ネバーブルーの伝説

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 166
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041136355

作品紹介・あらすじ

アスタリット星国国立図書館で写本士見習いとして働く15歳のコボル。
写本士の仕事は、数年に一度起きる災害“塵禍(じんか)”や戦争で滅びた他国から本を救出して正確に書き写し、文化をつないでいくことだ。
コボルは塵禍に見舞われた隣国・メイトロン龍国へ、仲間たちと初の任務に赴く。
龍の伝説が残るメイトロンで調査を始めたコボルは、誰もいないはずの王城で、赤い尻尾の生えた不思議な子ども・イオと出会う。
イオと行動をともにするうち、コボルたちは世界の秘密へと近づいていくが――。

感想・レビュー・書評

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  • 2023年7月角川書店刊。書き下ろし。長編ファンタジー。写本士、塵禍で滅ぼされた都市や国、特別なインク、紙でできた白亜虫等のおもしろいガジェットやアイデアで構成された世界の謎が巧妙に構築されていて、登場人物たちと一緒にする冒険の旅が楽しい。ラストでは、一つの世界の救いが明らかになるが、ここに到達すると、今までの出来事が収斂されていないことに気付く。そこが少し残念。それとも、別のストーリーが用意されるのだろうか?。続きありますか?。

  • ファンタジーの世界も丁寧に描かれてていたのですっと楽しく読めた。写本士という仕事のコンセプトがおもしろいし、ネバーエンディングストーリーばりの展開も楽しい。ペンは剣より強く、世界を変えるという基軸が本好きの心をくすぐる。

  • 頭の中で流れる映像がすごくて、追いつかないくらい。。。一度読んでもう一度戻って風景を想像し直して進んだ。すごかった。
    寂しさとあたたかさを感じた。

    圧倒的な世界観。
    世界から本が消えていく。
    塵禍(じんか)という全てを粉々にしてしまう恐ろしい災害のせいだ。

    その災害にあった国々から本を救い出して
    書き写して残していく写本士の少年たちの物語。

    書き記すと、消えることのないネバーブルーインクを探し求める冒険がはじまっていく。

  • すごくおもしろかったのに、なんだかよくわからなくてすぐに2回目を読み始めました。結論、280ページ余りでおさめるにはもったいないくらいの壮大な世界観のファンタジーであることがわかった…!紙とインク、書物、後世へ書き残すこと…。本好きとしてはたまらないモチーフがたくさん!
    強く印象に残ったのは、10代の若い少年少女たちの「真実を書くこと」への責任感。主人公コボルだけでなく、仲間たちみんなが写本士としての誇りを持っていたからこの終わり方になったんだなぁ

  • アスタリット国で写本士見習いをするコボルは、喉がつぶれていてしゃべることができない。滅びた他国から救出された本を蘇らせるために写して新たな本にするのが写本士の役目で……。

    1冊で完結するのがもったいないような壮大な世界観。不可思議な災厄によって人にはどうしようもなく国が滅びていく様子は、ナウシカを思い起こさせる。
    大人たちが戦いの間違った道へ進む中、子どもたちが行動し、正しい道を選ぶというのがいい。自分たちの非力さを嘆くなんてことはしないで、自分たちこそが未来を作っていくんだ、という気持ちが読者の子どもたちに伝わってほしい。戦争で犠牲になるのは子どもたちだということもしっかり描かれている。
    消えない物語の力の強さ、剣よりペンは強い。書物によって伝えられる知の大切さが感じられるのもいいな。

  • 高学年児童~YA,大人向けファンタジー。設定は面白そうなのだがイマイチ入り込めず。ファンタジーは超弩級のもの以外はもしかして苦手?かも。

  • 紙とインク、書物。本好きにたまらないモチーフに惹かれて読み始めた。「ペンは剣より強し」と言うべきか、若い写本士達が「真実を書くこと」への誇りを強く持ってそれぞれの道へ進んでいく姿が頼もしかった。展開が重苦しくてうーん(._.)となる時もあったけど、世界観や設定は魅力的。シリーズが続いて、掘り下げていってほしいと思う。

  • 「書物に仕えることが僕たちの仕事だ。書き残そう。二度とまちがえないように。」

    日向先生の物語は、いい意味で容赦がない。
    戦争を描くのだからこれでいいんだと思いながらも、ヒリヒリして、片目を薄めながら読んだ箇所もあった。
    リアルで、甘いところばかりじゃなく、読んでいてこちらも少し擦り傷ができた。

    これぞファンタジーという、さまざまな国々が舞台設定であり、ほんの最初の地図を見たときにはわくわくが止まらなかった。
    それぞれの国に伝わる昔話も、私の知らないどこかの国の物語として本当にあるのでは?と思わされたほどだ。

    それぞれの色のインクが生まれた逸話ももまたいい。
    世界ってこういうふうに在るんだな、となんだか神がかり的な、神聖な感じがした。
    だから、写本士が作り上げられた虚像だって知ったときに、悲しかったけど、どこか説得力があった。
    作り込まれすぎた世界観は、やっぱり少し嘘くさい面もはらんでるって。

    それぞれの子どもががんばるのは、無条件に応援したくなる。戦争の後には、必ずなにか夢や希望を持ちたがるし、それを託す存在は絶対に子どもだ。
    戦争で犠牲になるのはいつだって子どもだから。

    本好きのための、新たな決定版の一冊。

  • 戦禍と塵禍によって失われていく書物を、写本して残そうとする写本士たちが、隣国の本を持ち出しにいき、仲間の1人が命を失ってしまう。そこから物語は急展開していく。言葉を発することができず、記憶も失っている写本士見習いコボルが、塵禍に襲われた人気のない王宮で、1人の子どもに出会う。その子どもとコボルはなぜか話ができてしまうが、他の少年たちには聞こえない。そしてイオと名乗るその子には、赤い龍の尾が、、、。
    黒い犬に襲われたり、塵禍の秘密が明かされたり、次々と危険が迫るし、謎が深まる展開に読むのを止められない。一気読みでした。
    ただ、物語の中に、今の世界の状況が映されていると感じる設定がいくつもあり、このページ数で、10代向けだと、盛りだくさんすぎかな、と、ちょっと思いました。(個人的な意見ですが)

  • 3分の2くらいまではハラハラドキドキしながら読んでいたが、最後は急に駆け足の説明でちょっと残念。

    とんがり帽子のアトリエやハリポタが好きな人に刺さるストーリー。

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著者プロフィール

1984年、兵庫県生まれ。児童文学作家、日本児童文学者協会員。「雨ふる本屋」シリーズなど児童書のジャンルで活躍する中、2018年に冒険ファンタジー『火狩りの王〈一〉 春ノ火』を刊行、同作は全5作のシリーズとなりのちにアニメ化するなど大きな話題となる。他の著書に「すすめ!図書くらぶ」シリーズ、『魔法の庭へ』『日曜日の王国』など多数。

「2023年 『ネバーブルーの伝説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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