罪の因果性

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041109960

作品紹介・あらすじ

三年前の事件の再検証をしたい――カフェで働く佑美のもとに現れた、星谷と名乗る男。彼は、かつて市役所に勤めていた佑美が意図せず個人情報を漏らしたことで起きた、地下アイドル刺殺事件の被害者のファンで……。

感想・レビュー・書評

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  • 2017年の9月3日のこと。
    地下アイドルの中央線防衛軍という五人組ユニットの一人、荻窪ひとみ22歳がストーカーによるものとみられる犯行によって公園で刺殺されます。

    武蔵平市の市役所に勤める倉多佑美28歳は、荻窪ひとみ(本名馬場ひとみ)の恋人と名乗る男から武蔵平市のひとみの転居先のアパートを電話であてずっぽうに問われ、答えはしませんでしたが「違います」と言ってしまったことから逆にひとみの住むアパートを知られてしまいます。
    そして、ひとみが刺殺されたのちにもう一度男から「あなたがひとみの住所を教えてくれて助かった」という嫌がらせの電話がかかります。

    そしてひとみのストーカーは防犯カメラに映っていた原付の映像から、野上昇という前科のある男が怪しいとされ、家宅捜索により殺害に使った凶器が見つかりあっけなく逮捕されます。野上は「知らない」「やっていない」の一点張りです。

    そして2020年、市役所に居られなくなって辞職して喫茶店でアルバイトをする倉多佑美のところへ、星谷隆弘という30歳の男が訪ねてきます。
    星谷は中央線防衛軍のひとみ推しの青年でした。
    そこへ3年前の担当刑事の源田とひとみ推しだった星谷の仲間たちも招かれて、星谷は「犯人は意図的に倉多さんを巻き込んだ」「倉多さんに対する嫌がらせ」「倉多さんの人生を狂わせた」という言葉を口にし、星谷の思うところの事件の真相を語り出します。


    以下、私の感想でネタバレありますので、お気をつけください。



    ここまでするんだと思いました。
    復讐をしたい気持ちはわかるけれど、不幸な復讐事件だったと思いました。
    ひとみは何も殺される理由などなかったのですから。
    星谷の最後の「オタクをナメるな」が響きました。

    • くるたんさん
      まことさん♪こんばんは♪

      たしかにここまで…と、思いましたよね。最後の最後まで読むと女性たちがかわいそうで…。
      どこまでが因果なのか、モヤ...
      まことさん♪こんばんは♪

      たしかにここまで…と、思いましたよね。最後の最後まで読むと女性たちがかわいそうで…。
      どこまでが因果なのか、モヤモヤします。
      2021/09/07
    • まことさん
      くるたんさん♪おはようございます!

      犯人の怒りはわかるけれど、ひとみは人違いで殺されたんですよね。
      ちゃんんとよく調べて欲しかった。...
      くるたんさん♪おはようございます!

      犯人の怒りはわかるけれど、ひとみは人違いで殺されたんですよね。
      ちゃんんとよく調べて欲しかった。(というのもちょっと違う気がしますが)復讐より、原因となった事件をちゃんと調べて償ってもらえばよかったのにと思います。
      2021/09/08
  • 複雑な気持ちになる一冊。

    自分が応対した一本の電話。それが事件の引き金を引いてしまったのかー。という何とも心臓に悪いスタート。

    些細な事が事件に繋がるなんて思いもよらぬ怖さ、人の打算的な優しさ等、身近に潜む恐怖を盛り込む仕掛けで一気読みさせるミステリだった。

    この事件の繋がりは全くの予想外。
    探偵の想いもすごい。

    そしてこれを罪、因果性と呼ぶに値するのか…。正直、複雑な気持ちが渦巻く。

    やり場のない感情の置き場所、心の救いを求めるために、人間って時に無理矢理にでも因果を見出し創り出す生き物なのかも。
    そんな事を感じた。

    • まことさん
      くるたんさん♪

      確かに探偵の思いもすごいですよね。
      >無理やりにでも因果を見出し創り出す生き物
      いつもながら、凄いくるたんさんの表...
      くるたんさん♪

      確かに探偵の思いもすごいですよね。
      >無理やりにでも因果を見出し創り出す生き物
      いつもながら、凄いくるたんさんの表現力。
      2021/09/08
    • くるたんさん
      まことさん♪こちらにもありがとう♪

      原因となった事件を調べて…ほんと、そう思います。
      世の中、どれだけの因果があるのか、自分の何気ない行動...
      まことさん♪こちらにもありがとう♪

