祈りのカルテ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109809

感想・レビュー・書評

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  • 初めて知念実希人さんの作品を読ませていただきました。一言で言うと新鮮!新たな出会い。ほとんど一気読みでした。

    ご自身が医師ということもあり、専門用語が頻出。それらは雰囲気だけは理解できるのだが、専門用語が意味しているところは想像の域を出ない。しかしリアリティが感じられる。初めての味わいでした。

    まだ、専門領域を決めかねている研修医の日々を描いた作品。精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科。2年の研修期間に様々な医療分野で実体験を積み自身の専門分野を決めることとなる。

    改めて医師の世界の厳しさを知ることができた。同時に医師もやはり人間なんだということがよくわかってくる。

    医療に関する専門用語やリアリティのある症状、診療の内容、診断の方法や、薬の投与の仕方。多くのことを学ばせてもらったような気がする。

    ただ、研修医である主人公が断片的な事実に基づいて推理していく、その能力がずば抜けすぎていて、ついていけないところがあった。この推理が創作のコアの部分だと思うのだが、かなり飛躍したオチになっている。(納得はできるのですが)

    最後にはスカッとするのだけれど、少し出来すぎのように思われた。

  • 研修医の諏訪野良太が、さまざまな科で研修を積みながら自分が専攻する科を決めるまでのお話。連作短編。
    お医者さんは、研修期間に数か月ずついろんな科を回る。知らなかったなぁ。
    短編ひとつごとに、ひとつの科のエピソードが描かれている。
    最後の「胸に嘘を秘めて」(循環器内科)は、きれいな話でいかにも泣かせにきてるんだけど、狙い通り(?)涙が出てきてしまった。

    「彼女が瞳を閉じる理由」(精神科)の中で、諏訪野が言われていた言葉。
    「あくまで『精神科医にとっての欠点』であって、人間的な欠点ではないから。人間的にはどちらかというと、美点かな。君は患者に、というか他人にシンパシーを寄せすぎる傾向があるのよ」
    たしかに、精神科医が一人ひとりの悩みにいちいち感情移入していたらかなり疲弊しちゃうよね。
    それ以外にも、各話で諏訪野はひとりの患者に寄り添いながらその背景を丁寧に調べて、隠している秘密を明らかにして治療にあたっている。でも、実際の医療現場は患者一人ひとりにここまで入れ込むことはできないんだろうなとも思ってしまう。。。

    それでもやっぱりお医者さんってかっこいい。。。


    「スリルじゃない、達成感だ。その数時間、場合によっては数分間、俺たちが適切な治療を行えるかどうかによって、患者のその後の生活が大きく変わるんだ。つまり、患者の人生を背負って循環器内科医は治療にあたるんだ。な、やりがいのある仕事だろ、だからこそ、俺たちは必死に勉強し、必死に腕を磨くんだ」

  • 医療ミステリ短編集。新米医師の諏訪野良太が初期臨床研修で様々な科を回り、患者の謎を解いていくお話。
    精神科、外科、皮膚科、小児科、循環器内科を順に回っていくので、それぞれの科の様子を少しずつ知ることができ、とても楽しめました。

  • 今秋のドラマ化を知り、手に取りました。気になっていた作家さん・知念実希人さんの本を今回初めて手に取らせていただきましたが、すごく読みやすいのと続きが気になるのとで、一気に読み終わりました。続編の『祈りのカルテ 再会のセラピー』も読み始めたいと思います!

  • さらーっと読める。
    医療ミステリということで重い内容を想像していたが、各章が1話完結のお仕事エンタメという感じ。
    あまり読書をしない方でも読みやすいと思う。

  • 1年前にドラマ化してそういえば読んでないなと思って読んだ本。
    知念実希人さんの小説だから安定に面白い。
    ヒューマン系でひとつむぎの手と繋がってるのもなお好き。もう一回読もうかな、、、

  • 読みやすくて良かったとは思います。
    医療系は初めてなのでどう表現して良いのやらです笑

  • 最後の章はとても良かった!
    ただ、短編なので一つ一つの物語が軽い、というか浅い。
    サクサク読めるが、読みやすいという言葉は少し違うような。。。
    医療ものだから誰もが分かるように読みやすいように、した結果なのかと。
    謎解き系になっているがエピソードの序盤でだいたい結果が分かってしまうのは残念かも。
    ドラマ版だと面白いのかな?

  • 大好きな知念作品で読みたかった1冊が文庫本として発売されたのを知り一気読みしました。

    純正会医科大学附属病院の研修医・諏訪野良太が主人公の医療ミステリー。

    本作は5つの短編とエピローグからなる連作物語で、5つの科で研修医として担当する患者の心の闇を解き明かしていきます。

    ○彼女が瞳を閉じる理由(精神科)
    「いま、睡眠薬をいっぱい飲んだんです。.....早く救急車をよこして」何度も同じことを繰り返し、もはや常連の女性。彼女が自殺未遂を繰り返す理由とは...

    ○悪性の境界線(外科)
    初期の胃癌と診断された男性が内視鏡による手術を拒み、開腹による胃の部分切除に拘る理由は娘と孫の為に...

    ○冷めない傷痕(皮膚科)
    ふくらはぎに火傷をおい運ばれてきた女性。入院中にもかかわらず彼女の火傷の範囲が広がった。自ら火傷をし、更にその範囲を広げた理由とは...

    ○シンデレラの吐息(小児科)
    重い喘息の発作で運ばれてきた女の子。治療で回復に向かった彼女は再び危険な発作を引き起こす。彼女が薬を飲まなかった理由とは...

    ○胸に嘘を秘めて(循環器内科)
    特発性の拡張型心筋症に侵され心臓移植以外に助かる見込みがない女優。治療費を集める為にTVを使い寄付金を呼びかける。そうまでしてお金を集めた理由とは...

    ○エピローグ
    2年間の研修医生活を終え、諏訪野が選んだ入局先は...


    説明
    内容紹介
    5つの感動がここに。連作医療ミステリ!

    諏訪野良太(すわのりょうた)は、純正会医科大学附属病院の研修医。初期臨床研修で、内科、外科、小児科など、様々な科を回っている。
    ある夜、睡眠薬を大量にのんだ女性が救急搬送されてきた。その腕には、別れた夫の名前が火傷(やけど)で刻まれていた。
    離婚して以来、睡眠薬の過剰摂取を繰り返しているというが、良太は女性の態度と行動に違和感を覚える。
    彼女はなぜか、毎月5日に退院できるよう入院していたのだ――(「彼女が瞳を閉じる理由」)。

    初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人や、循環器内科に入院した我が儘な女優など、驚くほど個性に満ちた5人の患者たちの謎を、新米医師、良太はどう解き明かすのか。

    「彼」は、人の心を聴ける医師。こころ震える連作医療ミステリ!
    著者について
    ●知念 実希人:1978年、沖縄県生まれ。東京都在住。東京慈恵会医科大学卒、日本内科学会認定医。2011年、第4回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、12年、受賞作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年には『仮面病棟』が啓文堂書店文庫大賞を受賞しベストセラーとなる。他著に『螺旋の手術室』『優しい死神の飼い方』『黒猫の小セレナーデ夜曲』『屋上のテロリスト』『時限病棟』『崩れる脳を抱きしめて』「神酒クリニックで乾杯を」シリーズなどがある。

  • なんか聞いたことある話だと思ったら
    ドラマになっていたのね~

    諏訪野先生おせっかい…優しすぎ…涙

    ハートフルなところより
    ミステリの色が強い方が好きだけど
    知念実希人作品への愛があって
    やっぱり「好きぃ……」となってしまった

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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