絹の家 シャーロック・ホームズ

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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104514

感想・レビュー・書評

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  • 本作はコナン・ドイル財団公認のホームズ新作長編である。著者のアンソニー・ホロヴィッツは、あの有名なドラマ『名探偵ポアロ』や『刑事フォイル』の脚本を手がけた人物。どちらのドラマも視聴したことがある私は、読んで期待を裏切るようなことはないだろうと思っていたが、期待以上だった。コナン・ドイルが書いたものではないが、まるでドイルが書くホームズとワトソンの冒険を読んでいるようで、読みながら久しぶりにあの胸躍る感覚――中学生時代に正典をワクワクしながら読んでいた――を味わった。中学生の私は、続きが気になって家で読むだけでは足らず、学校の教室で休み時間中や放課後友人の用事が終わるのを待つ間にも読んでいた。

    本作は正典と同じく、ホームズが知り得た情報を平等に作中に提示しているわけではない。ドイルの時代から、読者にも謎が解けるよう意識して書かれた「本格ミステリ」と呼ばれるジャンルが発展し、現代には溢れている。そんな中、本作は本格ミステリを意識して書くのではなく、当時の正典の書き方を意識して書いている点に、とても好感が持てる。もし、これが本格ミステリを意識して書かれていたなら、正典との違いをまざまざと感じて、違和感を禁じえなかっただろう。本作には、正典に出てくる登場人物たちが自然な流れで、時には意外な形で登場していて面白い。

    ホームズファンの私も満足感を得られる出来栄えではあったが、正典と比べれば、やはり正典らしくないところもある。けれど、それはドイルが書いたものではないのだから当たり前だ。そこは割り切って読まねばならない。正典との矛盾もあったが、矛盾だったら正典にもあったので、私はそれほど気にならなかった。

  • 公式認定61番目という驚愕の長編。
    陰鬱な展開ながら意外なキャラが意外な場所で登場してくるのにはニヤリとさせられます。
    それにしてもこれが公式となると黄昏にあるワトスン博士の独白はファンには複雑である。

  • パスティーシュとしては面白かった。いろんな要素てんこ盛りだし、ホームズとワトスンの関係性も良い。 
    でも、コナン・ドイル財団が公式認定したって聞くと疑問が起こる。
    確かに面白いんだけど、ちょっとホームズものにしては残酷さが過ぎるんじゃないかな…。雰囲気は掴んでるんだけど、似て非なるものと強く感じてしまう…。
    もっと似てる正統派のパスティーシュはあるんじゃないの?とも思う。
    ただそういう正統派のものはパッとした目新しさがあまりない感じになってしまうけど、これはインパクトはあるし記憶には残ると思う。
    うーん、ただのパスティーシュのひとつとして読めば純粋に楽しめたと思うんだけど、『公式認定』というのはどうかな…と。
    これが公式の新作という扱いになってしまうと、ワトスンに子供だけじゃなく孫も何人もいることも、ホームズの方が先に亡くなったことも全部公式ってことになっちゃうもんね…。

    それでも今は亡きホームズを想うワトスンと最後のヴァイオリンの件は悲しくなってしまうんだけど…

  • 20150513
    ホームズてんこ盛りで、いろんな登場人物出てきて楽しかった!
    あの話も?あの話も?みたいな。そんなところで星増えた。笑
    やはり現代の雰囲気は拭えなくて、ちょっとなんか、あれー?と感じるところはあったけど、概ね満足。
    なんというか、公式本ですから!みたいな意気込みを感じた。
    作者が自分に課した十箇条はニヤリとしてしまった。特に最後の。

    ここから内容。
    結末というかハウスオブシルク的なアレは、まさかそんなありがち(?)な…と思ってたけどまさにそれだったわぁぁぁと、なんかこう、なんていうかね、うん。みたいな。
    個人的には全く好まない真相なんでね…
    弱者が徹底的に搾取されてしまうような、特にこども関係はなー
    風と木の詩は好んで読んでいたけれどもな。
    つまりそことそこは繋げて欲しくないってことです。

    でもそのあとのリッジウェイ・ホームでの解決にさらりと繋がって、流れは良かった。
    旦那さんも、母と姉にあんなに抑圧されなければ、まともな性生活を送れたかもしれないのになぁってなんか思った。
    共同経営者の人も同じだったのかなー?など。

    脱獄のことは、読者サービスなんだと思う。笑
    キターーー!ってなった。
    モリアーティ教授のとこが一番ハラハラしたかなぁ。なんとなく心配だ…という意味で。

    今、ぱっと思いついたのこれくらい。
    また出てくるかも。

  • 最近、現代版シャーロック・ホームズが話題になりました。ドラマはご覧になったでしょうか。
    映像で楽しむのも良いですが、活字でじっくり読むのもまた別の楽しさがあります。
    ぜひ、冬休みに読む1冊として借りてみてください。(O2さん) OPAC→http://libopac.lib.juen.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=1000013341&key=B142259870132183&start=1&srmode=0

  • チビ1号、移動図書館にて

  • 2014/9 ちょっと現代の香りもするけど確かにホームズの小説です。

  • 結末がわりと早めにわかる。というか、外国ものってこういうの多いよな。

  • 「シャーロック・ホームズ」と言えば、作家アーサー・コナン・ドイルの推理小説シリーズ。本書は彼の子孫たちが運営する団体が、コナン・ドイル本人以外で、初めて正式に公認したシャーロックホームズの新作長編作品。と、事前情報だけで期待値は上がる一方。

    アメリカで事件に遭遇した美術商が命を狙われていると、ホームズの元を訪れるところから始まる。強盗事件も並行し、様々な事件が交錯するなかでホームズが犯人として拘留されるという絶体絶命の事態にも陥りながら、復讐劇と政界のスキャンダルを軸に、ホームズの名探偵らしさと人間らしさの両方を見ることができる。
    現代版・ホームズが楽しめる一冊。

  • コナン・ドイルのものとは似て非なるものだけど、ホームズものの雰囲気はよくとらえていて、これはこれでおもしろかった。ただあれもこれも盛り込み過ぎかなあ。それにもうちょっとビクトリア朝の雰囲気があってもよかったかな。

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著者プロフィール

Anthony Horowitz
イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K. Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。


「2022年 『ホロヴィッツ ホラー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

アンソニー・ホロヴィッツの作品

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