光圀伝

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (751ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041102749

作品紹介・あらすじ

獣の宿命を背負った男―その名は光圀。
まったく新しい“水戸黄門”像の誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 大日本史の編纂、水戸徳川家を築いた、いろいろあったがあまり知らなかった人物像が、ここにあった。
    兄を差し置いて水戸の当主に就任した光圀。
    そのことで、兄への義を守ろうとする。
    幼少期のやんちゃさ、負けず嫌い、行動派、そこら辺は水戸黄門作成時の原形としてあるのかも?とか勝手に思った。
    84冊目読了。

  • 感想
    光圀の己の存在意義から、友や妻、師など数々の死別を経て、史書編纂を成し遂げた思いが身に染みる。

    遂に、左近とは何もなかったのだろうか?心で支え合っていたからこそなのか。

    最後の死者の列に加わったという表現が印象的。

    良い作品だった。700ページを超える大作だが、スルッと読めた。

    あらすじ
    水戸光圀の一生。物語は光圀が67歳で家老を殺害するところから始まる。謎は明かされないまま、幼少期へ。第三子の自分が兄を差し置いて、嫡男となった疑問について、天然痘にかかったことをキッカケに考える。

    無事に快癒した光圀は大きくなり、江戸で傾奇者としてふらふらしている時に、仲間に囃し立てられ、無宿人を斬り殺してしまう。その時に、宮本武蔵と沢庵と出会い、モノの見方に変化が生じる。

    光圀もこれを機に、勉学を始める。ある居酒屋で坊主を論破して調子に乗っていたが、林羅山の息子の読耕斎に論破され、彼に勝つためにさらに猛勉強する。

    詩で天下を取る、という目標を掲げて精進する。

    京の冷泉為景とも親交を深める。叔父の義直が危篤になり、自分の出生の秘密と嫡男になった理由を聞かされる。光圀は嫡男ではない自分が義に従う行動をするためには、自分の子を成さず、兄から養子を取り、血を戻すことで義を貫こうとするが、京の近衛家より嫁取りの話が持ち上がる。

    光圀は義の話を婚姻の日に妻となった泰姫に話し、姫の持ち前の素直さで全てが受け入れられる。光圀は妻を同志を手に入れたかのような心持ちになり、安らかに時を過ごす。

    江戸大火と林家の史書の焼失を経て、光圀は史書編纂の決意をする。その後、泰姫や読耕斎との死別により、編纂事業への思いを強くする。

    やがて両親を亡くし、藩主になるに当たって、兄の子供を養子にして義を成すことを成し遂げる。その後、明国の朱舜水を師として招き入れ、様々な改革事業に着手する。

    光国から光圀へ改名。

    最後は、自分の秘蔵っ子の紋太夫の野望を阻止するため葬り去る。

  • 二代目水戸藩主、水戸光圀の生涯を描いた超大作。
    辞書のような分厚い書籍だが、時間を掛けてでも読む価値のある一作だと思う。

    舞台は、戦国の世が終わり太平の世となった江戸初期。
    「学問」を極め、自分の義を求めて、それを見出し貫き通す彼の一生が綴られている。

    彼が義を見出すことを支える登場人物たちも個性豊かで、同じ志を持つ人との出会いや別れがストーリーに彩りを添えている。

  • 今の子どもたちは知らないかもしれませんが、水戸黄門です。諸国漫遊はしません。スケさんやカクさん、ましてや弥七も飛猿もお銀も登場しません。ただ、光圀の武士としての矜持、文治政治の志は熱く伝わります。誰に刃を突き立てたのか?最後はグッときました。

  • 流石、冲方丁という歴史に基づく人物像の描き方が秀逸でした。

  • かなり前に天地明察を読んで、読みたかったのになかなか読めず、今回ようやく読めました。これぞ大作と言う感じで、時代小説の枠の中に収まらない迫力も感じました。各キャラクターが立っていると言うは、こういう事を言うのですね。

  • 岐阜聖徳学園大学図書館OPACへ→
    http://carin.shotoku.ac.jp/scripts/mgwms32.dll?MGWLPN=CARIN&wlapp=CARIN&WEBOPAC=LINK&ID=BB00485573

    何故この世に歴史が必要なのか。生涯を賭した「大日本史」の編纂という大事業。大切な者の命を奪ってまでも突き進まねばならなかった、孤高の虎・水戸光圀の生き様に迫る。異才が放つ時代小説第二弾!(出版社HPより)

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/4281

  • 某番組のお陰で、日本全国を旅しまくった老人のイメージが強い、二代水戸藩主の生涯を綴る。

    700ページを超えるボリュームのため、読むのに時間がかかってしまったが、丁寧に『義』という一つの信念を貫き通した男の人生を描ききっている物語は疲れを感じさせない。

    ストイックで、何とも烈しく、悲しい話であるが、読んで損はないと思う

  • 紋太夫って、誰!?
    一体、何をしちゃったのー!?
    という疑問から、壮大な水戸光圀の一生を追わせていただきました。

    光圀って言うと、水戸黄門が思い浮かんで、
    印籠とか、スケさんカクさんのお供を連れてるおじいちゃん…
    ってイメージしかなかった。
    だけど、この話は若い光國から話が始まっており、
    思ってた水戸黄門がガラッと変わったよー。

