- Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041304471
感想・レビュー・書評
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彼の黄金期を知っている人ほど
非常にしらけてきてしまう作品。
仕方ないかなぁ、明らかにてイストの違う作品も
まぎれていますからね。
ミステリーと言えず、ホラーの作品もありますし。
面白いのは彼の時代の設定を
余すことなく生かしきった怪作「丹夫人の化粧台」です。
ある作品の雰囲気を彷彿とさせます。
まさに狂気、ダークです。
他の作品にも面白いのは存在しますが
これよりは見劣りするように思えました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ノンキャラクターもの短編集。
わたしのうまれるまえだしよくも知らないんだけど一時期横溝せんせいの大ブレイク期があった、んですよね。
そんでね、おもうんだけどね、なんか、いやわかりませんけど、
せんせいの作品がうけたのって、おどろおどろしい意匠がどうの、とよく云われるけど、それもきっとたぶんあるけど横溝せんせいの、描かれる人間というものが、その心理のうごきとか行動とかそういうものが、しっかりとしているというか、ときにはかわいかったり、ときにはすごく残酷だったり、ときにはすごく崇高だったり下品だったり、するのが、すごく読むがわの人間にとってなじむ、からなのではないかなと、おもいます。
とくにこういう短編を読むと。
すごく、人間というものにたいする真摯な目があるひとだなあと、おもう。
わたし最近よく人間性ってことについてかんがえてしまうのだけどもさ、
横溝作品のなかにでてくるひとたちは、犯罪者であっても、被害者であっても、いずれも「探偵小説」という枠のなかにのみ存在する駒のようでありながら、なんとはなし、生きてうごいているひとの気配があるような気も、する、んだ、なーとか。
もちろん世相やなんやで、いまの目線からすればものすごく差別的にとらえられるくだりもままあるんだけど、それをさしひいてもなお、「このひとの描く人間とか関係とかってすごい」っておもわせるものが、ある。
むかし読んだとき、このなかにはいってる「夫婦書簡文」をなんてかわいいはなしだろうとおもってた。中二くらいのときね。
でもいま読みかえすとただベタ塗りにかわいいだけのはなしではなくて、機微が、あるなっておもう。
おもしろかったです。 -
日本探偵称小説の草分けの頃のおどろおどろしい作品群は江戸川乱歩などと通じる所がある。