弓を引く人

  • KADOKAWA
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041114162

作品紹介・あらすじ

【『アルケミスト』の著者、パウロ・コエーリョが贈る「人生を実り豊かにする」教え】

この国で最高の弓の達人である哲也は、現在、小さな村の普通の大工として生きていたが、
ある日、遠い国から来た別の弓の達人から挑戦を受けた。
哲也はこの挑戦を受けることによって、その弓の達人だけでなく、村の少年にも弓の真髄を
教えるのであった――。


「矢は一本一本、異なる飛び方で飛翔する。
 あなたは何千本という矢を射ることができるが、
 その一本一本が異なる軌跡を描いて飛んでゆく。
 それが弓の道なのだ。」

感想・レビュー・書評

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  • 『アルケミスト』のパウロ・コエーリョによる弓道を題材にした寓話。

    ひとつだけ引用します。

    『「うまくいった、もうこれ以上学ぶことはない」などど決して言わない人と付き合いなさい。なぜならば、冬のあとにはかならず春が来るように、何ごとにも終わりはないからだ。自分の目的を達成したあとも、あなたはそれまでに学んだことのすべてを使って、再び前に進まなければならないのだ。』

  • 難しかった。

    読み終えて最初の感想は「難しかった」です。集中力を欠くと内容が頭に入ってこず、集中し、かつ行間を、これまでの人生経験で得た知識を総動員しながら読む必要がありました。難しかったけど、著書のパウロ氏が伝えたかった何かは伝わってきた気がします。

    本の装丁が個人的に好きです。余白の使い方や挿絵が素晴らしく、本全体がアートだと感じました。本から放たれるエネルギーがまるで美術館です。個人的に美術館は好きでときどき行きますが、正直展示作品の良し悪しは難しくてわかりません。ただ、美術館全体のエネルギーが好きなだけなのですが、この本はそんな本でした。

    現在「結果がすべて」の世界で剣道をしている高校生の娘に読ませようと思いましたが、難しくて読めるかなと勧めるのをやめようと思いました。が、しばらく考えて、やっぱり勧めることにしました。娘は娘なりに何かを感じ取ればいいんだと思ったからです。読書に正解はない。100人いれば100人の読み方感じ方がある。最近、ようやくこのことに気づきました。

  • 弓道を通じ、佇まいや心のあり方を粛々と説いてくれる。そんな本だと思った。ひとつひとつが深く、何度も繰り返し読んでいきたい本だと思った。宮本武蔵『五輪書』にも通じる、心や技をひたすら鍛錬し続ける、精神力を磨くための本だと思った。
    なんでこんな本が書けるのか、とも思った。
    ところが、エピローグにたどり着いた時、弓道を通して見ていたものはただ一部にすぎないことを知った。
    弓の道が人生そのものではなかった。人には必ず生死があり、精神を磨くことは、常に死と隣り合わせの人生を真っ直ぐに進むための手段でしかなかった。
    心が震えた。大切に生きたい、そう思う。

  • 弓道を通じてパウロ・コエーリョの心を震わせた、精神の安寧を獲得するための生き方を表現した絵本。クリストフ・二ーマンによる挿絵は、幾分か哲学的な雰囲気ですが、文章の方は想像力を増幅する言葉の多重放射が弓道の心得を通じて語られる。翻訳の文章が断定的な言葉使いなので、達見した感じを与え、そこから人生訓のような意味を見いだす人もいるのかもしれませんが、自分は弓道の動作、姿勢から思い出された、作者の経験との連想が淡々と綴られた散文詩のように受け止めました。読む人により感想の振れ幅は大きな本だと思います。

  • こんなにたくさんの
    項目があるとは・・・

  • もう少し、物語的なものを想像していましたが、まるで哲学の本のような言葉の難しさを感じました。
    心の在り様や精神的なものを言葉にするのは、とても難しいので、訳するのは大変だったのではないかと思います。

    弓道教本にある、「礼記・射義」や「射法訓」「真善美」など、一度でも弓道を学んだ人なら、そこに結び付くような言葉がチラホラあるので、難しいながらも思いを馳せることが出来るのではないでしょうか。

    繰り返すことによって、一番良い形、良い力になれるという、繰り返すことの大切さが、とても分かりやすかったです。

  • 武道の中では、人気の上がってきている弓道。アニメやドラマ、映画にも登場することがあったからか、毎年入部希望者が増えてきているように思う。そんな弓道の見た目の格好良さだけでなく、心の在り方を教えてくれるのがこの作品だと感じた。

    ただ、弓道をやったことがある人には学ぶことが多いと思うが、やったことがなければさらっと読んで終わりになってしまいそう。

    弓の精神性は、言葉にするのは難しいし、あたりを求めるとつい疎かになる点でもある。あたればいいんでしょ?という気持ちで引いている人は、射形が美しくない。難しいテーマであるが、この作品を読むことで自分の心の在り方を振り返ることができたら、良い弓引きとなれるのではないか、そんなふうに思った。

  • 教訓的な物語。

  • 最上かつ正確に的を射ることと魂の平安を保って的を射ることとは全く別のこと。

    マスターとは魂の奥に最初から持っている自分自身の知恵を見つけるために、生徒を鼓舞し霊感を与える人のこと。

    弓を理解するためには弓があなたの腕となり、あなたの思考の延長にならなければならない。

    危険を冒さなければ、何を変える必要があるのか、絶対に知ることはできない。

    エレガンスは余計なものが全て取り除かれた時に達成されるもの。
    そのとき射手は単純さと集中力を発見する。

    弓を取り上げ構える時その一射までの準備を全て思い浮かべる。

    矢の弦にふれるその一点にこれまでの知識と体験が凝縮される。

  • 弓の道を詩的、哲学的に描き、古典文学のよう。ブラジル人が書いてるとは思えません。弓道もう一度やりたくなりました。

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著者プロフィール

1947年ブラジル、リオデジャネイロ生まれ。現代において最も影響力のある作家の一人といわれている。2002年よりブラジル文学アカデミー会員。著作の多くが世界的ベストセラーとなり、88か国語に翻訳され、これまで170以上の国々で3億2000万部以上を売り上げた。多くの名誉ある国際的な賞を受賞しており、そのなかにはフランスのレジオン・ドヌール勲章がある。2007年には国連ピース・メッセンジャーに任命された。

「2021年 『弓を引く人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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