- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041099544
感想・レビュー・書評
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自伝的なものかと思ったら違った。
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家族法を研究してきた著者の見解、現時点での結論が述べられていて、自分自身も家族というテーマで真剣に考えることが出来た。
「個人」の責任という欧米の概念をとりいれながらも江戸時代から続く「家」という世間体との狭間にある日本の社会。
家族の在り方が変わっても、"ふつう"、"ふつうじゃない"なんて、とりあえず置いておいて、寄り添いたいと願う絶え間ない歩み寄りのプロセスを続けていくことが家族には必要なのだろう。 -
自分には、あまり合いませんでしたが、最後の締め部分には、大いに同意できました。
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山口さんが卵子年齢50代と言われて妊娠できないかもとショックを受けることから始まり、そもそも普通の家族って何かを日本、アメリカの法律を中心に分析するものです。その分析自体は非常に面白かったですが、そうだとしても山口さんがここから自身と血縁のある子を持つのは難しかもしれないわけで、結局は山口さんに血縁ある子を持ちたいという考えがあればどうしようもない可能性はあります。山口さんが何をしたいのかはおいといて、日本、アメリカに関する分析は面白かったです。この本を読んで、山口さんは自閉傾向があると私は確信しました。
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自分は「ふつうじゃない」と思う人は、「ふつう」からどのくらい離れるかという尺度で、人生を構築している。
この言葉にずどんと来た。さすが思考を止めずに考え抜くことのできるスーパー才女だなあと思った。
著者の山口氏は、この人がバリキャリ未婚の代表でなくしてなんであろうというすごい人だけど、普通(あー普通って書いちゃった)の未婚女性が持つような葛藤を抱えていてそこを素直に記しているところもとても良かった。
アカウンタビリティを逃れるために、「結婚したいのにできない人」というフレームワークに自分をはめて楽をしていたと。そしてその葛藤から時々心に澱をためて爆発させていたということ。すごくわかるんだよなあ、私は才女でもバリキャリでもないけど、わかる。読んでいて心にストンとくる言葉が多かった。
そんな著者が真剣に考え抜いて切り込んだテーマなわけだから、面白くないわけがないという内容であった。
本の内容に戻ると、著者が在学していたアメリカ(ハーバードだぜいぇい)の判決例などをもとに、日米ともに「家族」「結婚」「子供」をどうとらえるのかについて記している本。とてもわかりやすい記載で、日々もやもやしている「家族ってなにさ」とう主題にさくっと切り込んでくれたという印象。
難しくて内容覚えられないし理解が間違ってるかもだけど、同性婚を認めたオバーゲフェル判決はとても興味深かった。愛する二人の結婚を認めた有名な判例であるが、一方でリベラル先鋒の教授からしたら「結婚は崇高なものである」と特別視してしまったこの判決文こそが問題である、と。なるほどなあと思った。
結婚を神聖な誓いとしてヴェールにかぶせてしまうから、本来の姿がみえなくて現代の様々な関係性に当てはめることができないのだ。結婚とは互いの関係に関する義務と権利の膨大な契約、そこに伴う無数の特典をまとめたパッケージ。そうとらえれば解体することでスマホの契約のようなオプション型の結婚だって認められるかもしれない、という考え方が面白いな、、と思った。
また日本は「家」によって家族が線でつながっていて、家業というように義務権利も引き継ぐのが当然であり、以前はセーフティネットの役割を果たしていた、という説明も面白かった。家という静的な状態が家族をかたちづくっているから個人間の契約という関係ではなかったと。そして家が痩せてしまったから、今色々と問題になっているのだ…と。
全体を通して、事例や理論だけでなく個人的な感情も含めて余すところなく書いてあり、非常に好感がもてた。改めて才女だなあと思います。
この本のたくさんのエピソードからわかるように、普通を押し売りするのも、多様性を押し売りするのも同じ同調圧力でしかない。マジョリティとかマイノリティじゃなく、点滅するように役割が切り替わるのが家族、白でも黒でもなくグラデーションだと、著者はまだまだ悩みながらも語っている。
そんな風にとらえることができて、初めてダイバーシティという言葉を使えるのかもしれない。
時々心の澱をためている私にとっても、とてもとても勉強になる本だった。そして私は頭がよろしくはないから、また著者がわかりやすい本や論考を出してくれるのをまってフォローしていきたいなあと思った。 -
テーマ
不妊治療
同性婚
→アメリカの同性婚を認めた最高裁判決
オバーゲフェル判決
男性と女性の生涯続く結びつきは、人生がいかなる状態にあろうとも、すべてのものに高潔と尊厳を約束する。他に変えがたい達成感を与える。一人では見つけられなかった人生を二人で発見することができる。
根源的に必要なものであるが故に、もっとも深遠な希望や願望にとって不可欠のものである。
→結婚を特別なもの、と捉える価値観。
一方、結婚とは相手を縛る権利と相手に縛られる義務。その集積、とする考え方もある。
→控除が受けられるパッケージ商品のようなもの。
山口真由さんは、社会のスタンダードから外れるという意識を持ち、社会に対して戦うことをせずに、「結婚したい」と発言することで、気持ちをとどめていた。
しかし、社会から認められるために、自分の人生を精一杯生きよう、という気持ちに変わっていた。
ハーバードで苦労した話
「自分から求めなくてはいけない。そうすればすべての扉が開かれる」
家族
当然、自分の思い通りにはいかない。それでも、この幼い我が子が、将来、悩みを抱えないようにと願い、先回りして、子供の人生の「苦悩のタネ」を取り除こうとする。そして子供は反発する。