八月の母

著者 :
  • KADOKAWA
3.81
  • (93)
  • (179)
  • (105)
  • (24)
  • (6)
本棚登録 : 1539
感想 : 165
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109076

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本の厚さにおののいたが問題なく読破できた。
    とても面白く読後感もいいが、いくつか疑問(不満)点もある。
    1)エリカにとってなぜあそこまで第三子である日陽が特別だったのか。特に第二子は男の子。育てるのにすごく違和感や葛藤があったと思うがそこに全く触れられていないのが消化不良。
    2)上原の存在が分かりにくかった。息子に「おじいちゃん」と伝えていたが、それは違うよね?!あと上原は教師の友人として登場し、その後取材を口実に越智家に深入りしていく(らしい)が、事件後日陽の後見人(?)になっていて、一連の彼主体の感情が描かれず理解が追いつかない。

  • 連鎖。どうしようもない救いのない連鎖の中でもがく。最後の頁で救われる。実際にあった事件を元にしているという事で、この作品を通してその事件に対しての作者の叫びが聞こえる。(作者の主張が強すぎるのがあまり得意でないので星4つまでは)

  • ものすごく辛い話だった。こんなひどい人ばっかりに出会う人生ってあるん?と思うけど,現実にはあるのだろうと。報道を聞いたときは衝撃を受けたであろうけれども全く覚えてなかった事実にもショックを受ける。
    でも希望を抱ける最後で良かった。早見さんはいい人だ。

  • 愛媛県伊予市で起きた「少女暴行殺人事件」をモチーフにしたフィクション

    実際起きた事件の詳しい背景はわからない
    でも どこかで誰かが救えたはずなのに。。と思うとやりきれない

    傷つけあっても何も変わらない
    勇気をもって逃げて!!そればかり祈ってた

    ─「あなたの人生は誰かのためにあるわけではない あなただけのものだから」─

    自分のなかでは海辺の母と子の映像が流れている

  • けっこう分厚い本だったけど、一気に読む。
    内容は凄惨極まりない。
    でも、頁をめくる手が止まらない。
    時代背景も舞台(東京と愛媛県伊予)も行ったり来たり。
    この幸せに暮らしてるメーカー勤務の夫と可愛い息子、もうすぐ産まれてくる女の子の母親がてっきり”エリカ”だと思ってた。
    手先も器用で髪を切るのが上手ってあったし、でもなんとなく違和感はあった。そっか、エリカがバーに勤めてた時、交際していた西山との間に出来た子だったのか。
    美智子、エリカ、陽向と三世代に渡る抗えない”血”の話しでもある。
    唯一、陽向がそれを断ち切ってラストを迎えたのが救いか。
    それを命懸けで陽向を守って自分は暴行死されてしまった紘子へのはなむけだったのか。
    なぜ、紘子はそこまでこの赤に他人にエリカと陽向を守ろうとしたのか、母性なのか、釈然としない。
    あの紘子の母も、母なりに精一杯紘子を愛していたではないか。
    今際の時になって、母親の携帯にかけたのは母の愛に触れたかったからなのか。
    それにしても、この暴行シーンは読んでいて辛かった。
    実際、愛媛県伊予市で起きた事件をモチーフにしてるらしいけど。この母親は主犯格で子どもたちに指示してたというからまさに鬼畜。
    タイトルの「八月の母」は美智子であり、エリカであり、陽向、そして紘子のことであろう。だってあの時、紘子はエリカの陽向の間違いなく母だったと思う。
    あーそれにしても、しんどい小説だった。

  • 団地シーンがあまりにひどくて長いので何度も閉じたくなるほど。実話ベースだそうですが、こんなことある?レベルです。居場所がないにしてもあんまりです。実際にあるのかもしれないけれど、全く共感できない流れでした。それでもやっと最後に辿り着いた「人生は誰かのためにあるわけではない。生きることを人のせいにしない。私の人生は私のためにある」だけは深く刻まれました。それを揺るがすものが現れた時はきっぱり断ち切る潔さを持とう、と強く決意しました。

  • 酷だけど、関わったら最後というのか。 
    かなりの覚悟を持って関わる必要があるなと。
    環境の連鎖を断ち切るのは難しい。
    周りは忠告しているのだけれど、ほんの少しの選択が生死を分けてしまう。ラストでエリカが全く変わっていない事がこの世の残酷な現実。

  • 八月のにおい。母のにおい。血のにおい。

    三代にわたる「母」の物語。
    生きるために母性よりも女の性を選び毒親となってしまった彼女。
    毒親という因果の輪を断ち切ろうとして断ち切れなかった彼女。
    断ち切るために大きな犠牲をはらった彼女。
    そして彼女たちの物語に巻き込まれてしまったもう一人の女の子。

    おーもーいー。つーらーいー。
    ズーンと魂に堪える作品。

  • 面白かった。後半の壮絶なことよ…。

  • 皮肉にも著者の卓越した描写が読み手の心を深い穴に突き落とす。美智子、エリカ、陽向、3代に渡る母子の生き様や関係性が重かった。何より紘子を救って欲しかった。沈鬱たる読後感でした。

全165件中 91 - 100件を表示

著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

早見和真の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×