彼らに共通していたのはある温泉旅館で怪談を聞いたことだった。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの乙一さん作品。
    この話を聞いたら呪われる伝染系ホラー。
    ありがちな怪談のようで、丁寧な描写が読み手の想像力を掻き立て時折、背後が気になるほど。
    どこかノスタルジックで、綺麗な山の景色や温泉街が目に浮かび、瑞希と春男のその後の二人も気になってしまった。

  • 救いがあるのか、ないのか、最後まで緊張感ありました。

  • 自己責任系と言われる怪談は怖いけれど怖がらせ方が卑怯だなと思ってしまう。『シライサン』を読んでいる時についに乙一も世俗にまみれたと思いかけたけれど笑、この作品の怖さはそこではなかったなあと。やっぱり乙一は乙一です。
    自己責任系的な話はストーリーの中に登場するだけで五章が全てです。本当に怖いのは幽霊ではなくて人の心。

  • タイトルから怖くて面白そうだと思い読んでみた。伝染系ホラー。このタイプはリアルで面白いが、思っていたほど怖くなくて物足りなかった。もっと面白そうだと思っていただけに、期待外れ。ただやっぱりこういった怪談話の伝染系はリアルで面白いと実感した作品。乙一さんの他の本も興味深いです。

  • 著者・乙一が本名・安達寛高名義で監督し脚本も手掛けた同タイトル映画のノベライズ。

    泊りがけの旅で若者が何人か集まれば、しばしば行われるのが怪談だ。夏の夜など、暗い中でそれぞれが持ちネタを披露する。こういう時に盛り上がるのが、「巻き込み型」のものではないだろうか。例えば、トイレに現れる幽霊が、紙を探していて、「この紙じゃない。この紙じゃない・・・。この髪だー」と居合わせた誰かの髪をいきなり掴む、などというのは定番だろう。

    本作品もある意味、巻き込み型の怪談なのだが、怖ろしいのは聞いていた者が本当に呪われてしまうこと。話自体は比較的他愛無いものである。
    異形の女がいる。男の後をつけてくる。お前は誰だと聞くと、女は名乗る。なぜ後をつけてくるのかと男が聞くと、女は「お前が私の名を知っているからだ」という。男は「それは俺だけじゃないだろう。別のやつのところに行け」という。それは誰だ、と女が問うと、男は、いや語り手は言う。今、この話を聞いているお前! 次はお前だ!!
    普通ならひゃー!と飛び上がって終わる。
    しかし、この話はそこでは終わらない。
    実際、この怪談を知ってしまったものが、後日、一人、また一人と惨殺されていく。

    主人公、瑞紀はやや内気な女子大生。大学でようやくできた友達の香奈が、目の前で異常な死を遂げる。怯え、落ち込む瑞紀の前に、鈴木春男と名乗る男が現れる。春男の弟、和人も同じように異常な死を遂げていたのだ。
    香奈と和人は同じバイト先で働いていた。もう1人、同じくバイトの詠子と3人で親しくしていたらしい。
    瑞紀と春男が詠子の元を訪れると、詠子は3人で行った旅先で聞いた不審な怪談の話をし始める・・・。

    怪談の元をたどるといささか根の深いものであることがわかってくる。詠子の身も無事ではなさそうだったが、怪談を詳しく知ってしまった瑞紀や春男も徐々に事件に巻き込まれていく。
    この事件に興味を持ったジャーナリストの間宮とともに、一連の事件の謎に迫ろうとする2人だったが・・・。

    口裂け女などの都市伝説の趣もありつつ、昭和初期の因習や禍々しさも絡め、雰囲気のあるホラー。
    ちょっとおもしろいのは、この怪談がネットで徐々に広まっていく展開。2人はこれを逆手にとって、呪いの元の「邪気」と闘おうともする。昭和の怪談にはありえない発想だろう。
    実際、ネットには怪談が山ほど転がっていそうだが、中には本当に「ヤバい」ものがあるかもしれないからご用心・・・!

    ラストに向かって事件は意外な様相を見せる。禍々しい女に縁のあるものが、実は2人のすぐそばに。だが2人はそれに気づかない。事件自体も完全に解決することはなく、独特の余韻を残して終わる。
    次に呪われるのは、あなたかもしれない・・・。


    <以下、ホラーをあまり読みなれない一読者の蛇足的ボヤキです>
    途中まで、や、怖いじゃん!?と思いながら読んでいたのですが、ちょっと引っかかってしまったのです。
    カバー裏にもあるので、ネタバレではないと思うのですが、呪われた人の死に方。心臓が止まると同時に、眼球が破裂する、というのですが。え、それって一体どういうこと?? 一応、死因自体は心不全とされているのですね。けど、それが一因で何でかわからないけど、眼球が粉々に飛び散ると。心臓が止まる原因が、体内の圧の変化とかであれば、眼球が飛び出すことはあっても、粉々になることはなくない?? もしそんなに粉砕されてしまうとしたら、眼球の真ん中に異常な圧が掛かるってことじゃない? そんなことってあるの?? それ心不全とはまったく関係なくない?? そもそも著者さんは何でそんな設定を思いついたのか?
    ・・・いやまぁいきなり心不全ということ自体も理屈では説明できないわけですが(^^;)。
    何かそこが気になって以降はあんまり怖くなくなってしまいw
    ・・・しかし、これ、多分、映像で見るとめちゃくちゃ怖いんじゃないかと思うのですよね。なんだかんだいってビビりなので、映画は多分、見ないと思います(^^;)。

  • とある温泉旅館で怪談話を聞いた人が次々に亡くなる。しかも眼球を破裂させて……
    土着信仰も絡めた無差別系伝染ホラー。あるある設定かもしれないけど、こういうジャパニーズホラーがシンプルに怖い。

  • ホントにこれがあの乙一さんの作品なのだろうか。
    どうしちゃったの?

  • ベッドで寝る前に読んでいたから、怖かった。でも、みんなだんだん巻き込まれていく感じが好きです。

  • 面白かったー
    夜に一人で読むと怖いし良い感じ〜

    貞子を彷彿させられる内容で、さらに目が破裂とかグロいしそこが尚よし!

    瑞紀と春男が死ななくて良かった。

  •  読み終わった印象は小さいがまとまっている。
     インパクトある死、呪いの広がり方、呪いの影響、調査、対策、物語の発端、シライサンとは。と呪いモノのホラーに必要なのものが一通り揃っており映画をイッポン見たような満足感がある。
     ただ面白いがこじんまりとしすぎている。丁寧に呪いと調査を描いていて物語がしっかりしてるが、意外性が足りなく物足りなさも感じる。
     ただ拡散した呪いをどうするかという点は良かった。現代的で考察が光る。
     呪いについて調べていくホラーを読みたいなら間違いなくオススメ。普通の文庫に比べれば短めなので手軽に読める

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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