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- Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041879610
感想・レビュー・書評
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怪談、というほどの怖さ…が全くない。
得体のしれないものへの恐怖、超常現象に迫られる側の心理的恐怖、等々が描かれないままに、ただ、死んだはずの人が姿形をもって語りかけてくる、人に危害を与える、という形で他の登場人物(実在)たちの間に存在している。
けれど、強烈な恨みや自意識、執念が描かれてもいないので、ただの表面的な復讐劇。
ロールプレイングゲームを観ているよう。
語り手である少女の視線ですら、人間の“らしさ”を伴わない、あくまでも語り手としての傍観者である。
″お姉ちゃん”、が自分の人生に介入し壊した相手を恨む気持ちと、それによって得た娘への愛情との板挟み…という、それぞれの真理を掘り下げていればもう少し深みも出ただろうし、振り回され巻き込まれていく周囲の人びとを襲う恐怖への裏付けともなっていったのだろうと思う。
赤川次郎作品を初めて読んだので他が分からないが、あっさりと表面的出来事だけを追いかけていき、人間の真理描写よりも物語形式を追いかけていくタイプの作品の方が、大衆受けはしやすいものなのかな、などとも感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示