幻夏 (単行本)

著者 :
  • 角川書店
4.23
  • (128)
  • (144)
  • (44)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 721
感想 : 141
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041105832

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2023.6.2読了

    『犯罪者』に続く、鑓水たちのシリーズ第2弾。
    今回は上下巻ではないが、とても読み応えがあった。
    前回は修司メインで、今回は相馬。
    時が2年ほど流れ、修司は鑓水が営む興信所で働いていた。その興信所に掛かってきた依頼の電話から、今回の物語が始まる。

    「子供がいなくなったんです」

    依頼主は水沢香苗。二人の子を持つ母親で、いなくなったのは長男の尚だった。しかし、彼が姿を消したのは23年前だという。
    更に、香苗はこの依頼をした後すぐに行方をくらませてしまった。
    香苗はどこへ行ったのか、そしてもう生きてはいないだろう尚を探して欲しいと依頼してきたのは何故か。
    幾つもの謎の向こう側には、香苗のある願いがあった。

    鑓水と修司が謎を追う中、深大署交通課に異動となった相馬は管内で起きた誘拐事件の捜査に当たっていた。
    少女が姿を消した現場を訪れた相馬は、彼女が凭れていた白木蓮の木に刻まれたある印に気づき、動揺する。

    俺は23年前の夏にこの印を見ている。

    鑓水が受けた依頼と、相馬の追う事件はどう繋がっていくのか。
    ここまで読んでしまったら、もう引き返すことはできない。

  • 尚と拓の兄弟、子供時代は二人とも本当に魅力的で、どんなに素敵な大人になるだろうと思ったのに、まさかこんな厳しい運命だなんて。
    全てが終わってからの終章での、あの少年時代の暑い夏の出会い。あの時までは、ただただ未来は希望に満ちていたのに。
    涙。

    時折見え隠れするテレビの脚本ぽい部分が、少々鼻についた。

  • 『犯罪者』の登場人物3人のその後の話。
    『幻夏』は相馬の幼少期に出会った兄弟が絡み合うミステリー。
    23年前に出会った兄弟の兄が失踪。その兄弟の父は冤罪で服役しており、服役後に亡くなってしまっている。
    そして23年後、兄弟の母から興信所を営んでいる鑓水へ失踪してしまっている息子を探して欲しいとの依頼。

    ストーリーの構成がとても上手で引き込まれてしまう。
    全ての事件が繋がり真相が気になって後半は一気に読んでしまいました。
    面白かったけど、真相を知り読み終えてしまうととても悲しい物語。
    家族愛、兄弟愛、それから兄弟と相馬の友情、鑓水、修司、相馬の絶妙な連携も健在で、やっぱり太田愛さんの小説は完成度が高い。

  • テレビドラマなら2時間の前編、後編くらいのボリューム?著者は「犯罪者」と同じく、テレビを中心に活躍中の脚本家。

    警察の歪んだ捜査、取り調べ、裁判では検察側が有利と思われる制度、を背景にして、過去の冤罪事件と少年失踪事件、現在の少女失踪事件を解くストーリー。盛り沢山になるところを、最後は回収して見事な余韻の残るエンディング。

    前作と同様、登場人物の能力が相当高い。その辺りがテンポの良い展開につながってるように感じる。一気読み推奨。

  • 犯罪者 上・下巻を読み終わり、即こちらを再読!
    ただ今、夏の回想真っ最中。
    なるほど、やはり犯罪者を先に読んでおいた方がより楽しめる。

    2度目の読了。
    …こんなにぐっと来る終わりかただっただろうか。
    やはり犯罪者を読んだことが深みを増しているのだろうか?
    悲しみややり切れなさはもちろん深くあるけど、良かったねという感情が渦巻いて終わった。

  • 天上の葦、犯罪者に続いて読んだ。上下巻になる長さでなく、ちょうどよい量だったと思う。ましな警察官はいないのか、本当にこんな警察官ばかりだったら世も末だ…と思うくらい、このシリーズには、正義の味方の警察官はいない…。それはさておき、続きが気になるストーリー展開は見事。ラストはいつものスピード勝負な感じで、ついつい読むスピードも上がってしまう。尚が少しでも素敵な人生を送ってくれたらよいなと思う。鑓水の事務所で働けば役にたつのにな…。

  • 今回も読み応えがあった。
    過去と現在を行ったり来たりしながらのストーリーで、ぐいぐい引き込まれ、あっという間に完読。
    12歳の男の子のすごい決断と覚悟に胸が痛みます。
    家族はもういないけれど、命をかけて真実を追い求めてくれた友人がいる。
    生きていてよかった、と思える日がきますように。

  • 夏の少年3人の思い出。
    引越しが決まっている亮介と
    尚と拓 仲良し3人組。
    今から23年前。
    尚が謎を残し突然失踪する。

    見つからないまま大人になり、
    ある少女誘拐事件が発生する。

    そこから、すべての真相がひとつ、またひとつと明らかになっていく。


    話の内容、流れは面白い、
    真相が知りたくて仕方がなく
    読み進めるものの
    登場人物が多く、誰が誰かわからなくなってしまった部分があった。




  • 相馬の少年時代

    過去が今につながり、謎が解けていく
    修司と鑓水はサポート的な登場

    冤罪の家族を思うと辛い、やりきれない

  • とあるブログで紹介されていたので読んでみたが、面白かった!内容が重厚なので一気読みではなかったけど、ストーリーが進むにつれてどんどんはまっていく。登場人物の内面もしっかり掘り下げられていて非常に完成度が高い。良質の刑事ものの2時間ドラマを見ているような印象。

全141件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

香川県生まれ。「相棒」「TRICK2」などの刑事ドラマやサスペンスドラマの脚本を手がけ、2012年、『犯罪者 クリミナル』(上・下)で小説家デビュー。13年には第2作『幻夏』を発表。日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補になる。17年には上下巻の大作『天上の葦』を発表。高いエンターテインメント性に加え、国家によるメディア統制と権力への忖度の危険性を予見的に描き、大きな話題となった。

「2020年 『彼らは世界にはなればなれに立っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

太田愛の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×