准教授・高槻彰良の推察10 帰る家は何処に (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 483
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041137949

感想・レビュー・書評

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  • 心拍数上がる一冊。

    思わず頬が緩む幕開けシーンににっこり。
    相変わらず心地よい時間が流れていて安心感いっぱい。

    今作は至るところで心拍数が上がったかも。
    怪異であったり、"もう一人"の存在であったり。

    特に第二章は猟奇的な殺人事件とアキラ先生の過去との絡み、展開に随所でドキドキ。そこに比例するかのようにせつなさも込み上げてくるのがなんとも言えない。

    アキラ先生と尚哉君の向き合う強さと覚悟もギュッと伝わってきた。

    けれど"代償"が意味するものが怖い。

    extra2篇はしんみり。
    おまけのショートストーリーは難波君の魅力満開。

  • 「僕はそろそろ、自分の過去にちゃんと向き合わないといけない」
    行方不明の男子高校生が遺体で発見された。失踪した状況や遺体の状態には、高槻の過去に類似したものがあるらしく──。
    また、都市伝説『ひきこさん』と事故物件の物語や、ドラマのピースを埋める掌編たちも収録した民俗学ミステリシリーズ第10弾!

    『ミナシの家』
    高槻ゼミで『ひきこさん』についての発表を聞いた深町たち。その後、高槻のもとへ依頼が入った。大学生・園部秀一たちは『ミナシの家』と呼ばれる事故物件で夜を明かそうとしていた。すると、園部は黒い影の女と目が合ってしまい、そこから幽霊を見てしまうようになって──。

    ゼミでの『ひきこさん』にまつわる発表がまず面白かった。ツッコまれ方がゼミだなあって身につまされる。口伝ではなくネット発だからこそ、話は思わぬ広がりを見せる。本名のアナグラムなんてよく考えてるなあって感心した。ひきこもりという社会的要素を、古典的なキャラクターに上書きしているのも興味深い。なぜ女性の怪異は背が高いのか?の意味合いが怪談の構成だけではなく、高槻と母・清花(さやか)の関係性にも還元されていくのが上手い。

    園部から依頼された事故物件・ミナシの家での泊まり込み調査も読んでいてゾクゾクした。ぼくだったら怖くて行けない(笑) 過去の記憶と現在の情報がもたらした影の正体。やっぱり幽霊より人の方が怖いのでは?いや、どっちも怖い!最後に、江戸時代中期の随筆、根岸鎮衛(やすもり)『耳嚢(みみぶくろ)』は、とっても、えっちだということだけ覚えて帰ってほしい。

    『消えた少年』
    青和大学の夏休み。深町は遠山の事務所でバイトをすることに。その一方で、高槻のもとをフリーライターの飯沼が訪れた。行方不明だった男子高校生・相原塔矢が遺体で発見された事件。そこには高槻の過去との繋がりを予感させるものがあって──。

    2ヶ月前に失踪した塔矢。玄関に靴は残され、見つかった遺体には背中の皮膚を剥がされた痕があったという。その事実を確認するため、高槻と深町は個人的に調査を始める。真相は早めに察したけれど、その想定以上に闇が深い案件で怖すぎた。さらに、高槻と清花の対面というイベントもあって、息するのを忘れる緊張感。そこから手がかりを得たのは、やっぱりあの人物がやらかしてるんだろうなってこと。彰良が代償だったとして、何を手にしたのかはよくわからないが──。

    塔矢のことを気にかけ続けていた飯沼の思いにも心を打たれた。遠山が深町を思いやる漢気もいいよね。いろんな人間の二面性を知る物語に仕上がっている。それはもう一人の彰良にも言えることで──。彰良のことで代償を払うとしたら、代償を払わせた人間だろうなあ。高槻って高憑き(天狗)なのかな?とか、いろいろ考えちゃうね。

  • 2024年3月角川文庫刊。書き下ろし。シリーズ10作目。ミナシの家、消えた少年、extra:花占い、向かいの家の猫の話、の連作短編2つと超短編2つ。2編ともに高槻が自らの謎に迫ろうとし、深町がそれをしっかりサポートするというちょっとしたバディもののような展開が楽しい。異捜も登場する割には、足踏みしているようなじれったい進み方が面白くない。次巻に期待。

  • 楽しみに待ってた新刊!
    発売日にいざ本屋へ!
    、、、行きたかったけど結局行けずに別日に本屋へ(/ _ ; )
    新刊の所と角川文庫の所を探し回ったけど、あれ?無くね?( ・∇・)
    ってなって半分諦めかけてたよ、、、
    こんな時は在庫確認検索\(//∇//)\
    自分が探してた所じゃない新刊置き場にて発見!即購入!

