名探偵の生まれる夜 大正謎百景

著者 :
  • KADOKAWA
3.57
  • (25)
  • (50)
  • (57)
  • (8)
  • (5)
本棚登録 : 741
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041114391

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【収録作品】カリーの香る探偵譚/野口英世の娘/名作の生まれる夜/都の西北/別れの歌/夫婦たちの新世界/渋谷駅の共犯者/遠野はまだ朝もやの中/姉さま人形八景

    文豪たちが事件に挑む大正浪漫ミステリ。とのことだが、どちらかというと、文豪たちをモデルとした、ゆるくつながる短編集。
    探偵志願の平井太郎、野口英世と友人でパトロンの製薬会社社長・星一、芥川龍之介、島村抱月、与謝野晶子・鉄幹夫妻、忠犬ハチ公の飼い主・上野教授、宮沢賢治・南方熊楠・柳田国男、山下清・平塚らいてう、などを取りあげている。

    これも好みの問題だが、実在の人物をモデルとしたフィクションは相当注意深く書かないといけないと思う。それっぽく書かれてはいるけれど、こんなもん? という作者の思惑が感じられて(偏見)、違和感が残った。

  • 明治、大正、昭和の文豪たちが登場する短編リレー。
    どっぷりミステリーって感じではないけど、読みやすくてあっというまに読了。
    作り話だとしても文豪を絡ませた話は、元ネタを知ってるだけにその人の新しい側面を発見したみたいで面白い。
    また他の文豪での話も読みたい。

  • 大正時代の文豪たちを取り上げたミステリー短編集。ミステリー的な展開は少なめですが、誰もが知っているであろう名だたる文豪たちが繰り広げる展開は、これが大正浪漫なんだろうな思わせるユニークさもあって面白かった。短編集だが、連作風に鍵となる物もあり、文豪を取り巻く人々の繋がりにニヤリ。

  • 面白かった。どこかで見たような作者名だなと思ったら、読んでみたいと思っていた本の作者さん。試しにと読んでみたら雰囲気がとても好みで、現実とフィクションの絶妙な混ざり方が違和感なく読めて良かった。連作と言えるほどではないけどこういう別の作品の登場人物が他の作品にも出てくる短編集好き。

  • 恥ずかしながら登場人物のざっくりとした知識しかなかったので、どこまでが事実に即していて、どこからがフィクションなのか分からず、逆に物語に入り込めた。
    「この若者が後の〇〇〇を創業した〇〇である。」といったお話がとてもテンションが上がって大好きなので、こちらの本は全話面白く読めた。
    「姉さま人形八景」は時代がどんどん遡って、いろんな人に話が移っていくが大正という時代を垣間見ることができ、一本の映画を見たような気持ちになった。
    巻末の参考文献ももっと詳しく見たい。

  • まず、野口英世の娘を読んで、渡辺淳一さんの「遠き落日」を思い出した。そこに出てくる野口英世は偉人とは思えないほど常識外れの人物として描かれており、金に無頓着で人に無心はするは借金は踏み倒すは、それでも援助をする人がいた。この本で書かれている野口英世そのままであった。次に八編の短編が若干の繋がりがあったことと出てくる人達が大正時代を生きた有名人だという驚き。全体にノンフィクションではと思わせるような内容だった。あと宮沢賢治と柳田邦男と南方熊楠の遠野での出会いはロマンを感じた。とにかく面白かった。

  • 近現代の著名人にまつわる8つの短編ストーリー。
    名探偵はたしかに生まれた。どの話も結末であぁ、そういうオチか、と思える内容。面白かった。
    130冊目読了。

  • 大正七年の秋、与謝野晶子は大阪で宙に浮かんでいた。
    夫である鉄幹と共に通天閣の足元に広がる遊園地「ルナパーク」を訪れたものの、夫の言葉に血がのぼり彼を置き去りにひとりでロープウェーに乗ったのだ。
    電飾まぶしい遊園地を見下ろし、夫婦というものの不確かさを嘆く晶子。
    そのとき突然ロープウェーが止まり、空中で動かなくなって……。(「夫婦たちの新世界」)
    遠野には河童や山男など不思議なものがたくさん潜んでいるという。
    隣村を目指して朝もやの中を歩いていた花子は、「くらすとでるま…」という不思議な声を聞く。
    辺りを見回すと、そこには真っ赤な顔の老人がいた。
    かつて聞いたむかしばなしに出て来る天狗そっくりの老人から逃げ出そうとする花子だったが、今度は黒い頭巾に黒い蓑をまとった怪しい男から「面白い話を聞かせてくれないか」と尋ねられ……。(「遠野はまだ朝もやの中」)
    (アマゾンより引用)

  • 偉人達をテーマにしたミステリーで、本当にありそうで面白かったです。
    野口英世ってあんなギャンブラーとは知りませんでした。それでも歴史に名を残すなんて、やっぱり偉人って凄いですね。

  • 意外といっては失礼ながら意外に面白かった。大正時代に活躍した文豪やら博士やらを登場人物にした短編集。人選が絶妙で詳しく無くても分かるのが良い。「夫婦たちの新世界」がベストで種明かしが論理的でかつ自分が思っていた方向に進んで読んでいて楽しかった。基本歴史には疎いのだが「大正浪漫」とはこういうものを指すのだなと感心してしまった。青柳さんは別作品でもあるように史実をベースにミステリを掛け合わせるのが上手い様に思える。まあ本作品はミステリ要素少なめですが。

全63件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青柳碧人の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
町田 そのこ
米澤 穂信
知念 実希人
凪良 ゆう
雨穴
津村 記久子
凪良 ゆう
米澤 穂信
夕木 春央
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×