まち歩きが楽しくなる 水路上観察入門

  • KADOKAWA
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041110256

作品紹介・あらすじ

コンクリートで蓋をされ、アスファルトで埋められて、道路へと変えられた川や水路たち。かつての水面が地面になったもの、それが「水路上」である。
道路の亀裂でわかる川の跡、ガードレールになった橋の欄干、水車の形を模した遊具――全国各地の水路上を歩いた2人のマニアによる、偏愛に満ちた入門書!


【目次】

第1部 “水路上”観察入門 ~路であって路ではない~

第1章 街角の違和感にはわけがある
 1 細長い公園の秘密を探る
 2 せめぎあいが生んだ芸術的配列
 3 珍しい遊具に秘められた記憶
 
第2章 “水路上”のもつ特徴
 1 見ることのできる裏側
 2 境界をつくるもの
 3 複雑怪奇なその歴史

第3章 水の記憶のしたたかさ
 1 唐突にある謎の池
 2 失われた幻の弁財天

コラム1 “水路上”から“水”路上へ

コラム2 路上が“水”路上に変わるとき

第2部 “水”路上観察入門 ~かつての水路を愉しむ~

第1章 “水”路上とは何か
 1 路上のフラジリティ
 2 “水”路上のいま
 3 水辺、草萌える場所
 4 よどみへのまなざし

第2章 水面からの視線
 1 水面から見上げるもの
 2 蓋on蓋~“水”路上にかかるもうひとつの蓋~
 3 川岸としての擁壁を味わう

第3章 水の名残りとしての橋
 1 かつての水路に残る「暗橋(あんきょう)」
 2 「野良」暗橋はロックだ!
 3 はみだす暗橋たち

感想・レビュー・書評

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  • かつて川や水路のあった場所は地面になり、道になった。
    そんな暗渠や水の痕跡、水路上を探し、辿る、水路上観察入門。
    第1部 “水路上”観察入門
       第1章 街角の違和感にはわけがある
       第2章 “水路上”のもつ特徴
       第3章 水の記憶のしたたかさ
    第2部 “水”路上観察入門
       第1章 “水”路上とは何か
       第2章 水面からの視線
       第3章 水の名残りとしての橋
    コラム1~2。適宜、参考文献有り。
    そこには水路や川があった。水路上に様々な形で残る、
    痕跡と記憶を探す、水路上観察を教示する入門書。
    暗渠といえども奥が深いものだなぁと、しみじみ感じました。
    ふと視線に入ってくるのは、路上に残る水路メモリー。
    遊具、水車や舟のオブジェ、モニュメント、謎池、自前階段。
    植栽や廃渠もある。名残りの擁壁に暗橋。
    水路上から眺める風景の妙。蓋on蓋の高架の絶景など。
    そういえば昔、水田や畑が広がっていたから、あのコンクリの
    歩道の下は用水路だったのかなぁと、近所の暗渠に興味が。
    丁寧に示唆されるので、こういう街歩きもしてみたくなります。

  • 978-4-04-111025-6
    c0025¥2000E

    まち歩きが楽しくなる
    水路上観察入門

    2021/04/27. 初版発行
    著者:吉村生(よしむら なま)
    著者:高山英男(たかやま ひでお)

    発行:株式会社KADOKAWA

    --------------------------------
    街歩きが好きで、あちらを見たり、こちらを見たり・・・。
    「水路上」という言葉に出会ったのは初めてだけど、側溝のコンクリートの蓋を辿って歩いたこともある。地元であっても、ここにつながるのか・・・?なんてこともあった。

    今は下水道が完備されているが、ドブがあったことを知っている。
    食後にお茶碗を洗うと米粒が流れていたりもしていた。蓋のあるところもあるし、ないところもあって、金木犀の季節には溝にオレンジ色の花が流れてくるので、それを遡って大きな金木犀の木にたどり着いたこともあった。
    溝というかドブというかそれらは、下水道にその役を譲り、現在たぬきが爆走ロードになっている。神出鬼没のたぬきやらムジナの人目につかぬハイウェイになっている。正確にはもう水が流れていないから暗渠ではないけれど。

    細長い公園は、埋め立てた跡地になっている例がたくさんのっていた。
    自分の身近な細長い公園は、電車が通っていた跡地である。

    それが欲しくて作るのと、不要になったものを撤去したあとの違いはあれど、生活様式が変わったということだろう。
    変なものを見つけたら、何でコレがあるのかなーってちょっと考えると面白い。

    平らな街でなく、丘になっている街だと、静かな田舎町にチャボチャボ水の流れる音がして、迷子も楽しい。(暗渠じゃないけどw)

    町家の家と家の隙間にも水路があって、蓋がしてあって、境界なんだろうけどお構いなしの猫がいたりする。 街歩きは楽しい。その一つの例。歴史的に、学術的に攻めるもよし不思議がるのもよし。

  • ローカル過ぎで分からない部分もあったのですが
    地元との共通点を考えながら楽しめました
    細長い公園は灘にあるよね←ここは線路跡ですが
    後半部分の分類やネーミングが面白い
    何と実家には暗渠があるという事に気がついた
    用水に蓋をして通路に使用してるんですよね笑
    ウオッチング対象物件かも
    路上観察って面白いなぁ!

  • 街歩きをテーマにしたテレビ番組や本、雑誌が数多くある。取り上げるテーマもいろいろだ。歴史、文化、グルメなどの定番から、ブラタモリのような地形に特化した注目の仕方もある。




    今回の本は、暗渠(あんきょ)という地下に埋設された水路をはじめとした昔、川や水路だった場所に強い興味を抱いた2人による観察入門だ。





    隠しても隠しきれない土地の痕跡(こんせき)が見える。普段、何気なく歩いている街に秘められた歴史。観光名所とは違った楽しみがある。




    東京都内限定だが、それでも1冊の本になるくらいのボリュームがある。日本全国ならもっとあるのかな。




    上を向いて歩くだけでなく下を向いて歩きたくなる気にさせる今回の本だった。

  • 放置自転車を枯山水の庭石に例えるところとかおもしろかった。

  • 誰もがここの中に暗渠を抱えている。かつての水路の痕跡、水の記憶を探るまち歩き。

    昔は川だったところ。現在は道路だったり公園だったり謎の細い路地だったり。
    そんな痕跡を観察する内容。

  • 今まで見た暗渠本のなかでは一番面白かった。

  • 自分の暗渠趣味は何を持って暗渠趣味と称しているのか、と追求してみたくなる一冊だった。歴史?地理?オブジェクト指向??そもそも路上観察系から?地図/地理系から?
    …どんなスタイルなのかはともかくとしても、暗渠を媒介とした楽しみ方というものが無限に広がっているのだと思わされた。ただ、そのスタイルの違いを明確にしたくなるは、私個人の資質のなせるものであろうか。
    前書きで林丈二さん、後書きで赤瀬川原平さんの言及があるが、著者お二人の暗渠への接し方の違いと言及された人の違いに表れているような気がするのだが、これは深読みであろうか。

    一読をお勧めする。読んだら街に出たくなるはずだ。

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著者プロフィール

吉村 生(よしむら・なま):髙山英男との共著『暗渠パラダイス!』(朝日新聞出版)、共著『はじめての暗渠散歩』(ちくま文庫)

「2024年 『暗渠マニアック! 増補版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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