    時間がある時に一気に読み切っちゃったd( ̄  ̄)
    今回の話も前回の話同様、やっぱり難波くんは良いやつやな( ´∀`)
    グループの中で深町くんのこと気遣いながら、嘘を言う友達にさりげなくフォローするなんて君にしかできないぜ( ゚д゚)

    今回は思い込みが生んだお化け騒動!
    確かに過去の過ちがずっと自分に残ってたら、悔やみきれない過去があったら、そんな風に幻を見るような錯覚に起こされるんだろうな(゚∀゚)

    あと今回の事件ちょっと怖いしグロい!
    いくら芸術だからって皮膚剥がされるの怖いΣ(゚д゚lll)
    二つ目の話は妖怪ではなくて1番怖いの人間じゃね?ってなってしまったΣ('◉⌓◉’)

  • やっぱりこのシリーズ面白い。
    そしてやっぱり難波くんいいやつ!!
    彰良と母親の再会が辛かったなぁ。
    母親は本当に昔から少女みたいな人で、受け入れられななかったんだなぁと。
    彰良が自分の謎に近づくにつれ、面白くなってくるけど同時に切なさがます気がする。

  • 高槻先生の過去もだんだん近づいてきている、、、
    母親とのあの邂逅は辛かった。
    母親目線での過去が見えて、次は父親目線だろうか。
    知りたいけれど、色々なことが明らかになる時は、このシリーズが終わってしまう日だろうか、、、
    ミナシの家の結末、ああでよかった。
    消えた少年は、なんとも切ない。
    ああ、もう、本当に、、、
    それにしても、確かにあれは保護者チームの胃が痛くもなるw
    今回で、夏樹のイメージもだいぶよくなったかな。
    『あこがれ』よりのイメージになってきてよかったねー。その分、あの人の凶悪さが際立った感がある。
    さて、次は、また色んな事が動くはず。
    早く読みたい!

  • このシリーズも第10弾、EXも含めると全12冊目を数える人気作で大好きな作品。
    アキラ先生や尚哉、健ちゃん、みんな大好きだけど、イチオシはなんと言っても林原夏樹くん!彼は他作『憧れの作家は人間じゃありませんでした』シリーズの主要人物の1人として登場するキャラクターだけど、彼がほんと素敵キャラなのです!(話それました……。)

    エピソードは2つだったけど、少しづつ少しづつアキラ先生が過去と対峙して……とクライマックスに近づいている感じでページをめくる毎に話に惹き込まれた。次作も楽しみ!!

    ちなみに……、憧れの作家シリーズは全力でオススメ作品なのです!笑。

  • このシリーズももう10作目となって、本物を引き当てることが増えてきて、クライマックスに近づいてきていると感じさせる。そりゃあ高槻先生のことはなんらかの形で解決できたらいいとは思うし、そのためには話がだんだんと暗く、重たくなってくるのもしかたがない。それがおもしろいという読者も多いだろうと思う。でも、初めの頃ののんきな雰囲気がちょっと懐かしくもある。

  • 短編2編と掌編2編収録。今回の短編は真相に関しては多分こんな感じなんだろうなと推理しながら読んでいたが『消えた少年』の犯人の動機がショッキングだったのと、高槻に絡んでいた飯沼がそれなりの優しさを見せていたのが、意外だった。特に掌編でその後の飯沼が描かれているので、最後まで読んでほしい。

  • 早10巻。
    長めのお話し3編。ちょっと長めだと読んでて楽しい。

    高槻の過去がそろそろ本格的に解かれそう?
    緊張する・・・。

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著者プロフィール

神奈川県横浜市出身、在住。2016年に『憧れの作家は人間じゃありませんでした』で第2回角川文庫キャラクター小説大賞《大賞》を満場一致で受賞し、デビュー。同作はシリーズ化され1~3巻を数える。21年夏、「准教授・高槻彰良の推察」シリーズが実写ドラマ化され話題に。キャラクター文芸界再注目の作家。

「2023年 『憧れの作家は人間じゃありませんでした4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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