正義の天秤 毒樹の果実 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041131114

作品紹介・あらすじ

有名若手俳優が覚せい剤所持で逮捕された。本人は警官にはめられたと容疑を否認しているが。師団坂法律事務所ルーム1のボスである鷹野から彼の弁護を任された若手弁護士の佐伯芽依は、地道な調査で物証を積み上げていく。しかし、そんな時当事者の警察官が自殺を図り……(「毒樹の果実」)。何が正義か。真実はどこにあるのか。ルーム1のメンバーが躍動する人気シリーズ第3弾。表題作を含む全5編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 大門剛明『正義の天秤 毒樹の果実』角川文庫。

    シリーズ第3弾。日本有数の規模を誇る師団坂法律事務所の刑事事件を専門に扱うルーム1の弁護士たちの活躍を描いた5編の短編を収録。

    いずれもスッキリしないグレーな結末の短編ばかりが並ぶ。

    ルーム1の弁護士たちが壁に突き当たると必ずボスである鷹野和也が現れ、サジェスチョンを与え、それで弁護に成功するという黄金の必勝パターン。

    そして、同時に鷹野和也が恋人の雨宮久美子が殺害された事件の被疑者の弁護を行うというテレビドラマに有りがちのサイドストーリーが展開する。

    『第一話 毒樹の果実』。芸能人の覚醒剤事件はよく聞く話。毒を持って毒を制する。難しい正義の判断に苦悩する若手弁護士の佐伯芽依。有名若手イケメン俳優が覚醒剤所持で逮捕される。師団坂法律事務所ルーム1のボスである鷹野和也から彼の弁護を任された若手弁護士の佐伯芽依は、地道な調査で物証を積み上げ、俳優を逮捕した警官が覚醒剤のパケを彼の車に仕込んだことを突き止める。しかし、当の警官が自殺を図り、芽依は苦悩する。★★★★

    『第二話 シンデレラの靴』。第一話と似たような構造の短編。最後はお涙頂戴的な。元刑事で60代のベテラン弁護士の梅津清十郎が主人公。鷹野和也から歩道橋の階段から老女を突き落とし、転落死させた疑いで逮捕された66歳の男性の弁護を任される。その裏にある真実とは……★★★

    『第三話 バベルの塔』。この短編もまた狸か狐に化かされたような気分になる読後感。そもそも18年前の死刑判決がそう易々と覆るはずはないのだ。元裁判官の桐生雪彦は18年前の殺人事件で死刑判決を受けた男性の再審請求の事案を任される。その裏に潜む真実とは……★★★

    『第四話 歪んだレンズ』。またまた似たようなテイストの短編。ニートから転身を遂げた若手弁護士の杉村徹平が任されたのはストーカー殺人の否認事件。防犯カメラの映像からは被疑者本人か否かは判別出来ず、調査を重ねるうちに辿り着いた真実は……★★★

    『第五話 女神の右手』。鷹野和也が殺人事件の被疑者の弁護に挑む。その被疑者は鷹野の亡くなった恋人の雨宮久美子が弁護していた男だった。久美子のかつての弁護が切っ掛けで、鷹野は辛くも男の無罪を勝ち取るが……★★★

    本体価格720円
    ★★★

  • シリーズ、第三弾。
    師団坂法律事務所に勤務する元外科医の弁護士・鷹野 和也。ほか佐伯 芽衣達個性的な面々が活躍するリーガル・ミステリー。

    ・毒樹の果実
    ・シンデレラの靴
    ・バベルの塔
    ・歪んだレンズ
    ・女神の右手

    本当の正義とは、真実とは?
    それぞれの話に、表には出てこない真実が隠されています。
    一気読み必至です。

  • NHKでドラマ化された正義の天秤シリーズの最新刊である。ドラマ放映が再開(シーズン3とでもいう感じか)されたタイミングで、本作を読み始めた。相変わらずのテイスト(いい意味で)であり、どんどんと読み進めることが出来た。ドラマの配役が時々にイメージとして頭に浮かぶのは致し方ないとして、ドラマが想像以上に原作に忠実だったのは驚きだった。これからの放映が楽しみだ。

  • シリーズ3作目。
    ドラマの続編が決まったようなニュースを聞いたら、すぐ続編が出た気がする。
    前作で恋人を殺した犯人の弁護を引き受けることにした鷹野。
    その話の続きかと思ったが、どちらかと言うと今作は師団坂法律事務所ルーム1のメンバーたちをそれぞれ主役にした連作短編集。
    鷹野の相棒的存在の芽依から始まり、元刑事の梅津、元裁判官の桐生とメインの登場人物を変えて、事件が進むがそれぞれが壁にぶち当たると、鷹野が登場し、窮地と思われていた状況が一変すると言う、お決まりの展開でいまいち面白さにも新鮮さにも欠ける。
    最終章で鷹野の話に戻るが、ドラマも控えていることだから、きっと間を置かずに続編が出るのだろう。
    いつも書いているけど、ドラマ化ありきになると原作が一気に色あせてしまうのが、残念。
    もっと鷹野と南野の確執を丁寧に描いて欲しい。

