青月記 (角川文庫 さ 25-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (357ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041857038

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  • 『蛍ヶ池』
    主人公の錦の一人称です。
    日本舞踏東妻流の宗家の一人息子です。
    生まれつき心臓が弱く、舞台にたったこともありません。
    錦は美しい少年で主治医でもある実の叔父と肉体関係にあります。
    しかし一番弟子の佑を好きだと気付き、関係をたとうとしますがうまくいきません。
    佑は父親のお手つきでお手伝いさんの咲子と家を出ようとしますが、それを許せなかった錦と錦を手放したくない叔父の陰謀により、破滅の道がまっています。

    JUNEのイメージは悲恋なんですよね。このお話も例に違わずです。
    しかしいろいろ謎は残ってるんですよね、気になることは多々ありますが、納得の最期ではあります。1人で死なれるよりは2人一緒の方が悲しいけれどハッピーエンドな気がします。けしてハッピーではないですけどね。
    この蛍ヶ池がデビュー作だそうです、なんと1986年発行です。文章が美しく、読みやすいです。

    『カインの月』
    こちらも主人公の一人称。親友の原島の結婚式に出た検事を目指す大学生の民人。そこで原島の叔父の譲二に声をかけられます。
    具合が悪くなった民人を部屋で休ませてくれた譲二でしたが、態度が急変、無理矢理抱かれてしまいます。
    譲二はアメリカに拠点を置いてる芸術家です。再会を約束して別れました。
    原島の妻美也子に淡い思いを抱いていた民人は、泣きながら縋られて関係を持ってしまいます。(未遂)
    原島が結婚したのは民人を忘れる為で譲二との関係を知って荒れます。美也子に民人への気持ちを気づかれ、当て付けに民人を誘惑されたせいで怒った原島に拉致されます。
    2人でいる所に乗り込んできた美也子の銃によって民人は肩にケガを、庇った原島は帰らぬ人に・・・美也子も自分で頭をうち、自殺しました。
    凄惨な事件のせいで人形のようになってしまった民人を譲二が面倒見ます。最後、正気に戻ったかもしれないとこでおしまいです。

    うーん、暗いです。主人公カップル?は生きてますが、原島・・・学生時代から民人を守ってきたのに。可哀想でした。
    民人としては譲二にも原島にもそこまでの気持ちはなさそうなのがまたね・・・・流されただけっぽいです。その後どうなるんでしょうかね、譲二がアメリカに連れていきそうですね。

    『奈落の戀』
    実駒屋の御曹司で舞の才能はないが振付や演出の才能がずば抜けている武充は、部屋子の寿巳に並々ならぬ執着を持っています。
    実は寿巳は武充の叔父の息子で舞の才能があります。
    寿巳は両性具有で手術で男にも女にもなれたのに、舞を踊るために男になった過去があります。女として妻に迎えたかった武充は複雑な思いを抱えていました。自分との結婚が嫌で男になったと怒って無理矢理抱いてしまいます。
    ライバルの演出家にも抱かれたと知り、なおかつ舞を辞めると言った寿巳にあとを継がせるために舞台上で自殺します。
    守る人のいなくなった寿巳はこれからどうなるのか・・・余韻の残るラストでした。

    武充・・・死ななくても~。でもJUNEだから仕方ない。誰かしら死なないと。寿巳が全然武充を好きじゃないので報われません。武充には幸せになって欲しかったです。

  • 三編収められているけど、皆似た様な感じ。
    昔の耽美系ってこんな感じだったっけ。

  •  多分、この人は栗本薫のなんかで、デビューしたはずだったと思うんだけど…。いわゆる、耽美、少年愛、ものです。しかしなぁ、って思うのは私が歳くった証拠なんでしょうか??確かに言えるのは、S・スペトコーネや比留間…(いかん忘れた)とか、当事者(?)から描かれた同性愛とは、全く別の物ってこと。…当たり前か。どっかで、だれかが、「女子供のすなること」と書いてたけど、そうだねぇって実感させられる作品でした。

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