    水戸徳川家の三男でありながら、世継ぎとなる。
    なぜ自分なのか。
    兄がいるのに、自分が世継ぎとなるのは「不義」である。
    なんとしても「義」を通すために、
    光國は兄の子を自分の養子にし、自分の血筋ではなく、
    兄の血筋を藩主にしようと考える。 

    結果、光圀は自分の大義を通すことができたが、
    その後、家臣の紋太夫が紋太夫なりの大義を
    通そうとしていることを知る。
    それは、水戸家から将軍を出して、政治を朝廷に還すこと。
    光圀の大義と紋太夫の大義。

    いやー、光圀がとにかく、カッコいいと思った。
    正直、「大義にそこまでこだわる?」と思ったけど、
    時代を考えたら、大義を貫いたことがカッコいい!!
    そして、何より登場人物が魅力的だった。
    妻の泰姫(たいひめ)、兄の頼重、友の読耕斎。
    天地明察と被る所もあるようで、そちらも読まねば(*・ω・)!!

    ただ、私の読解力のなさで分からないことがあります。
    光圀は紋太夫を殺める際に、「大義なり。」と言ってます。
    これの、意味が分からなくて…。
    光圀は、紋太夫の大義を知って、驚いているけど、
    この「大義なり」には、何の意味が含まれてるのか
    分からなかった。
    光圀の今からする紋太夫を殺めることが大義だったのか、
    それとも、紋太夫の考えていたことが光圀も大義だと思い、
    あえて、殺める際に「大義なり」と言ったのか…。
    それとも、別の意味合いが?
    どうしても、この言葉が分かりませんでした…( ノД`)…

    • shintak5555さん
      クラウドにFacebookのNote機能を見れるようにしていたことを忘れていました。笑
      大義!確認しました。結果、まったく分かりませんでし...
      クラウドにFacebookのNote機能を見れるようにしていたことを忘れていました。笑
      大義!確認しました。結果、まったく分かりませんでした!笑
      なんとなくですが、大政奉還は、本来の世子、頼重の直系で成し遂げねばならないということで、自分が養子として受けた綱條であってはならないということが大義だったのでしょうか。
      ただ、殺すことで大義を成し遂げたことは確かですね。
      以下、長いですが、当時(2014年)の備忘録。

      光圀伝:冲方 丁 750pで1995円。文庫なら4分冊くらいになると思いますので、すさまじいコストパフォーマンスです。 歴史が苦手な私なので、水戸黄門と言ったら「スケさんカクさん」しか思いつかないのですが、この本を全て盲信するのであれば凄まじい人物だったということでしょうか・・・。 水戸徳川家初代当主頼房(家康の十一男)の三男として生まれるが、世継ぎ決定時期に長男の頼重が大病を患っていたことで世子となる(次男は死亡)。本来は頼重が水戸徳川家を継ぐべきだったと悩む光國は、自分が世子に選ばれたことを不義であると悩む。 この小説の大きな柱の一つとして、この不義をいかにして義に戻すかというテーマがある。結局、兄頼重(讃岐高松藩初代当主)の長男(綱方)を養子に譲り受け自分の世子とする!という大義を成し遂げる。ただ、綱方は若くして死んでしまうので、一緒に養子として受けた次男(綱條)が水戸徳川家の三代当主となります。この時代、ちょっとした病気でも死が側にある。登場人物がほんとによく死にます・・・。 さて、小説の柱の二つ目。それは学問。光國を取り巻く識者がホントにカッコイイ。会津の浪人山鹿素行、儒学者林羅山の四男読耕斎、京の歌人冷泉為景、明国の儒学者朱舜水・・・。光國と彼らの駆け引きを読むだけでもホントに楽しい。光國の人生に大きな影響を与えたのは間違いない面々です。そして光國は大日本史の編纂を開始する。凄い事業です。完成は明治時代ですか・・・。 そして、天地明察の主人公安井算哲!出てきましたよ!改暦を果たしました! 最後の柱。光國に小姓として仕える藤井紋太夫。光國の義、思惑を理解しそれを影で支える利発な青年。光國が光圀と改名し隠居したあと、綱條を支える大老に大出世するが道を誤る。この小説の冒頭は光圀が大老を自ら刺し殺す衝撃的な場面から始まるが、物語の最後にこの場面に戻る。紋太夫は光圀の大義を最も間近に体験してきた人物であり、大義の重さを誰よりも知っている。将軍を支える立場の大老でありながら大義を持ってしまった悲しい結末です。その大義とは「大政奉還」。鳥肌が立つような大義でした。 この大義は頼重の直系子孫と言っていい第十五代将軍慶喜(水戸徳川家を経て一橋徳川家)により成される。それを匂わせるくだりがあります。凄いね、歴史って。 最後に、光圀の唯一の正妻である泰姫の侍女である左近との心の繋がりは良いです。切なくなります。 さてさて、ボリュームと難解な文章から万人には勧められませんが★★★★★。満点。
      2022/07/11
    • ほくほくあーちゃんさん
      わぁー、備忘録ありがとうございますー!!
      読みごたえ抜群でした!!
      そして、もう一度光圀伝を読んだ気になりましたー笑
      やっぱり天地明察は読ま...
      わぁー、備忘録ありがとうございますー!!
      読みごたえ抜群でした!!
      そして、もう一度光圀伝を読んだ気になりましたー笑
      やっぱり天地明察は読まねばなりませんね。
      2022/07/14
    • shintak5555さん
      感想楽しみぃ。
      感想楽しみぃ。
      2022/07/14
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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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