虜囚の犬

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041092958

感想・レビュー・書評

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  • 虐待の連鎖

  • 自分の子供を、血を分けた子供を虐待して楽しむということが、
    小説の題材としてではなく、現実の出来事としてあるんだ、ということ。
    にこには、なんか吐き気を催すような強烈な嫌悪感を覚えます。

    虐待は連鎖して、虐待を受けた子は自分が受けたことを自分の子を、
    あるいは何の関係もない子を誘拐するなどして虐待するようになる。
    だって、それが普通で育つから。暴力で支配されるのが日常。他の世界を知らない。

    浜真千代の原型みたいな子が出てきます。
    こっちの方が後なのかもしれませんが、フィクションとはいえ陰惨なお話。
    にこは嫌ミス好きなんで、好きですが。

  • ある事件がキッカケで家裁調査官を辞した白石、彼が昔担当した少年が殺された。洗脳、虐待、暴力など、人を支配する狡猾さ、そして人に支配される怖さ。家庭環境などで、子供たちがどうすることもできないことで翻弄されるのはやるせない。たぶん時間軸が違うのかなと思いながら読み進めましたが、それにしても最後の種明かしはちょっと取ってつけたように淡々とししまった感じがしました。そしてエピローグ…もう最後まで気持ちがドンと重くさせられます。

  • 出だしが引き込まれた。
    ただ、途中で放置してしばらくぶりに読み出したら、登場人物がややこしくて一気に分からなくなってしまった。

    真犯人の動機としては、「殺人依存性」と似ていると思った。
    自身が受けた強烈なトラウマを真正面から乗り越えられず、そのトラウマを呑み込んでドス黒い復讐の塊として自分の中で育てて、他者を迫害する側に回るという負の連鎖。
    結果的に多くの人を巻き込んだその思想が許されるとは思わないが、根本にあるのは虐待という環境なので、責めきれない。
    いっそ、そこまで狂うしか生き残れなかったのではと思う。

  • 元家裁調査官の白石の息苦しい人生はラストで報われる・・・過去に担当した少年犯罪というだけで捜査に乗り出させる友人警察官も問題だが、死にたくなるトラウマを抱えているのに必要のない捜査に乗り出す心境は分からない(´・ω・`)
    女性が被害者、鎖に繋がれ、地下に監禁され、同じような境遇が連鎖するのはDVによくある事だが、本書は時間軸も長く設定しているので、根底にある連鎖の構造が(一人の人間の影響力とはいえ)納得づくで描かれている
    事件が合理的に解決するのは櫛木先生らしいし、描写も監禁、ドッグフードを食べさせられる、首輪で拘束、暴力、レイプ、虐待などの残酷な描写も先生らしくて読者は辟易する(混乱したのは時間軸だな)

  • 和井田と白石兄妹がとってもよい。
    カドブンでちょこちょこ読んでいたので、一気読み。白石の暮らしぶりもすきだったのでもう一度の章もじっくり読み。
    最後の展開も驚き。
    グロ耐性ある方にぜひおすすめ。

  • ビジネスホテルにて刺殺事件が発生した。よくある殺人事件だろうと思われたが、警察が被害者の自宅で見たのは、地下室に犬のように繋がれた女性だった。
    かつてその被害者を担当していた家裁調査員の白石は、望まないままその負の連鎖へと巻き込まれていく。

    あまりにも凄惨な物語で読んでいてしんどいのに目が離せなかった。
    負の連鎖の呪いを解く楔はきっと他者にしかできなくて、悪い方向へ軸を傾けたきっかけがあるように、きっといい方向へも傾けることはできるはず。

  • 読むのを一旦やめるほど、しんどい描写が続いた作品。
    虐待の連鎖、負の連鎖、マイナスがマイナスを呼び、人間が染められていく、、、

    登場人物の名前や関係性がイマイチ分かりづらかった。
    この混沌とした感じも作品の魅力なのかもしれない。

  • 今月9冊目。
    なるほど、またこの過去の事件を掘り返して真相突き止める系か。
    安定の血筋の話。
    櫛木パターンはもうわかってきた。

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著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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