「違うこと」をしないこと (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 2000
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041114339

作品紹介・あらすじ

「違うこと」とは、
“その人の生き方の中で、今ここでするべきではない”こと。
→→「なんか違う。」その直感がそう教えても、義理とかしがらみ、習慣に縛られて、我慢したり、そんな風に思う自分を責めたりしていませんか。自分を生きるって、むずかしいこと。これをすれば幸せになれるとか、これをやめないと不幸になるとかではありません。自分を生きるためには、まずは自分に正直であること。本来の自分を生きるには違うことをしないことが大切なのです。
その生き方のヒントがこの本にはあります。文庫化にあたり、書下ろしも充実。新たに25問、読者からの質問にばななさんが答えます。文庫版おわりにも書下ろし収録。

感想・レビュー・書評

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  • ある決意のため、背中を押してほしくて、自分の決意は誤ったものではないと言って欲しくて、選んだ一冊。

    でも。どこかに。帯でも、背表紙でも、とっても小さくてもいいからどこかに書いてほしかった…スピリチュアルだということを…!!
    そう、わたしはスピが苦手だ。散りばめられた「神様」や「宇宙」を感じることが、きちんと理解することが、できなかった…
    久々に飛ばし読み。

    最終的には、背中を押してもらったことになるのだろう。わたしは、ある決意ができた。
    あれから一週間。何度も頭の中で、その決断が正しかったのかと反芻しては、やはり正しかったのだと落とし込む。これを何度も繰り返してる。その決断が正しかったのかなんて、今でもはっきり言って分からない。それを正しかったと思えるように生きていく。自分自身で決断するって、そういうことだと思ってる。いや、でも…ここでまた今自分の言ったことを反芻して、揺れる。揺れながら生きていく、そういうもの。

    帯の説明では、「違うこと」とは、嫌なことをしないことでも、ただ正直に生きることでもありません。それがいったいどういうことかわかったら、人生が急に拓けます。
    と、あって、
    P14「『違うことをしない』って、どういうことなんでしょうね。『したいことをする』っていうのとすごく似てるけど、微妙に違うんですよ。言葉で説明するのがちょっと難しいのですが、ヘンに力が入ったり、ちょっとでも圧がある感じがあったら「あ、こういうことじゃないな」と思う感じ。もっとこう、流れみたいなものに乗っていく感じ。その瞬間にする行動はほんとうにいつもひとつだけ。
    P16「たとえ微かな兆しでも、自分が『したくないこと』を受け流さない。『まあ、いいか』って安易に人に合わせない。妥協しないで実行することで、流れがちょっと変わる」
    つまり、一番近い感覚としては、「違うことをしない=違和感を感じたことをしない」「違和感を放置しない」ということ?うん、それはわかる。何事においても、「違和感」て大事で、放置はしない方がいい。

    だけど。
    P17「結局、その瞬間その瞬間のその人にとっての正解みたいなものって、ひとつしかないんですよ。それは誰が決めるんでもない、宇宙の流れと本人の人生が交わる点でおのずと決まってくるものなんです」
    宇宙の流れ…?正解って本当にひとつなの…?と、そこを疑いだしてしまって、ばななさんが仰る「違うことをしないこと」、それをきちんと理解できていないような気がしてる。だから、わたしはちゃんとこの作品を理解した上で背中を押されたわけではなく、大切なことを決断する力がほしかっただけなのではないか。

    P136「子どもの頃『こうしたい』と思っていた自分を殺さずに、生き延びさせるって、本当に大変なことで、周りの声に『もっとこうすべき』みたいなことを思い込まされてるうちに、本当はどうしたかったのかがわからなくなっちゃったりする。知らず知らず、自分の本心を抑えつけて、ないことにしちゃう。それで息苦しいんだと思う」
    というのと、
    P162「食欲とか性欲とか何でもいいけど、『欲をあんまり育てちゃいけない』って、どの宗教でも言うけど、ほんとだなって感じがします」
    っていう、一見矛盾しているようなこの箇所。最初は混乱した。だって、全てではないと思うけれど、本音と欲って、表裏一体じゃない?

    たぶん、「抑えつけられた本心」っていうのはこの社会の中で生きている以上確実に誰の心にも存在していて、その生きづらさがあるからこそ、「違うことをしない」っていうメッセージが刺さるのだと思う。でも一方で、欲を調整する「もっとこうすべき」の存在によってわたしたちはバランスを取って生きてる。どちらかがバランスを崩すとそれではまた生きづらくなる。わたしはこの「生きづらさ」の処方箋を、スピリチュアル以外のもので、欲していたのかもしれない。

    この作品では「愛」と「宇宙」のメッセージがすごく強くて、どちらも明確な説明もないので、わたしはこの作品の中で語られる「愛」も「宇宙」も、身近に感じることができなかった。
    人生ってその瞬間がすべて選択の連続で、だから「違うことをしない」って、すごく身近なことように感じたのだけれど、わたしにとっては、今回は少し「違った」みたいでした。

    でもね。スピ苦手とか言って、そのくせ厄年とかはめちゃ信じる自分がいるんです。
    というか、自分に起きた悪いことを、厄年のせいにしがちなのだ。
    今年は本厄。
    来年は後厄。
    本厄だろうと前厄だろうと後厄だろうと、いつだって人生に厄はつきものなのかもしれない。いや、そう思っているということは、どこかでわたしは「違うこと」をしている可能性がある、ということなのか!?

