凶犬の眼 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.92
  • (184)
  • (342)
  • (185)
  • (24)
  • (4)
本棚登録 : 2561
感想 : 220
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041088968

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 極道の世界の人間関係が複雑で確認しながら読んだ。警察もヤクザも根底では同類なんだ。似た者同士。

  •  孤狼の血が大好きで、続編の本作は必ず読みたいと思っていた。

     今回もしびれた。極道の世界と警察官との関わりを巧みに描いた物語。一気にのめり込めた。

     日岡刑事。心和会の国光。どちらも文句なしにカッコ良い。

    続編である暴虎の牙。読むのが楽しみ。

     

  • 映画化もされた『孤狼の血』の続編。

    『孤狼の血』は、映画で役所広司が演じた破天荒な刑事・大神のキャラが魅力の過半を占めるような作品であった。

    暴力団と癒着した野卑で薄汚い悪徳刑事にしか見えなかった大神が、物語の進行とともに真の姿を見せ、カッコよく思えてくる――そこにこそ最大の魅力があったのだ。

    が、『孤狼の血』で大神は死んでしまったから、彼の一番弟子たる若き刑事・日岡(映画では松坂桃李が演じた)を主人公にしたこの続編は、地味にならざるを得ない。

    じっさい、ケレン味たっぷりだった『孤狼の血』に比べると、地味な作品ではある。ストーリーの過半は日岡が飛ばされた山間地の駐在所周辺で展開されるから、その点も地味だし……。

    だが、地味だからつまらないかといえばそんなことはなく、面白さでは正編と甲乙つけがたい。

    副主人公となるヤクザ・国光のキャラも立っていて魅力的だし、日岡に想いを寄せる田舎の女子高生・祥子の描き方もよい。

    『孤狼の血』がド派手な原色の魅力だとしたら、この『凶犬の眼』にはいぶし銀の魅力がある。

    第三作『暴虎の牙』も読む。

  • シリーズ物だったから買った一冊。

    警察官とヤクザの話

    主人公がヤクザと渡り合える警官に成長していた。

    前作での上司のやり方を引き継いたのか、真似したのか

    ヤクザと聞くとならず者のイメージがあるが、この小説に出てくる国光というヤクザは筋の通った昔の任侠だった。

    警察官とヤクザの兄弟分
    ちょっとやりすぎではと思ったが、お互いに信用以上の何かがあったんだと思う。
    すごい関係だ。

    ヤクザ絡みの話だと登場人物が多く関係性がややっこしくなる
    図解があったから理解できたが、なかったらわからなくなったかも

    まだ続きがあるシリーズ。
    次の小説も楽しみなった小説でした。




  • 「狐狼の血」の続編、日岡がいよいよ大上の後継たるべく大きな変貌を遂げます。

    物語は静かに進みますが、筋の通った極道の田上とその仲間がなんとも言えず良い。
    個人的には日岡よりもグッときます。自分はとても極道の世界で生き抜けるほど、生き方に芯も通ってないしタフでもない。社会的には存在も許されるものでもないだろうが、その生き方には憧れる所もある。真の侍はこう言う組織の中にいるのかもしれない。

    物語としては「狐狼の血」の方が良かった印象があるが完結編も楽しみだ。

  • 間違いなく面白い小説なのだが、続編のジレンマというか、物足りなさが拭えない。
    新登場の国光は登場シーン、立て籠りのシーン、そしてラストと見せ場はたっぷりでよいのだが、やはり空虚な気持ちになるのは、それだけ一作目が傑作だったということかもしれない。

  • 前作より好きだ。国光が仁侠ヤクザで、すごくキャラがいい。三部作の最後が楽しみ。

  • まず、これ読むときは絶対に佐方貞人シリーズの検事の信義を読んでからをおすすめします。
    わたしはいわゆる悪役とか不良が好きになれない。テニスの王子様の亜久津仁が中学生でタバコ吸ってるとかそもそも信じられない。だから理由もなく暴力振るうような人間も到底好きになれない。でも、孤狼の血シリーズに出てくるヤクザの面々には、かっこよさを感じてしまう。己を貫く潔さや、仲間や親兄弟を敬う気持ちには、自分の中にはないものを感じて憧れや羨ましさを感じてしまう。きっと日岡の中の己の信ずる道を真っ直ぐに進みたいという気持ちは、そういう忠義に厚いヤクザたちと共鳴するんだろうなあ、と思う。次の作品で完結してしまうのが勿体ない作品だと思う。

  • 前作、虎狼の血よりもこちらの方が面白かった。思ってる人多いと思うんだけど、どうしてこの作品の作家が女性なんだろうかと。でも、よくよく考えてみると女性だからこその面白さかもしれないなとも思えます。より心情的だしより繊細。全ての言葉や行動に意味があるのはひとつ間違えればくどくなるところが、読み終えてもその感情は皆無。秀悦な作品。

  • 柚月裕子の小説「狐狼の血」の2年後を描いた続編(2018年3月単行本、2020年3月文庫本)。
    前作では新米刑事だった日岡が今回主人公。前作の結末で所轄署のマル暴刑事の大上が殺されて相棒だった日岡がその意志を継ぐようなエピローグで終わっていたのに、実際は田舎の駐在に飛ばされてヤクザとは無縁の環境にいたことに何か期待感が募る。そして日本を分断する暴力団抗争が勃発する中で期待通り日岡はその抗争に巻き込まれていく。
    前作で大上刑事が暴力団と癒着しながらも作った人脈や精神が今作につながってストーリー展開されていることがわかり、前作の暴力団関係の重要人物が今回の抗争中心人物と日岡をつなぐ役として登場し、狐狼の血が受け継がれていくことがわかる。
    日本最大の暴力団組長を殺害した今回の暴力団抗争事件の中心人物で最後の任侠と言われる国光寛郎35歳の仁義と警察官日岡秀一27歳の正義が結びつく様の信頼と熱い人情の物語である。
    最後は日岡は田舎の駐在から県警の刑事に引き上げられ、立派なマル暴刑事に戻るのだが、大上刑事と違って暴力団の金に関わらずに暴力団との人脈を作っていくところがいい。大上刑事の血を引き継ぎながら新しい眼を得た日岡刑事の今後の続編があるならば、大上刑事のような悲しい死の結末にならないことを祈りたい。

全220件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
柚月裕子
米澤 穂信
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×