輝天炎上

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041103784

作品紹介・あらすじ

碧翠院桜宮病院の全焼事件から1年後。東城大学の医大生・天馬大吉はゼミの課題で「日本の死因究明制度」を調べることに。取材を重ねるうち、制度の矛盾に気づき始める。その頃、桜宮一族の生き残りが活動を始め…。

感想・レビュー・書評

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  • 『ケルベロスの肖像』の裏バージョンともいうべき内容。正直、ケルベロスより引き込まれました。

    「第一部」(視点:天馬)
    公衆衛生学の実習研究で様々な医学関係者に聞き取り調査を行う天馬と冷泉。

    トップバッターは担当教授である清川司郎。
    そう、『ひかりの剣』で登場した清川吾郎の弟です。
    39-40歳の司郎君、なかなか大人でいい感じ~と思ってたら、その後の聞き取り調査で、

    「泣き虫司郎」(by島津)
    「ブラコンのボンボン」(by彦根)

    ・・・司郎君がすずめ四天王の写真を部屋に飾っているというのに、ひどいですよあなたたち。
    他にもAiを巡る『法医学教室』『内科学教室』『監察医務院』等、様々な人たちの視点がみられて、面白い聞き取りになっています。
    この研究を通しながら、碧翠院と自分のかかわりに向き合っていく天馬君。
    留年を繰り返し、回り道をしているだけあって、割と柔軟で『螺鈿迷宮』とは印象が異なります。

    「第二部」(視点:小百合)

    『アリアドネの弾丸』『ケルベロスの肖像』での小百合の暗躍がよく分かります。
    この人美人で才女なはずなのに、なんでこんなに歪んじゃっているんでしょう。やはり、隣に真っ直ぐなすみれが存在したからでしょうか。
    人を造るのは自分にあらず。周囲が自分を形成するのかもしれないですね。

    「第3部」(視点:すみれ)

    小百合に裏切られながらも、巌男先生が真の碧翠院の後継者として遺したすみれ。
    その恨みは大きく、かなりの粘り強さで小百合を追いこんでいきます。
    そして、この章で今まで「そうなのかな~」と疑惑を持っていた城崎の正体が判明します。
    小夜と城崎の出逢いは、なるべくしてあったものだったんですね。

    「第4部」(視点:天馬)

    『ケルベロスの肖像』のAiシンポジウムの日。
    天馬視点で展開。
    ケルベロスでスッキリしなかった事項がスッキリします。完全に内容が『対』になっていますね。

    そして、結局みな生き延びたようで・・・。
    エンドレスに続くんでしょうか。この因縁。

    期待以上に面白かったので、躊躇っている方は読んで損なしです。
    そして、私の中でメビウスの輪のような会話をする彦根の株が急上昇しました。
    ケルベロスの時から、次回は彦根が主役か?と思っていましたが、輝天炎上でもなかなか思わせぶりです。
    「なんであんなに弱っちゃっているんだ?」と気になって仕方がありません。
    こうして「桜宮サーガ」に取り込まれてしまうんですねぇ・・・。

  • 「螺鈿迷宮」のその後でもあり、「ケルベロスの肖像」の別視点でもあり。
    あまりにもいろいろ繋がりすぎてもはや新鮮味はゼロだけど、あの人とあの人がそんな関係だったなんてという驚きがいくつかあった。ほんとに見事にすべてが繋がった。
    冷泉深雪の髪形がツイン・シニョンだってことを何度も(ウザいぐらいにw)強調してたけど、あれは何のためだったのかなぁ?彼女の髪形がキーポイントになったところがあったかなぁ…。

  • ケルベロスの肖像の別視点からのストーリー
    新たに判明したつながりがたくさんあつってびっくりだわ
    あらためて壮大だわ桜宮サーガ

  • ケルベロスのサイドストーリーのような。天馬くん目線から見ても、田口先生はよくわからない。

  • この本はバチスタシリーズの『ケロベロスの肖像』を不定愁訴外来のグッチー田口の視点とは別の人物(『螺鈿迷宮』の天馬くん)を主人公に、違う角度から同時進行で描いていて、『螺鈿迷宮』の続編に当たります。田口ー白鳥の2人ももちろん登場。碧翠院炎上で死んだと思われていたがすみれが再登場してびっくり。頭がこんがらがる。

    桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から1年後。真面目な医学生に戻った天馬大吉は学校の課題で「日本の死因究明制度」を調査することに。同級生の冷泉と関係者への取材を重ねるうちに、制度自体の矛盾に気づき始める。そして、碧翠院の跡地にAiセンターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命されたことを知る。時を同じくして、碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残り、小百合が西園寺さやかに改名し活動を開始する。東城大への復讐を果たすために。

    最期はケルベロスの肖像同様、碧翠院は炎上するが、小百合とすみれ、天馬の運命はどうなるか。

    蛇足だが天馬はどうしてこんなに女にもてるのか?
    不思議でならない。

  • 「螺鈿迷宮」の続編。碧翠院桜宮病院の当主として東城大学病院叩き潰そうとする、桜宮の生き残り。A iセンターお披露目の場が決着の場と化し、緊張もピークに達します。今までの登場人物たちとのA iとの関わりも興味深く読ませていただきました。

  • ・碧翠館の生き残りと落第王子の天馬
    ・ケロベロスの塔、崩壊の真実が明らかになる。

  • アリアドネの弾丸、螺鈿迷宮は既に読んだけれど、それが伏線みたいになっていて、ケルベロスの肖像を別の視点から見たような話になっている。天城くんと冷泉さんのほんのり恋心もあって、テンポよく面白く読めた。アドリアネ含めて、もう一度最初から読み返したい。

  • 落第医学生の天馬大吉は心を入れ替えて毎日講義に出席している。あと一回落第したら放校されてしまうから。そして医者にどうしてもなりたいから。そんな天馬の同級生に学年第一の美人で優等生の冷泉美雪がいる。苗字が近いので同じZ班に入いったのだ。桜ノ宮一族は死んだはずなのに、亡霊が東城大学医学部を攻撃するというのは…。途中まで面白かったけど、ちょっと奇想天外すぎるかな。

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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