正義の天秤 アイギスの盾 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041091982

作品紹介・あらすじ

元医師の弁護士・鷹野を筆頭に、元引きこもりのゲームオタク、容姿端麗な元裁判官、名弁護士の娘、元刑事など、異色の経歴を持つ弁護士軍団が型破りな法廷戦術で真実を追究する。最強リーガル・ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 「正義の天秤」の続編。
    前作と続けて読むことができてハッピー。
    本作も短編連作リーガルミステリとなっています。
    そして、本作では、鷹野の恋人だった久美子の謎が解き明かされます。

    ■アイギスの楯
    杉村の物語。
    黙秘権の重要さがわかる物語。
    駅のホームで女性を突き飛ばし電車にはねさせ、死亡させたとした男の弁護。
    その事件の真相は?
    3年前の事件に絡んだ悲しい事実。

    ■黒と白
    桐生の物語。
    桐生が過去に裁判官として裁いた男からの再審請求。
    その再審請求を桐生自身が行うことに。
    冤罪だったのか?
    その事件の真相がとんとんと明らかになるのに加えて、再審請求の裏側に隠されたものに唸らされます。
    うーん、そんなことあるのかなあ。

    ■手のひらの楽園
    梅津の物語。
    犬のブリーダが殺された事件の容疑者の女性。
    生体販売の実態が描かれています。
    TVのCMでも生体販売のことをやっていますが、動物とはいえ命を扱うということの重さを感じます。

    ■もう一つの正義
    芽依の物語。
    アパートでの殺人事件の被告人の弁護。
    殺害されたのは殺人の前科のある人物。
    被告人に裏切られながらも、芽依がまた一つ成長していきます。

    ■正義の心臓
    いよいよ鷹野の物語。
    久美子の事件の真相。明らかになる犯人。そして、その犯人に対して、鷹野のとった行動とは。
    最後までドキドキします。

    前作に比べて楽しめました。
    これまた順番に読みましょう。

    お勧めです!

  • 「正義の天秤」アイギスの盾
    【購読動機】
    ドラマの原作です。シリーズもので第2作に当たります。
    ドラマでは、亀梨さんが主演です。
    医師を辞めて弁護士に。
    この経歴にまず関心を持ちました。
    ーーーーーーーー
    【弁護士の務め】
    依頼人・被告の利益を守ること。
    弁護士として、この利益を守ることが、時として「正義」に反しているかも・・・という葛藤を持つことがあります。
    この葛藤が小説、ドラマのなかでは、描かれています。

    ・真実はどこか?
    ・依頼人被告に対する求刑は、妥当性はあるのか?

    弁護士として、事件の証拠を集め、真実に近づきます。
    その真実は、時として検察側に「新しい事実」となり、審判に影響を及ぼす形となります。
    ーーーーーーーー
    【正義の天秤の見どころ】
    基本的に、被告は、事件を起こしています。さらに、否認をせず、是認しています。
    一見、検察と弁護側で争う必要性がない事件ばかりです。

    ところが、、、。
    主人公の弁護士の視点からは、「供述に違和感あり」ということで、事件への深堀りが始まります。
    ーーーーーーーー
    なじみの薄い検察と弁護士、そして裁判。
    小説を通じて、雰囲気を感じ取ることができます。
    どんでん返しが好きな方向けの小説です。

  • 大門剛明『正義の天秤 アイギスの盾』角川文庫。

    『正義の天秤』の続編。書き下ろしリーガル・ミステリー連作短編。5編を収録。

    前作は今一つという感じがしたが、本作は意外に面白い。

    短編という限られた時間の中に凝縮される冤罪事件をはじめとする様々な事件の弁護が描かれ、展開が早く面白い。しかし、こんなに簡単には冤罪や無実が証明されないというのが今の日本の司法の現実である。

    名門・師団坂法律事務所の刑事事件専門部門であるルーム1に持ち込まれる数々の弁護依頼。様々な経歴を持つルーム1の弁護士たちの活躍が描かれる。

    そんな中でハイライトはやはり最終話だろう。ルーム1の筆頭・鷹野和也が長年抱えていた過去の事件の完結編である。正直に言って、余りにも綺麗にまとめられた無難な結末には少しがっかりした。

