怪談人恋坂 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
3.42
  • (11)
  • (14)
  • (32)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 250
感想 : 22
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041879610

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 怪談、というほどの怖さ…が全くない。
    得体のしれないものへの恐怖、超常現象に迫られる側の心理的恐怖、等々が描かれないままに、ただ、死んだはずの人が姿形をもって語りかけてくる、人に危害を与える、という形で他の登場人物(実在)たちの間に存在している。
    けれど、強烈な恨みや自意識、執念が描かれてもいないので、ただの表面的な復讐劇。
    ロールプレイングゲームを観ているよう。
    語り手である少女の視線ですら、人間の“らしさ”を伴わない、あくまでも語り手としての傍観者である。
    ″お姉ちゃん”、が自分の人生に介入し壊した相手を恨む気持ちと、それによって得た娘への愛情との板挟み…という、それぞれの真理を掘り下げていればもう少し深みも出ただろうし、振り回され巻き込まれていく周囲の人びとを襲う恐怖への裏付けともなっていったのだろうと思う。
    赤川次郎作品を初めて読んだので他が分からないが、あっさりと表面的出来事だけを追いかけていき、人間の真理描写よりも物語形式を追いかけていくタイプの作品の方が、大衆受けはしやすいものなのかな、などとも感じた。

著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

赤川次郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×