最後の晩ごはん 兄弟とプリンアラモード (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 365
感想 : 29
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041135181

作品紹介・あらすじ

芦屋の定食屋「ばんめし屋」で働く海里は、ある日実家で見知らぬ少女と出会う。兄夫婦が特別養子縁組を考えていると聞いていたため海里は緊張するが、兄の用件は違っていて……。家族の絆を感じる一冊!

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第19弾
    今回は主人公・海里の兄、一憲が抱える大きな心の傷に、家族が向き合う大切なストーリー

    ただ、李英も倉持悠子も登場しなくて少し寂しいし、“最後の晩ごはん”の幽霊場面も控え目
    控え目なんだけど、それがまた涙涙…
    今回もまた感激屋さんのロイドが号泣だ



    一憲と奈津の夫婦は、特別養子縁組の制度を利用し、子供を迎え入れることを考えている。
    二人で充分に考え、準備をしてきたが、今になって一憲は「不安」と「恐怖」に押し潰されそうになっている。
    不安は当然として、その恐怖の原因とは──?


    一憲が高校生の時、父親が突然亡くなった。
    母親も心身共に不安定な状態で、弟はまだ幼い。
    一憲が家族を支えるしかなかった。
    バイトをしながら年の離れた弟の「子育て」もしてきたのだ。
    どれ程苦労してきたのか…
    想像するだけで胸が苦しい。


    このシリーズの登場人物は皆それぞれの苦しみを抱えているが、それを周りの人に打ち明ける事で乗り越えている。
    人間はひとりで生きているのではない。
    自分に関わる大切な人が苦しんでいたら、寄り添える人になりたいと強く思った。
    でも心の内をさらけ出すのって、勇気が必要だよね。

    • 土瓶さん
      なるほど~^^
      幽霊さんも思い出のご飯には弱いんだね。
      (*-ω-)シミジミ
      なるほど~^^
      幽霊さんも思い出のご飯には弱いんだね。
      (*-ω-)シミジミ
      2024/04/16
    • Manideさん
      土瓶さんのつっこみがうけました。
      たしかに…(^^)
      土瓶さんのつっこみがうけました。
      たしかに…(^^)
      2024/04/16
    • aoi-soraさん
      幽霊さんの弱みもご飯www
      確かに
      みんなそれで成仏していく!
      幽霊さんの弱みもご飯www
      確かに
      みんなそれで成仏していく!
      2024/04/16
  • シリーズ第19作。
    長いシリーズとなったので、初期の設定を忘れていた。海里が芸能界を追放された件は覚えていたが、海里と兄・一憲との当時不仲だった理由は海里の芸能界入りと追放だと思っていた。
    今はおおらかな母も過去には辛い時期があり、そこに父の早すぎる死があったことも新鮮な気持ちで読んだ。

    これまで海里目線で見ていた五十嵐家だが、一憲目線で見れば全く違ってくる。
    一憲ですらまだ親に支えて守ってもらいたい時期に大きすぎる責任を背負ってきたことに苦しくなる。

    内容紹介にある『海里が幼い頃に起きた衝撃の出来事』も、一憲の当時の状況を思えば仕方ないし理解できる。
    だがそこは一憲自身が乗り切るしかないし、それを海里がどう手助けするのかを見守った。

    タイトルである「最後の晩ごはん」らしい展開はどこに出てくるのか、今回も無しか…と思ったが、最後にチラッとだけ近い内容となった。

    以前に出ていた一憲・奈津夫婦が養子を迎える話が現実的になってくる前に、海里の母が動いていたのが五十嵐家らしいというか、海里の母らしいと思った。
    そして毎度海里を支えてくれる夏神とロイドも良かった。
    心配なのは後輩の李英。何とか元気になって欲しい。

    次回がさらに楽しみになった。

  • 元から家族なんだけど
    どんどん家族として深まっていくあたりが胸熱。

    親友・仁木の言葉にも刺さりまくりました。

  • 【目次】プロローグ/一章 前に進むということ/二章 とまどい/三章 隠した傷/四章 足跡は続く/五章 助け、助けられ/エピローグ

    ヤングケアラーと親子がテーマ。
    自らの弱さに自覚があると、他者にも優しくできるのだろう。

  • シリーズ、もう19弾である。
    でも、気になるから読む!

    最初の頃の、細かいことは覚えていないというのが正直なところ。
    船乗りだった海里の父親が彼の幼い頃に亡くなってしまい、兄の一憲(かずのり)が父親代わりになって海里の世話をしてくれた、ということは、今までのシリーズの中でも語られていた。
    しかし、芸能界に入った海里の引き起こした事件(巻き込まれたというか、落とし入れられたような・・・)で実家の家族にも迷惑がかかり、兄の逆鱗にも触れ、元のように実家に出入りできるようになるまでは色々あった。

    父親の突然の死でショックで心を病んでしまった母親に代わり、高校生だった一憲が家事を引き受け、まだ物心つかぬ弟の育児も一人で担うことになったという過去。
    家計を支えるために、アルバイトも時間の許す限り。
    勉強と部活にも手を抜かなかった。
    一憲はまだ若かったのに、えらいね、それで今は公認会計士だなんてすごいね、そんなに忙しかったのに勉強も頑張ったんだね!
    私もそんなふうに思っていたが・・・

    よく考えたら、そんな「美談」で片付けられる問題じゃなかった。
    内情は悲惨なヤングケアラー?
    一憲と海里のエピソードは今までも何度か出てきたけれど、ダントツで深刻な問題だった。
    これをどん底として、兄弟の関係が上向いていったらいいと思う。
    いや、こういう内面を海里に話してくれるようになったということは、一憲が海里を大人として認めてくれるようになった証拠だろう。

    海里から見たら、一憲は兄であると同時に、実の父親よりも、大きな存在感を持つ「父親」だった。
    しかし、一憲にしてみれば、突然、「子供であること」をやめさせられて「父親」になったのである。
    できることならまだ子供でいられた時に、取り戻したいものもあっただろう。
    今度は自分から望んで「父親」になろうとしている一憲。
    見守りたい。

    「幽霊」の登場が恒例でもあるシリーズだけれど、こんな抑えた表現は、かえって良かったような気がする。

  • 芦屋の定食屋「ばんめし屋」で働く海里は、兄の
    一憲の「罪」の告白だった。長年分かり合えなかった
    兄の苦しい胸の内を知った海里は…。

  • 終盤で海里が一憲に夢の記憶を話す場面。
    「チビだったから。『海里はまだ小さいから、こんな大きなプリンは無理だよ』だろ」

    「!」

    思わずページを閉じてしまった。声を上げて泣いてしまいそうで。

    今回の仕掛けは人が悪すぎる。。心震えてしまった。

  • プロローグ/前に進むということ/とまどい/隠した傷/
    足跡は続く/助け、助けられ/エピローグ

    家族の関係は上手く行くとは限らない。でも お互いに理解したい、心を通わせたいという気持ちがあれば、何とかなるんじゃないかと思えてくる。

  • 今回は泣かされる場面が多かった。モロゾフのプリン食べたい。

  • プリン〜

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著者プロフィール

作家。監察医。講談社ホワイトハート「人買奇談」にてデビュー。代表作は「鬼籍通覧」シリーズ、「奇談」シリーズ(講談社)、「最後の晩ごはん」(KADOKAWA)、「時をかける眼鏡」(集英社)など多数。

「2023年 『妖魔と下僕の契約条件 5』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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