甲子園を目指す高校球児たち、しかし選ばれしその高校球児になることに金や大人の事情や嫉妬やなんやらという醜いものがうごめく。白球を投げ、打ち、おいかけて汗と土にまみれる球児たちの姿はカッコよいものだと思うのだが、裏にある醜いものを考えるととてもやるせない思いになる。
この本の主人公は、そういうものにまみれた世界(プロだもの、まさに野球で金を稼いでいたわけだ)で色々な経験をし、またそのいろんなものがうごめく高校野球の世界に身をおいたプロ野球選手出身の高校野球指導者たちである。
ある人は甲子園にでることを目指し、ある人は甲子園は通過点であると喝破し、ある人は甲子園を嫌う。しかし高校野球に携わる以上、甲子園はどこからでも見える富士山のようなものでありそれを無視する事には無理がある。
「風が強く吹いてる」を読んだとき、箱根を目指すランナーたちの姿に感動を覚えたし、そういう頂点あるいは聖地での戦いにあこがれる気持ちが分かったつもりでいた。だけどこの本を読むと聖地甲子園を目指す野球が果たして健全なのかどうか…。ビジネスがスポーツに裏から絡んでくるとろくなことはない。
ついこないだ読んだ「それをお金で買いますか」の事も思いだし、想像以上に考えさせられた本となった