      原因となった事件を調べて…ほんと、そう思います。
      世の中、どれだけの因果があるのか、自分の何気ない行動が何かを引き起こしていないか、怖くもありました。
      2021/09/08
  • デジタルプルーフ当選本。市役所で勤務する佑美宛てに不審人物から荻窪ひとみの住所を尋ねられるが、佑美は教えない。後日、佑美は地下アイドル・ひとみが殺害されたことを知り、また、電話で犯人らしき人物から佑美に住所を教えてもらったと何故か感謝される。佑美の退職、婚約破棄など負のイベントが続く。今回の荻窪ひとみ殺害には東日本大震災の時に起きた事故が絡み、さらに犯人の誤った理解が相まって「罪」が「罪」を生んでしまう。「罪」が増えるとことは被害者も増えることに帰結する。悲しいかな「罪の因果性」の正体を見た気がした。

  • ふとした事がきっかけになり、それが負の連鎖となって自分の身に降りかかってくる。

    誰にでも弱さや迷いはあるが、隠すことで余計に在らぬ疑いをかけられ、自分自身を追い込むことになるという…
    どうなるのだろう…と最後まで目が離せなかった。


    市役所職員の倉多佑美は、大学時代に自動車事故をおこした。すでに終わっている事で気にも留めていなかった。
    それが、市役所で働き6年目、かかってきた一本の電話により人生が狂わされる。
    人生を狂わされたのは彼女だけではなく、命まで奪われるという地下アイドル、そしてその犯人にされた男。
    真相を突き止めたのは、地下アイドルを推していたファンだった。

  • 初の横関作品。図書館本。

    ルパンの娘の原作者さんなんですね。
    推し地下アイドル殺人事件を、ファンのほっしーが謎解く。
    ほっしーの誠実キャラがよいですね。
    テンポよく読ませて頂きました。
    後味ちょっぴり苦い作品。

  • 初横関さん。読みやすくってなかなか面白かった。

    実際こういう玉突き事故的なことはよくある事なんだろうけど、ラジオのちょっとした会話だけで逃げ出した女子高生だと決めつけられて、殺されてしまったひとみちゃんが一番悲劇。

    逃げてしまった女子高生の桃ちゃんとトラック運転手が恨まれるのはわかる気もするけど、倉多さんは貰い事故過ぎる。



  • 偶然かと思っていたら必然だった。
    小さな因子が積み重なった悲しい話。
    でも、巻き込まれてしまった人はなんとも声を掛けられないくらい可哀想。


  • 横関大さん初読

    3年前、自称オタクの星谷が推す地下アイドル
    グループのひとみんが殺される。

    星谷は何故ひとみんが殺されなければ
    ならなかったのか、この3年間
    ずっとずっとずっと考えていた。

    事件の関係者である元市役所職員の佑美、
    担当した刑事の源田、
    星谷を含めたひとみん推しのグループメンバー4人、
    メンバーは揃い殺人事件の再検証が始まった。

    物語は、関係者の当時置かれた状況や心境が
    時間を明示し当人の視点から語られる。

    ひとみんが殺された本当の理由は何か、
    単なる地下アイドルの殺人事件に留まらない
    事件が起こった因果関係の真相が解き明かされる。


    推しのファンが事件の根本解明に動く話は
    初めてで新鮮でした。
    アイドルファン、野球部ファン、バンドファン、
    地下アイドルファン、のめり込む対象は違っても
    熱量や想いは共通だと感じれました。

  • 地下アイドルにオタクをテーマにしたミステリーですね。
    ラストが悲しい結末です。
    それがリアルに感じました。

  • いったいどう話が繋がるのかとハラハラしながら読みました。
    そう来たかーと言う結末でしたが、共感はしづらかった。
    復讐の動機としては弱かった気がします。
    復讐の相手、三人のうちいちばん復讐しなければいけなかったのは野上では?
    原因を作った(と思っていた)女子高校生、そして急ブレーキをかけて追突事故を誘発した佑美については致し方ない行動だったのでは?
    佑美の電話対応も取り立ててミスがあったわけでもないし、佑美とひとみんが気の毒でモヤモヤしました。

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著者プロフィール

1975年静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒。2010年『再会』で第56回江戸川乱歩賞を受賞。著書に『ルパンの娘』『ピエロがいる街』『沈黙のエール』『チェインギャングは忘れない』『スマイルメイカー』『グッバイ・ヒーロー』『炎上チャンピオン』『仮面の君に告ぐ』『いのちの人形』などがある。

「2023年 『ゴースト・ポリス・ストーリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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