「ふつうの家族」にさようなら

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041099544

感想・レビュー・書評

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  • 自伝的なものかと思ったら違った。

  • 家族法を研究してきた著者の見解、現時点での結論が述べられていて、自分自身も家族というテーマで真剣に考えることが出来た。

    「個人」の責任という欧米の概念をとりいれながらも江戸時代から続く「家」という世間体との狭間にある日本の社会。

    家族の在り方が変わっても、"ふつう"、"ふつうじゃない"なんて、とりあえず置いておいて、寄り添いたいと願う絶え間ない歩み寄りのプロセスを続けていくことが家族には必要なのだろう。

  •  家族の在り方というのは改めて考えると難しい。同性パートナーや代理懐胎などの話になってくると余計に。感情的には親として認めてあげたいが、法律論的には認めるべきではないという結論も理解はできるし、、。また、家族制度の急激な変更は、それこそ共産主義者に付け入る隙を与えるのではないかと思ったり。
     アメリカは独り立ちした瞬間、財産的に「個人」としてやっていくが、日本では「家」単位で財産を考えていて連綿と引き継いでいくものというのはなるほどと思った。日本の治安が良いのは、「家」というセーフティネットがあることも関係するのだろうか?日本とアメリカの低所得者層の暮らしの違いについて知っているわけではないのでなんとも言えないが。
     色々頭の中に新しい概念が入ってきたこともあり、全然感想がまとまっていないが、また時間をおいて読み直してみたい。

  • 自分には、あまり合いませんでしたが、最後の締め部分には、大いに同意できました。

  • 日本が進むであろう道の先を行っているアメリカの家族の在り方が参考になった。日本は家制度から今にいたり、保守的。アメリカは個人で18歳になれば家を出て、高齢の親の面倒なんかみない。法律に書いていないもん。イスラムの家族が日本に移住したら4番目の妻の立場は・・・?その子供は・・・??国によって本当に違う。そして日本が特別違うみたいね。

  • 山口さんが卵子年齢50代と言われて妊娠できないかもとショックを受けることから始まり、そもそも普通の家族って何かを日本、アメリカの法律を中心に分析するものです。その分析自体は非常に面白かったですが、そうだとしても山口さんがここから自身と血縁のある子を持つのは難しかもしれないわけで、結局は山口さんに血縁ある子を持ちたいという考えがあればどうしようもない可能性はあります。山口さんが何をしたいのかはおいといて、日本、アメリカに関する分析は面白かったです。この本を読んで、山口さんは自閉傾向があると私は確信しました。

  • 家族法から読み解く、家族とは。
    親子関係、結婚関係をまた新しい視点から書かれた一冊のように思う。

    以下読書メモ
    ーーーーー
    ・私たちは闘いを避けることなんてできない。自分の思うように生きること、それ自体が闘いなのだから。私たちは、結婚することで新たなステイタスを得るわけではない。人間的な成長をするわけでも、自分以上の存在になるわけでもない。

    ・私たちは家族になろうとしている。私たちは、日々、家族になり続けている。家族といえど、他人である。近しいがために、すべてを分かち合えると思い込み、考えが違えは裏切られたと憤る。ときに醜く罵りあい、じたばたともがく。それでも、私たちは「家族」をあきらめることができない。彼らを理解しようとし、傷つき、傷つけ、それでも気にかけ続けている。
    寄り添いたいと願う、この絶ゆみない歩み寄りのプロセスだけが私たちを固く結びつけて「家族」にする。私たちは「家族」であるんじゃない。日々、「家族」になり続けてるんだ。

  • 自分は「ふつうじゃない」と思う人は、「ふつう」からどのくらい離れるかという尺度で、人生を構築している。

    この言葉にずどんと来た。さすが思考を止めずに考え抜くことのできるスーパー才女だなあと思った。
    著者の山口氏は、この人がバリキャリ未婚の代表でなくしてなんであろうというすごい人だけど、普通(あー普通って書いちゃった)の未婚女性が持つような葛藤を抱えていてそこを素直に記しているところもとても良かった。
    アカウンタビリティを逃れるために、「結婚したいのにできない人」というフレームワークに自分をはめて楽をしていたと。そしてその葛藤から時々心に澱をためて爆発させていたということ。すごくわかるんだよなあ、私は才女でもバリキャリでもないけど、わかる。読んでいて心にストンとくる言葉が多かった。
    そんな著者が真剣に考え抜いて切り込んだテーマなわけだから、面白くないわけがないという内容であった。

