白河夜船 (角川文庫 よ 11-7)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (183ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041800072

感想・レビュー・書評

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  • 吉本ばなな。
    名前を何となく知っていたが、フザケタ名前だから敬遠していた。薄い本が読みたく渋々。

    三つの短編。
    全てに共通するのは、主人公と親しい(近い)人の死。友人、兄妹、恋敵。それぞれの死に対して無気力になったり喪失感で満たされたりとしながらも、最後はどこか吹っ切れたように立ち直る。爽やかな印象。

    身近な人間が逝ってしまうような体験をしていないので、正直自分がどうなるかは謎。モヤモヤした感じから主人公らが吹っ切れたようになる描写は良く伝わってきた。
    特に、「白河夜船」は読み返してどの辺でそう感じたんだろうと探したが、ここという箇所は無く、物語全体の雰囲気のようなものかなと思い感心した。


    優しすぎるということは、きっと、冷たすぎるからなのだろうか。

  • 精神が疲れ果てたときに読む一冊
    読み終わったら捨てる→買うをかれこれ何度繰り返しているのだろう
    ただ
    30歳になってから読むと、ストーリーの見方が変わっていた。
    悲しい話だと思っていたのに、とってもあったかい話ではないか!
    大人になったのかねえw

    このように、年齢とともに読む本から受ける印象って変わっていくから面白い。言い換えれば、自分の心の有りようが変化しているってこと。いい風に変わっていることを願いたいところ笑

    ところでいまだにこの本の読み方がわからないw

  • 心が萎びて、もうずっと眠り続けたい。と思ったとき、表題の小説「白河夜船」が心に浮かんだ。

  • 凹んだ時に読むよしもとばななはやっぱりいい。
    今日見出したよしもとばななの特徴。孤独、幻想との遊び。諸富祥彦の言葉をそっくり借りることになってしまって悔しいが、物理的な孤独もしくはよっぽど信頼出来る人を通じて、真の自分に出会う、もやもやに気づく。
    この短編集はとりわけ、違和感の原因が分からない→突き止めるが苦しい→神秘的に解決される、で成り立っている気がする。なんと味気ない感想。
    記憶の順序の入れ違いも含めて真ん中の作品が一番好きでした。

  • 1998年8月17日読了。

  • 一人で誰かの死と静かに向き合う人たちの心情をとても柔らかく綺麗に描く作家だと思う。一つ一つの言葉が温かくて大切に読みたいと思わせる文章。でもやっぱり吉本ばななさんのキッチンを越えるものはないなー。


    鞠絵ちゃんって名前が可愛いよね。

  • 未熟さを感じるけれども、この作家の作品は初期の物の方が好きだ。

    増子由美の装丁がキレイ。この表紙の色、好きだなあ。

  • 「白河夜船」「夜と夜の旅人」「ある体験」の中編三作を収録。まだ現在ほど「癒し」のコンセプトが普及していなかった '89年に発表。「心をおおう暗闇と、閉ざされて停止した時間からの蘇生」って、あぁこれは、死別で、親友、恋人、恋敵、を失った主人公たちの「癒し」がテーマだったんだなと最近再読して認識を改めた次第です。いつのまにかSkyも読んでいたらしく、分からない単語に片っ端から線を引かれてしまった懐かしい一冊。

    物語にさほど強い思い入れはないものの、私の印象的な読書体験ベスト3に入るでしょう。「眠り」を扱ったこの三作を、家族と旅行でロスに来た時、時差ボケでふらふらの頭で読んだからです。(私は中学生の頃から旅行に本を欠かさなかったの?)一日中はしゃいで、体も頭も疲れきっているのに眠れない。そんな鬱陶しい状態で主人公たちの体験に自分を重ねてみるのは妙に心地よくて夢中になり、空が白みはじめるまで眠れませんでした。

    どのみち眠れないのなら雰囲気をだそう♪と思ってダウンタウンの夜景に向かって窓を開けてみると、窓枠のすぐ外に巨大な照明が。あまりに煌々と眩しかったので、真っ白な枕をポフッとそのライトにかぶせ、これでよしっ!と冷たい夜風を感じて読書に耽っているうちに、辺りにたちこめるコゲ臭い煙... 危うくボヤを出してしまうところでした。両親大目玉(汗)

    もう高校の頃のようにドロドロになるまで部活に体力を燃やすこともありませんし、大学で建築を専攻していた頃のように三日の徹夜が当たり前でもありません。無茶な飲み方をして記憶がとぶことはあれど、睡眠をむさぼる必要のない今だからこそ、眠る瞬間に向けて無限に引き延ばされる甘美なまどろみの世界は、アルコールの力を借りずに漂いたいなと思うのです。

    いくつになっても、人は扱われ方によって色を変えていくというのは本当だと思う。だからこそ皆、いかに素晴らしい環境に守られていようとも、絶えず自分を存分に発揮できる場所を探して歩み続けるのでしょう。旅路で出会ったもの全てを担いではいけないから、死よりも、人と人との埋められない距離よりも、過去の方がずっと遠く感じられるのかもしれません。

    それでも。深遠な夜に無限に広がる街の光、神秘的に澄んだ早朝の空気、季節の変わり目に吹く香り高い風、読んだことのない本、よく遊びよく働いてへとへとでベッドに潜り込む充実感、気心の知れた人とふいに笑顔を交わす瞬間、または知らなかった誰かと時を重ね友達になっていくことを、これからまたいくらでも楽しむことができるなら、人の胸に必ずあるどうしようもない心残りがその彩りにすぎないとしても、全然かまわない気がします。

  • 夜の話。

  • これもばななさんの初期の作品。何度も読み返しています。夜をモチーフにした三部作で、その空気の表わし方がすき。夜更かししていたり、眠れないときに読むことが多いけど、そのほうがさらにこの作品のよさが伝わります。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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