宮廷神官物語 十 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091234

作品紹介・あらすじ

大神官選定が近づく麗虎国。候補に選ばれた鶏冠の側付きとなった天青は、鶏冠の様子がおかしいことに気づく。実は彼には、人に言えない秘密があった。しかも自分のせいで死んだと思っていた弟と再会し……。

感想・レビュー・書評

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  • 大神官選定を前に、藍晶王子の推挙を固辞し続ける、鶏冠。
    彼の秘密を知る苑遊は、ある条件をつきつける。

    予想していた展開とはいえ、鶏冠の苦悩が痛々しい。
    せっかく側書生になったのに、距離を感じる天青も切ない。

    鶏冠の最後の行動は、思い切ったもの。
    悩み続けてしまうのでは、と思っていたので、意外。

    毎回、天青の成長著しいけれど、今回は特に、心身共に成長したことを、強く感じる回。
    この逆境でも、救いの光が残されている気がした。

    本筋から離れたところでは、曹鉄と櫻嵐のロマンスが、ほほえましい。
    このシリーズではレアな恋バナで、今後の進展に期待。

  • 宮廷神官その10。

    前々作の続き。
    鶏冠は死んだと思っていた弟と巡り合えたが、
    鶏冠を憎んでおり、
    元神官で親友でもあった苑遊の手の中にあった。

    弟の生活を知り、
    得意の(?)女装までして
    囚われている弟の恋人を救い出そうとする鶏冠。

    一方、天青は
    大神官になることを苑遊に強要されている鶏冠を救おうと、
    険しい山をハクと目指す。

    変人で田舎者だが、一度読んだ本は忘れない博識な神官が上京し、
    天青たちの師となる。
    懐も深いこの民世が大神官候補となるのだろうか。

  • 苦しい状況になるほど、鶏冠の心の清らかさが際立っているように思います。

  • 黒幕を排除したはずなのに色々と気鬱な問題が
    残っているので残務整理の話かなと思いきや!
    負けた筈の黒幕はむしろここからが本番と言わ
    んばかりの強烈な一撃をくらわしてきた
    手詰まりに見えたが縺れた糸をほぐす重要人物
    が登場!話は佳境になるのだ(/・ω・)/

  • 今回は天青はさほど出てきません。
    天青は天青で、また過酷な旅に出ようとしています。
    この慧眼児、ほんと山育ちでよかったよね!
    気軽に旅に出られる慧眼児じゃなかったら、物語すすまないわ!

    そして櫻嵐。
    これまでもそうだけど、やっぱり格好良すぎるわ。
    惚れるよね。
    女人だからこそ、情報を得ることが何よりの武器であると、語られていますが、
    情報を得るということは、武器であると同時に、あらゆる心労を得るということでもある。
    その心労を、「迷いはあっても悩みなし」として跳ね除けてしまえる強さに格好良さを感じます。

    とはいえ、曹鉄の悩み、天青の心配、
    その受け皿になってくれる櫻嵐の懐の広さ。
    情報を得ることに長けていて、強さもあり、だからこそ、こういう心のうちを打ち明ける相手に選ばれる。
    そしてそれは、男装の姫とはいえ、女性としての柔らかさもまた一役買っているのだろうなと思います。


    ここからはネタバレかな?



    ついに、葉寧と鶏冠が出会います。
    8巻の登場で、鶏冠を憎んでいるんだろうことは想像していましたが、
    直接的に攻撃を仕掛けるほどの憎しみを目の当たりにする再会のシーン。
    そして、憎しみを持っていなければ、生きていけなかったという葉寧の境遇。

    8巻の登場での雰囲気や、麗虎国における隷民への扱いなどから、葉寧が憎しみに駆られて生きることになった経緯や、その憎しみが鶏冠に向いていることも、想像していましたが、
    やっぱり2人が対峙したそのシーンを文字で読んだときには、切なさを感じますね。

    まさに天青が葉寧に言った「待たせるほうは、どうなのかな?」
    『待たせる方も辛いんじゃないのか』ということは、これまで読んできた私たち読者は理解するところですから。


    ひたすらに辛い人生、憎しみの人生
    と思わせていた葉寧に心の拠り所があったということは、本当によかったなぁと、鶏冠のように思います。

    その拠り所を取り返す、という終盤でこの10巻が終了。
    さらに鶏冠の危機。
    この危機があることで、葉寧との和解になったらいいんだけど。。。

    表紙の2人のように、微笑んで穏やかに過ごせる日が来るといいね。

  • 記録

  • 藍晶王子が世継ぎに決まり、いよいよ大神官選定へ。
    そういやそのための慧眼児探しからこの物語は始まったんだったな。
    苑遊がますます化物じみてきた。
    死んだと思っていた鶏冠の弟である葉寧を取り込む。
    葉寧と天青も邂逅する。
    ずっと待っていた迎えが来なくて諦めるのはしんどいし歪んでしまうよね。
    そしてなんだかんだで今回も鶏冠は女装する。
    因みにハクの名前を天青がつけたとあったが、考えたのは鶏冠では? 天青が決めたから間違いではないのかもしれないが。

  • もう、この表紙見るだけで切ない…。なんでだなんでこんなにままならないんだー。櫻嵐の存在は貴重。

  • 死んだとばかり思っていた鶏冠の弟が生きていて、その弟のために鶏冠はまたまた痛い目に遭う。
    どれだけ痛めつけられても、人のきれいな部分を信じ続けられる心を持ったままでいられるなんて、どれほど強いんだろうと思う。

    苑遊の目的はどこにあるのだろう。


    関係ないけど、櫻嵐と曹鉄がくっつけー!くっつけー!と念を送りながら読んでいる。しかし、その想いはまだ通じない。

  • 2020/7/24

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著者プロフィール

東京都出身。おもにライトノベルにて活躍する気鋭。代表作は「カブキブ!」シリーズ、「魚住くん」シリーズ(角川文庫)、「妖き庵夜話」シリーズ(角川ホラー文庫)、「宮廷神官物語」シリーズ(角川書店ビーンズ文庫)など。榎田尤利名義でも著書多数。

「2023年 『妖奇庵夜話 千の波 万の波』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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