待っている男 (角川文庫 緑 576-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041576038

作品紹介・あらすじ

人は人生において、3回真剣に待つことがあるという。いつ来るか。いつ来るか-。男を待っている女がいる。女を待っている男がいる。大人の男女の微妙な駈けひきと打算。そこに、男と女の妖しい関係が見えてくる。不気味な恐怖とユーモア。阿刀田高が描く、男と女のこわ〜いお話。

感想・レビュー・書評

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  • 待っている男
    俺と同じ男
    藁の人形

  • 星新一死後の第一人者的存在って言われてるだけある、待っている男紙の女藁の人形ありふれた誘拐が好きだった。

  • 中学生から20代の頃にかけて、阿刀田高さんの本を読み漁ってました。
    この本もその頃に読んだ一冊。
    今まで読んだ阿刀田高さんの本の中ではこれが一番面白いと思っています。
    何度も何度も読み返してましたが、知人に貸した所そのまま返ってこず・・・。
    今回図書館で借りて久々に手にしました。

    「待っている男」
    誰かを待っている男が、同じように人を待つ男に話しかける。
    その一方的な男の話がそのままこの物語となっている。
    「知っていますか。人は一生に三回だけ真剣に待つことがあるそうですよ。」
    男は自分がこれまでに真剣に待った経験を語り始める・・・。

    待つという事に焦点を合わせた物語。
    待ち人来たらず・・・は幸か不幸か。
    この話は印象的で、はっきりと内容もオチも覚えていました。

    「朱いドレス」
    主人公の女性は友人の新居を訪問した帰り、一度も通った事のない道にふと入り込む。
    すると、もの静かな家並みの中に、ぽつんと寂れた洋品店が。
    その店には不釣り合いな素敵な朱いドレスが飾られており、彼女は目を奪われる。
    出てきた洋品店の貧相な女に値段を聞いたところ、信じられないくらい安い。
    彼女はお買い得で素敵なその朱いドレスを迷わず購入するが・・・。

    これは不気味でゾッとした。
    何が恐いって女主人の様子を後で思い出した時が恐かった。

    「紙の女」
    泥酔して自宅に帰るとそこには見知らぬ女がいた。
    男は女を思わず抱いてしまうが、翌朝目を覚ますと女はいなかった。
    その夜、実家に泊まった妻が持って帰った絵の中の女を見て、彼は「昨夜の女だ」と思う。
    それから1年後、彼はまた幻の女と出会い、衝動的に彼女をナイフで刺し殺してしまう。

    これは本当によく出来たお話です。
    設計師という、立体と平面の橋渡しをする主人公の職業が生きた話。

    「俺と同じ男」
    主人公は自分と不気味なくらいそっくりの男と出会い、その男の後をつけ、男の妻と関係をもってしまう。
    その女は主人公に夫を殺して欲しいと依頼する。

    「西瓜流し」
    講師として訪れた土地で、以前その土地の風習である「西瓜流し」を手伝ったという思い出話を語る主人公。
    それを聞いた地元の男性はかつてこの地で恐ろしい事件があったと話し始める。

    これも衝撃的かつ印象的でずっと記憶にあった。
    西瓜を見る度にこの話を思い出してしまう。
    田舎というと、長閑で人ものんびりしていて・・・という勝手なイメージがあるけど、それはただ通り過ぎていく者の幻想かもしれない。

    「鳥」
    劇団員の男性とスポンサー的男性を天秤にかける女性。
    劇団員の男性は過去に鳥になった記憶があると言う。
    そんな彼が突如姿を消して-。

    これは最後が気持ち悪い。

    「藁の人形」
    新婚旅行に旅立つカップルの座席の窓に藁人形が貼りつけられた。
    貼りつけた犯人は誰なのか、新婚夫婦はお互いを責めるが、実は二人とも心あたりがあった。

    これもオチがいい!
    よく出来た話だと思う。

    「ありふれた誘拐」
    「誘拐にご用心」と辻占いに注意された男。
    しかし、男には子供はいない。
    バカにしながらも何故かその言葉が気がかりな男。
    実は彼には生真面目な妻と魅力的な愛人がいて-。

    途中で、「ははぁ~ん」と読めましたが、これもよく出来た話だと思います。

    今回読み返して、やはり面白かった!
    この本は各タイトルのページに奇妙なイラストが描かれていますが、それも妙に話に合っている。
    奇妙でゾッとする珠玉の短編集です。

  • 短編集ですべて男女におこる不思議や恐怖を描いた作品。
    ユーモアとエロスを中心にして、物語は展開していく。
    直木賞や吉川英治文学賞を受賞し、星新一に続くショートショートの第一人者とされている文豪だが……実は読むのは初めて;

    1984年の作品で、描写にちょっと古さを感じる。
    が、時代がもう少し過ぎてもっと古くなると、逆に気にしなくなるかもしれない。

    切れが良くてかなりブラックですが、新鮮味はあまり感じません。
    それだけ展開が、手本とするべき古典として広まっているということかも。

  • 「待っている男」をドラマでやってて改めて読み直したら面白かった('-'*)短編集?

  • 短編集。ブラックジョークとちょっぴり怖い要素が満載。全9話。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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