    まだシリーズとして続く可能性を残しているものの、これで完結だろうか。

    本体価格760円
    ★★★★

  • 「正義の天秤」の続編。
    前作同様、章ごとに主人公を変えて描く連作短編集と言う形を取りながら、鷹野の恋人が殺された事件の真相に少しずつ迫っていく。
    創業者の娘・佐伯芽依、元裁判官の桐生、ニートだった杉村、元刑事の梅津。
    鷹野に「ブレーメンの音楽隊」と言われたメンバーだが、それぞれの個性を活かし、各々が裁判に臨む姿が端的に描かれる。
    鷹野の登場シーンがほとんどないのが、この作品の凄いところ。でも的確なアドバイスはそれぞれの胸に響き、信頼関係が徐々に築かれていく様子もよく分かる。
    そして、最終章の「正義の心臓」では鷹野の恋人が殺された事件の真実が15年ぶりに明らかになる。
    リーガルミステリーでありながら、難しい用語はそれほど使わず、裁判のシーンも極力抑えめで、裁判に至るまでの被告人との人間関係を大切に描いている印象が強い。
    ドラマ化をきっかけに読んでみたが、読んでよかったと思える作品だった。

  • 「正義の天秤」第2弾。
    とても面白かった。

    芽依ちゃんどんどん成長しています。
    これから敏腕弁護士になるのでは?と期待!

    鷹野弁護士の事件は解決で良かったです。
    次のシリーズも期待大!

  • 司法的治療、ケアだな...。様々な事情により犯罪行為を犯す者を救うのに必要なことは? 被害者及び残された家族の心情は? 復讐と贖罪...。当事者となった時に同じような意思決定ができるのか。色々と考えさせられる一冊。

  • 大門剛明の『正義の天秤』の続編。
    5編からなる短編集。

    前作で、名門の師団坂法律事務所の立て直しにやって来た元医師の弁護士・鷹野。

    荒療治で賛否両論があった彼が、なぜ弁護士になったのか?その悲しい過去の経緯が明らかとなります。

    特に、最後の『正義の心臓』は、彼の被告人が、何と彼が弁護士になるきっかけとなった別の事件の容疑者とは...
    果たして、被告人を弁護士として守るのか、それとも、弁護士を捨てて復讐に走るのか?

    最後は、やはり弁護士としての矜持でしょうか。
    今後の活躍を楽しみにしています。

  • 師団坂法律事務所に属する弁護士たちが、黙秘権を行使させて被告人の無罪を勝ち取るなど、ユニークな弁護活動を描く連作短編集第2弾。
    全話を通じて謎となっている、シニアパートナー鷹野が絡む事件の真相が最終話で明らかになる。
    これで、このシリーズも終わりなのだろうか。それぞれにユニークな弁護士たちの活躍をもっと見てみたい気がするが。

  • うん!面白かった!
    正義の天秤は面白くないこともないような…みたいな感想だったんですが、次回作も読んでよかった!!

    リーガルミステリー第二弾。
    鷹野の追ってた事件も全部ここで解決です。
    最後の章は、えー!君ですか!君だったのですか!と思っちゃった。してやられた。油断したな私。

    前作同様、ひとつの章に一人の弁護士にフォーカスして話が展開されます。
    形としては似てるんだけど、前作であらかた人物像が把握できてるだけに入り込みやすかった!
    そしてそこから掘り下げられてるからさらに入り込みやすく、単純に面白い。
    そうなると前作はそれぞれちょっと唐突感があったのかなぁ。

    相変わらず、突然どうした!?急に何言い出した!?みたいな前フリない一文が出てきたりして戸惑ったけど、少なくなってて目を留めることも少なかったなぁ。

    何より決着がめちゃめちゃよかったです。
    あんな落とし方ありかー!ありだなー!
    またその過程を知らない人からしたら、責めてしまうよね。傍聴人しかり、報道陣しかり。

    もうちょっとこの世界に浸っていたいかも。
    まだまだ面白い話が出てきそう。
    特に杉村くんと桐生くんが気になる。
    芽依ちゃんはちょっと成長してましたね。敏腕弁護士になった芽依ちゃんも見てみたいかも。
    梅津さんは娘さんと会えたらいいなぁ。

    七条くんは…何のために存在してるんだろう…。笑
    に、にぎやかしかな???
    この話に対していったいどのポジョンで存在するんだろう…。
    必要かな…?笑
    出てくれば出てくるほど彼の存在が謎めいてゆくばかりです。笑
    段々と話の本筋よりそっちのほうが気になりだしてきた…いや、私七条くんめっちゃ好きじゃん…

    うん。面白かったです!
    この作家さんの別の作品も読んでみたいかもー!




    @手持ち本

  • 今回は師団坂法律事務所、刑事事件を担当する弁護士それぞれの活躍の話と、リーダーである鷹野が追っている事件を絡めての連作短編といった感じ。
    加害者を弁護することは、とても大変で難しい。そして因果な職業です。
    考えるだけでも震えます。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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