  • 師団坂法律事務所シリーズ第3弾!
    5作の短編集。

    正義とは何かを考えさせられました。
    鷹野さんにとって苦悩する作品だと感じました。

  • 師団坂法律事務所の刑事事案担当には、今回も様々な依頼がくる。
    被疑者を弁護するのだから、正義とは何かをより考え悩んでしまいます。
    真実を導くために考え悩み、弁護士といえども人間で感情もある。
    それでも自分の信じた道を進むだけです。

  • 鷹野率いる、師団坂法律事務所ルーム1所属の弁護士たちが事件に挑む。

    『毒樹の果実』 有名俳優・泉駿介の覚醒剤所持使用の容疑で逮捕される。違法捜査の疑いが…

    『シンデレラの靴』 歩道橋での転落死、20年前のクリーニング店主殺人事件との関連は…
    梅津が刑事時代に担当した事件だった…
    容疑者は違っていたなんて…
    梅津の家族にも幸せが戻るか⁇

    『ハベルの塔』 18年前の新小岩派遣会社殺人事件死刑判決の再審請求が。目撃証言に通訳のミスが…
    そんなことがあるのか…

    『歪んだレンズ』 ストーカー殺人事件。容疑者として、逮捕された男は、『犯人は顔に大きなホクロが口元まで並んで3つある男』と否認するが…
    一方、鷹野は、恋人・久美子を殺した殺人犯・南野の無期懲役を勝ち取ったが…
    結局、大きなホクロの男はいなかったのか…
    なんかスッキリしない…

    『女神の右手』 少年時にも殺人を犯し、鷹野の殺された恋人・久美子が弁護を担当した男が、同僚の殺人罪で逮捕される。本人は否認するが…

    南野に対する怒り、どうしたら…
    そんな⁇

    連作短編集、すっきりとさくさく、読める。

    まだまだ続くのか…


  • シリーズ第3弾。師団坂の一人一人の活躍を一話ずつ。短編集。

  • シリーズ3作目。
    前作2作読了したのついこの間だってのに、もう忘れかけ…えーっと鷹野先生と南野さの因縁…?どう決着ついたんだっけ…?
    段々記憶が薄れるのがはやくなってゆく〜。

    さて3作目の本作、私はこれが一番面白かったです!
    1番ミステリーしてる感じでした。
    ちゃんときれいにまとまってて読みやすい。最後のどんでん返し(ほど規模は大きくないけれど)も華麗に決まってました。
    ただなぁ、基本は一遍に対して一人の弁護士の話、うだうだしたりしながら公判へ。みたいな流れでそこはもう変わらないんだろうから、ちょっと飽きちゃうかな…
    もう定番なんでしょうね。鷹野先生に至ってはもうひたすら久美子だし…
    もちろんひとりひとりにきちんとしっかりとしたエピソードはあるんだけど、なんかもうこの巻で満足しちゃったかも…

    梅津さん!会えてよかった〜(感涙)
    芽依ちゃん!めっちゃ成長してる!!!
    そして七条!(もはや呼び捨て)
    何より今作は七条くんのポジョン取りがちょうどいい塩梅でした。笑
    もうずっとそこにおってくれ。
    (なんかもうこのシリーズでは、話の本筋より七条くんがどう動いてるかばかりが気になっている…なぜ彼が存在するのだろう…何のためにいるのだろう…存在意義は…)

    最後を見るにまだ続きそうですが、次を読むのはちと悩むかも…。


    @手持ち本

  • 師団坂法律事務所ルーム1の5人の弁護士がそれぞれ事件を扱う短編。法廷場面はかなり割愛され、被告人との接見や弁護に向けての証人探しなどに重点が置かれ少し物足りなさを感じた。ルーム1のリーダーの鷹野弁護士は殺された恋人の弁護士久美子への思いを引きずり苦悩が痛々しい。それでもその犯人の南野を弁護するところは久美子の全ての犯罪者は治療されるべきという意志からなのだろうか。全体的にグレーは黒だが疑わしきは罰せずの流れだった。検察側の無罪論告もあり99%検察側の勝訴ではなかった。

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著者プロフィール

1974年三重県生まれ。龍谷大学文学部卒。『雪冤』で第29回横溝正史ミステリ大賞、及びテレビ東京賞をW受賞。ほかの著作に、『罪火』『確信犯』『共同正犯』『獄の棘』など。

「2023年 『正義の天秤 毒樹の果実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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