    2022年が、わたしにとっても、皆さんにとっても、楽しい一年でありますように。

  • この本は五年ほど前に、表紙の可愛さとタイトルに惹かれて読んだかな。たしか。

    吉本ばななさんと周りの人達の対談形式のような、エッセイだっただろうか。

    正しいことや直感に誠実に、望む選択を出来る判断を養う手法の類の本はたくさんあるけれど、このタイトルのように、逆をついた本質に迫る経験談からの語りには、とても腑に落ちる読了感でした。

    新しい!けれど核心的!

    本当!たしかに!
    リスクを回避して選び取れる、獲物を狙うためのセンサーをまず、磨くことを促されがちだけど、
    なんだかちょっと違和感、腑に落ちない、
    分からないけれどぞわぞわする、

    そんな日々の小さな声を見落とさずに拾い上げて、本音に耳を傾ける

    そんな心のゆとりを作る空間の整理とリスクを捉えるアンテナに誠実であること

    逆算的な引き算の選択も案外、本質を浮かび上がらせてくれるんだろう。
    春までに再読しよう。

    転職志望者や新社会人の皆さんには、働く前にぜひ出逢ってほしい一冊です。

    (書籍情報:https://www.amazon.co.jp/dp/4041114330?th=1&psc=1&linkCode=ll1&tag=honnoakari-22&linkId=0fb97030c8e9b1bc2ea5b19ba7490133&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl

  • 装丁がまず優しくて、美味しいお饅頭を食べたように癒されますねぇ。
    本来の自分と「違うこと」から、どうすれば脱出できるのかを教えてくれる本です。白井剛史(プリミ恥部)さん、CHIEさんとの対談も深い! 
    何年か前、疲れ果てていた頃に読みたかったな。でも、当時の気持ちの中には入ってこなかったかも。

  • 大好きばななさん。彼女の真っ直ぐな人間らしさに背筋がピン!となる。
    当たり前だけどなかなかできない。答えはシンプルなのに難しく考えてしまう時はバナナさんに限る。

  • 人生のバイブルにしたい本。
    原点に帰って、自分を取り戻せる本。

    流れに身を乗せて、人生を生きていきたいなと思いました。

    頭で考えて行動に移すことはやめたい。

    なんか嫌だな、なんかいいなていう感覚を大切に生きていきたい。

    一回読んだだけでは落とし込めていないので、道に迷った時には何度も読みたいと思います。

  • 吉本ばななさん、小学生の時に読んで以来。かと思ったら、アンソロジーで感動したんだった。

    やわらかく、たんぽぽの綿毛のように軽やかな文体。そっとこころをつつんでくれる。

    いろんな人の価値観や考え方に触れることができた。共感しにくいところもあったけれど、ほー!と思いながら読んだ。ばななさんの文章はやさしい。

  • タイトルの良さ。
    鈴木成一デザイン室の装丁デザインのカッコよさ。
    とみこはんのイラストの素敵さ。
    見返しの小豆色の紙が美味しそう。
    そして、ばななさんの本ということで、迷わず図書館で借りた一冊。

    内容前半のスピリチュアル部分は「んっ?」でしたけど、
    読み進めていくと、ばななさんの伝えたいことがわかってきます。
    小説もこういった本も、ばななさんの伝えたいことは一緒なんだな。

    「なんだか生き苦しいわぁ~。どうゆうこと~?」という時に、
    読んで欲しい一冊です。

  • 普段は、読みたい本を探してから買う派で
    書店で 手に取って買うことはあまり無いけど、
    導かれるようにとった本。

    評価見てビックリ。
    スピリチュアル、スピリチュアル、スピリチュアル、、、、、またスピリチュアル。


    もちろんそういう要素もあるけど、
    人生の道標になるような学びの言葉がとっても沢山ある本なのに。


    人から見たら「違うこと」が「違う」とは限らないんですよね。自分にとっては「違わないこと」だったりする。


    人の書いた本を、誰かの違うこと、と定義するのは失礼だけど、
    色んな感想を見て、このセリフはしっくり来た。
    この本は自分にとって、違わない本で、
    何度も何度も間違えそうになった時、
    どう選択すればいいか悩みそうになった時、
    読み直したい本。

    とっても素敵な本に、導かれるように出会いました。すごいぱわー!!!!


  • あんまり自分には合わなかったかも。
    タイトルと表紙に惹かれて読み始めたものの急にスピリチュアルな話題が押し寄せてきて恐怖を感じました。こういう本だと思っていなくて免疫が無かった為、途中で読むのをやめてしまいました。一部いいことも言っていて賛同できる部分があるような、、

  • 「なんとなく足が進まない」とか「ここは私の居場所じゃない」みたいな流れを感じることはよくあるけど、そこにノイズが入ってしまうから素直に生きれない。改めて、「素直に生きていれば、きっと人生に無駄なことは起きない」のだと今ある毎日を肯定できるようになった。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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