丸の内魔法少女ミラクリーナ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.82
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本棚登録 : 1791
感想 : 105
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041130094

作品紹介・あらすじ

36歳のOL・茅ヶ崎リナは、オフィスで降りかかってくる無理難題も、何のその。魔法のコンパクトで「魔法少女ミラクリーナ」に“変身”し、日々を乗り切っている。だがひょんなことから、親友の恋人であるモラハラ男と魔法少女ごっこをするはめになり…ポップな出だしが一転、強烈な皮肉とパンチの効いた結末を迎える表題作ほか、初恋を忘れられない大学生が、初恋の相手を期間限定で監禁する「秘密の花園」など、さまざまな“世界”との向き合い方を描く、衝撃の4篇。

感想・レビュー・書評

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  • 毎回不思議な感性に驚かされる作家
    性を題材にするとピカイチ
    当たり前に疑問を投げかけたフィクション短編
    「地球星人」を超える物語を期待したが、今作はなかったかな
    やはりクレイジー

    琴線メモ
    ■今年で36歳になる私は、魔法少女を始めて27年目に突入

    ■大人になるということは、正義なんてどこにもないと気付いていくことなのかもしれない。

    ■パブリック・ネクスト・スピリット・プライオリティ・ホームパーティー

    ■なもむ

    ■解き明かしたい謎にどんな専門的な名前がついているかさだかではないとき、あるいはなにかを解き明かしたいのになにを解き明かしたいのか見当もつかないとき、やみくもに伸ばした手がつかむのは小説だったりするのではないだろうか。

  • リナは、小学3年生の時、魔法のコンパクトを手に入れてから、魔法少女に変身している。
    そうか、仕事とか家庭とか親戚とかPTAとか、理不尽な社会を渡る時、魔法少女に変身すれば良かったんだ。今まで、間違って、修行僧になってしまっていたから辛かったんだ。と、反省してみた。

    前作消滅世界で、それまでの、村田さんワールドが一区切りついたのでしょうか。私的には、それまでの作品の行き着く先として読みました。
    今回は、短編4編。
    タイトルの魔法少女は、ズレた現実味があり面白い。36歳で未だ、精神的魔法少女に変身する女性。彼女の変身はいたって健全、日々の苦難をやり過ごす重要アイテム。(実は、読む前は、村田さんのことだから、本物になるかと思ってたんです。)といっても読みどころは、そこじゃなくって、モラハラ的友人の彼氏の魔法少女変身状況だったりするのだけど。
    今までと比べれば、他3作も村田ワールド柔らかめ青春物という感じ。

    • ひまわりめろんさん
      (・д・)チッ
      (・д・)チッ
      2023/07/13
    • みんみんさん
      どうやら私とおびさんが年寄りツートップ…
      ヘ( ̄ω ̄ヘ)(ノ ̄ω ̄)ノ
      どうやら私とおびさんが年寄りツートップ…
      ヘ( ̄ω ̄ヘ)(ノ ̄ω ̄)ノ
      2023/07/13
    • おびのりさん
      だねえ。
      だねえ。
      2023/07/13
  • 何でこんな凄いこと考えられるんだろう。
    これはいつも村田沙耶香さんの本を読んで思う事。

    ・丸の内魔法少女ミラクリーナ
    一見普通の会社員が、変身すると歴27年ベテラン魔法少女!
    仕事辛いなぁと思った時、私も魔法少女に変身したいって正直思ってしまった。しかもたまたまミラコレのコンパクトを持っていたわけで!(魔法少女変身グッズ)

    ・秘密の花園
    好きな人を監禁する話。
    誰かの事を考えすぎるとその人そのもの、ではなくわたしの中の想像のその人、が好きになっている。わかるわかる。

    ・無性教室
    性別は無しとされている学校。私たちは無意識のうちにこんなに性別に左右されているかも!?と思った。見た目の性別、心の性別、体の性別、無性....

    ・変容
    ファッションや言葉だけではなく性格の流行を決める社会。喜んで深夜まで残業する性格が提案された時は吹き出して笑ってしまった!!笑
    社会にはさまざまな変容がある中でどれだけ自分の意思を持てるのか...