    本の内容に戻ると、著者が在学していたアメリカ(ハーバードだぜいぇい)の判決例などをもとに、日米ともに「家族」「結婚」「子供」をどうとらえるのかについて記している本。とてもわかりやすい記載で、日々もやもやしている「家族ってなにさ」とう主題にさくっと切り込んでくれたという印象。

    難しくて内容覚えられないし理解が間違ってるかもだけど、同性婚を認めたオバーゲフェル判決はとても興味深かった。愛する二人の結婚を認めた有名な判例であるが、一方でリベラル先鋒の教授からしたら「結婚は崇高なものである」と特別視してしまったこの判決文こそが問題である、と。なるほどなあと思った。
    結婚を神聖な誓いとしてヴェールにかぶせてしまうから、本来の姿がみえなくて現代の様々な関係性に当てはめることができないのだ。結婚とは互いの関係に関する義務と権利の膨大な契約、そこに伴う無数の特典をまとめたパッケージ。そうとらえれば解体することでスマホの契約のようなオプション型の結婚だって認められるかもしれない、という考え方が面白いな、、と思った。
    また日本は「家」によって家族が線でつながっていて、家業というように義務権利も引き継ぐのが当然であり、以前はセーフティネットの役割を果たしていた、という説明も面白かった。家という静的な状態が家族をかたちづくっているから個人間の契約という関係ではなかったと。そして家が痩せてしまったから、今色々と問題になっているのだ…と。
    全体を通して、事例や理論だけでなく個人的な感情も含めて余すところなく書いてあり、非常に好感がもてた。改めて才女だなあと思います。

    この本のたくさんのエピソードからわかるように、普通を押し売りするのも、多様性を押し売りするのも同じ同調圧力でしかない。マジョリティとかマイノリティじゃなく、点滅するように役割が切り替わるのが家族、白でも黒でもなくグラデーションだと、著者はまだまだ悩みながらも語っている。
    そんな風にとらえることができて、初めてダイバーシティという言葉を使えるのかもしれない。

    時々心の澱をためている私にとっても、とてもとても勉強になる本だった。そして私は頭がよろしくはないから、また著者がわかりやすい本や論考を出してくれるのをまってフォローしていきたいなあと思った。

  • テーマ
    不妊治療
    同性婚
    →アメリカの同性婚を認めた最高裁判決 
    オバーゲフェル判決
     男性と女性の生涯続く結びつきは、人生がいかなる状態にあろうとも、すべてのものに高潔と尊厳を約束する。他に変えがたい達成感を与える。一人では見つけられなかった人生を二人で発見することができる。
    根源的に必要なものであるが故に、もっとも深遠な希望や願望にとって不可欠のものである。
    →結婚を特別なもの、と捉える価値観。

    一方、結婚とは相手を縛る権利と相手に縛られる義務。その集積、とする考え方もある。
    →控除が受けられるパッケージ商品のようなもの。

    山口真由さんは、社会のスタンダードから外れるという意識を持ち、社会に対して戦うことをせずに、「結婚したい」と発言することで、気持ちをとどめていた。
    しかし、社会から認められるために、自分の人生を精一杯生きよう、という気持ちに変わっていた。

    ハーバードで苦労した話
    「自分から求めなくてはいけない。そうすればすべての扉が開かれる」

    家族
    当然、自分の思い通りにはいかない。それでも、この幼い我が子が、将来、悩みを抱えないようにと願い、先回りして、子供の人生の「苦悩のタネ」を取り除こうとする。そして子供は反発する。

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著者プロフィール

1983年、札幌市出身。2006年3月、東京大学法学部を卒業。同年4月に財務省に入省。08年に退官し、15年まで弁護士として法律事務所に勤務。15年9月~16年8月、米ハーバード大学ロースクールに留学し、卒業。17年4月、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に入学。17年6月、米ニューヨーク州弁護士登録。20年3月、東大大学院を修了。20年4月から信州大学特任准教授となり、翌年、特任教授に就任。

「2023年 『挫折からのキャリア論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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