マリー・アントワネット 下 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042082088

感想・レビュー・書評

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  • 良かったです。シュテファン・ツヴァイクも訳者の方もほんとうにすごいなあ。海外の、しかも歴史上の人物についての本なのに、比喩がわからなくなったり、つまらなくなったりするところが一切ない。注釈も少なくて的確なので感情移入を妨げるわけじゃないし。

    容赦ないエピソードはどこまでほんとうなんだろうなー、描き方が絶妙でした。死に近づくほど、扱いがひどくなるほど王妃らしくなっていく様子が痛々しく、切なく、けれどとても魅力的。

  • まるで演説を聞いているかのような文章で、登場人物の息遣いまで感じられる。

    上巻の最後にフェルゼンが漫画の王子様のように颯爽と現れ下巻への期待を高めている。

    下巻は更に歴史が動き、息つく暇もない程に緊張状態が続く。

    そして、アントワネット処刑までの重く長い日々。

    登場人物全員とお近づきになれる天下一品の本である。

  • 下巻はヴァレンヌ逃亡のあたりからアントワネットの最期まで。
    つまり、暗く辛い。
    1年間かけて、他の本を読む合間に読み、ようやく読破。

    愚鈍なルイ十六世、平凡すぎた王妃、そして愛に生きたフェルゼン。
    ルイ十六世の愚かさを詳細に記しており、アントワネットが最期に見せた聡明さと対比があざやか。
    ツヴァイクの描写を読んでいると、アントワネットがフェルゼンに惹かれたのもとてもよく分かる気がした。

    自業自得とは言い切れない、アントワネットの悲劇。
    どこまでも平凡な女性が、非凡な運命をたどった皮肉をツヴァイクはたびたび指摘する。
    ただ、それだけが原因ではなく、革命というまさに非凡なエネルギーが、ちっぽけな人間たちを飲み込んでいったのだと思った。

    アントワネットの子どもたちの末路は、読むに耐えない。
    何かが変わることは何かが滅びること。
    滅びの内実を考えさせられた。

  • フランス革命における人間心理の描写が秀逸。徐々に理念を失い残虐なバケモノと化していく革命に反し、人間として王女としての尊厳を身につけていくアントワネット。フェルゼンの揺らぎなく深い愛情に支えられ、断頭台までその気高さを貫いた意志の強さに感動せずにはいられない。アントワネットへの印象が一変した一冊となった。

  • 普通の女性が王妃としての威厳に目覚めたのは革命でした。彼女がマリー・アントワネットでなかったとしても、フランスは王家の打倒に向けて走り出していたのです。

  • 昨年の12/9より読み始めて、ようやく昨日、1/26に読み終えました。
    いや~~~長かったです。
    (初版は1989年)

    内容が重いうえに言い回しが固いっていうか二重否定とかけっこうでてきたりして意味が理解できず、結局何が言いたいのかじっくり読み返しているうちに眠たくなって・・・・。



    ま、マリーアントワネットっていやもう知らない人はいないって言うくらいの歴史上の人物なわけですが、それもなぜかっていったらその処刑された方法がものすごいから。
    そう。いわゆるギロチンでの死刑ってやつです。


    この本では、マリーアントワネットがオーストリアからフランスへ嫁ぐときからそのギロチンで処刑されるまでの歴史物語がまあまるでその世界をのぞいてきたかのようにドラマチックに描き出されています。
    時代は1700年代後半。
    200年以上も前のお話をここまで詳細に語られている(事実かどうかはさておき)っていうすごさにも感動( ;∀;) カンドーシタ
    (その苦労に関しての著者のお話はあとがきにてつづられています。)




    それからこの本を読むにあたって重要なことは、この著者は彼女のことを凡人と呼んでいるってこと。
    この定義づけもすごいけど、私にはちょっとこの意味が理解できませんでした。


    それは読みすすめていくと(歴史上の出来事を理解すると)なんとなくはわかるようになるんですが、やっぱり私には彼女が凡人だったとはとても思えませんでした。。。



    特に最後のほうの囚われの身となってからの彼女の崇高な態度の描写とか、人に与える印象だとかを読むととても凡人だったらそんなことはできないって思えたんです。
    凡人だったら、きっとわらの女のように自殺してるんじゃないかって思ったりもします。
    もしかしたらそれは映画を見るとよくわかるのかもしれません。


    けど、この映画効果でプリンセスのゴージャス気分が味わえるっていう意外なサービスが行われてるんだってさ。
    実際はそこがスポットじゃないんですけどね。。。
    最後のほうは涙がでそうになりましたから。
    余談ですが、最後のほうマリーアントワネットが一人囚人となっていたとき、その厳しい持ち物チェックがあった中ひとつだけ許されていたものがあります。
    それはなんと・・・!!( ; ゚Д゚)







    仔犬

    これには驚きでしたヽ(;´Д`)ノ


    それにしても、結末がわかってるとはいえ、ここまでいろんな事実があったんだということに改めて自分の無知さを思い知らされたわけです。
    いつも思うんですが、そのときはいやいややってたことが、今になるとなんでもっとちゃんとやっておかなかったんだろうっていうことが往々にしてありますよね。
    世界史がその一つで、今学生時代に戻ったら興味津々で授業聞いちゃうんだろうな~~って思えるんですけど。


    ちなみにマリーアントワネットに関する書物はたくさんでてるんですけど、映画の原作っていうことではもう一冊、ハヤカワ文庫からも出版されています。

  • 人間の本当の輝きは, やっぱり最期の瞬間の直前に来るのだろう。
    困難に直面して, 逃げずに対決することでしか, 最期の最期で毅然として誇りを失わずにいる術はないのだろう。

  • 透徹した冷静な目で、それまでのマリー・アントワネット像に左右されず、膨大な資料を元に描かれた評伝の古典として最高峰。ファルゼンとの恋や、靴職人や革命家などへ「凡庸」だとか「教養がない」だとかいう差別的で上から目線の表現があるとはいえ、面白い。俯瞰とロールプレーイングのバランスが絶妙で、おそらく訳も素晴らしいので、「今更マリー・アントワネットかよ」とはいわず目を通してもらいたい作品。

  • 201209読了。

  • 世界史を勉強しなかった自分への反省も踏まえ、子供が生まれたら読ませたい。

    上巻の王妃の思慮の無さには閉口するが、
    下巻に入り、運命の歯車が回り出してからの王妃の成熟ぶりには感嘆するしかない。
    最期まで毅然として、誇りを失わない美しさ。

    それだけでもうお腹いっぱい。

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著者プロフィール

シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig 1881–1942) 
1881年ウィーンのユダヤ系の裕福な家庭に生まれる。ウィーン大学で学びつつ、作家として活動を始める。第一次世界大戦中はロマン・ロランとともに反戦活動を展開。戦後は伝記小説等で人気を博しながら、ヨーロッパの人々の連帯を説く。ヒトラー政権の樹立後、ロンドンに亡命し、さらにアメリカ、ブラジルへと転居。1942年2月22日、妻とともに自殺。亡命下で執筆された自伝『昨日の世界』と、死の直前に完成された『チェス奇譚』(本作)が死後に刊行された。

「2021年 『過去への旅 チェス奇譚』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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