  • あっという間に読み終えた一冊。

    タイトルからファンタジーさを感じて
    あまり読まないタイプだな〜と思ったら
    2ページ目からやられた、、、
    絶妙なリアルさと、この物語の発想がツボだった。

    この本は
    丸の内魔法少女ミラクリーナ
    秘密の花園
    無性教室
    変容
    の4つのお話が入っており、どれも着眼点がさすが。

    うわぁ、、、
    えぇ〜
    あー、わかるかも
    これらの感情が繰り返される。


    愛とは性とは、、
    短いお話なのに考えさせられる内容でした。

    • 栞さん
      タイトルは可愛らしいのに内容はなかなかですね。
      でも早速『読みたい』に登録させて頂きました。
      ありがとうございます。
      タイトルは可愛らしいのに内容はなかなかですね。
      でも早速『読みたい』に登録させて頂きました。
      ありがとうございます。
      2023/08/22
  • 図書館本

    なんということでしょう。36歳、魔法少女ミラクリーナ。幼き日の魔法少女ごっこを心の中で楽しく続けている大人の女性。

    日常を面白おかしく料理して生きていくことで、平凡な光景はスリリングになって、退屈しない。


    秘密の花園 は初恋相手を監禁。見切りつける?

    無性教室 性別のない世。
    変容 怒りのない若者たちと、怒りを原動力にしてきた古い世代。

    どの短編も、村上沙耶香ワールドで、マジ、いい。すき。

  • 文庫版のオビに「やっぱり村田沙耶香はすごい!!」と書かれている。購入するのをためらうくらい恥ずかしいコピーだと思っていたが、割と的確な表現かもしれないと読了後に思い直した。

  • 正義というのはある種のお酒のようなもの。それに酔って呑まれてしまう人は魔法少女たり得ない。そんな真実を36歳の魔法少女が教えてくれる。そんな本です。

  • ■丸の内魔法少女ミラクリーナ
     →「コンビニ人間」から繋がる、マジになる中年男性の醜さを描く路線だが、さらにそれを百合的関係において強調していくという新要素が加わる。

    ■秘密の花園
     →初恋の偶像化→ヤカラ→自ら幻滅シチュ、という構図。
    そしてラストは、こわ……。
    いや、これを怖いと思う自分ってどうなん、もしかしたらトキシック・マスキュリニティ……? という疑惑。

    ■無性教室★
     →村田沙耶香の得意である、近未来SF(スペキュレイティブ・フィクション=思弁小説)。
    時々その「ゆるSF具合」に鼻白むことが多いのだが、本作に限っては、大変美しいと思った。
    ひどく美しいと思った。
    そしてこれを美しいと思ってしまう自分自身を疑ったりもした。
    というのも作者自身も、自作に仄かに疑義を呈しているからだ。
    連想……市川春子「宝石の国」、川野芽生「無垢なる花たちのためのユートピア」および「卒業の終わり」……そもそもが外界から隔絶された学園って、土台の(道義的)怪しさが、魅力を放っているゆえに、危ういものなのだ。

    ■変容
     →思わず笑ってしまう。
    「かっとなる……」とかの「……」の使い方、怖コメディ!!
    「世にも奇妙な物語」にありそう。

    ◆解説 藤野可織
     →各作品のテーマが過不足なく解説されている、名解説。

  • 短編集だけど、パンチが強くて刺激的。特に「無性教室」「変容」は自分や社会の暗黙の了解的な常識について考えさせられるようで、すごく面白かった。「変容」のクライマックスシーンは不思議な言葉に笑えてきたし、現実の未来も絶対にこんな風にならないとは言いきれないよなぁ、と思う。どの章の主人公も少しずつ狂っているような感じで、共感できるかといったら難しいのだけど、その不気味さも楽しめました。

  • 36歳にして、魔法少女ごっこを継続中のミラクリーナこと、リナ。
    彼女には小学校の時に、共に魔法少女ごっこを始めたマジカルレイミーこと、レイコという友人がいる。

    変身をすることで(見た目は変わらないけれど)自分には大きな使命が課せられているのだ、とか、超常的な能力が得られるのだ、という優越感で仕事に対するストレスが軽減される所は、面白い。

    一方、ハラスメント気質を持つレイコの恋人は、二代目マジカルレイミーに就任することで、仕事で抑えるしかない攻撃性を、正しい行為に乗せて発散させていってしまう。

    二人の変身の方向性が、どうしてこんなに違うのかは、おいおい考えるとして。
    レイミーパターンの魔法少女は、割と巷に溢れてきている印象である。
    自分の中の「善」だけしか見えず、俯瞰的に場面を見られない人。
    「やらかしてしまった人」を見つけては、自分の中のストレスを「短文」に載せて攻撃する人。

    そう思うと、魔法少女として活躍することに恥ずかしさを感じるミラクリーナも初代レイミーも、場が見えているのかなと思う。

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著者プロフィール

村田沙耶香(むらた・さやか)
1979年千葉県生れ。玉川大学文学部卒業。2003年『授乳』で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)を受賞しデビュー。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。その他の作品に『殺人出産』、『消滅世界』、『地球星人』、『丸の内魔法少女ミラクリーナ』などがある。

「2021年 『変半身(かわりみ)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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