ある流刑地の話 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042083030

作品紹介・あらすじ

流刑地の島を訪れた旅人は、奇怪な死刑執行台を見せられる。
無数の歯車と針のついたこの装置で、まもなく一人の男が処刑されるという。
旅人は気が進まないまま立ち合うことになり、この完璧な機械の説明を将校から受ける。
緊張が高まるなか、恐ろしい刑の執行が始まるが――。(『ある流刑地の話』)
ほかに「二つの対話」「観察」「判決」「村の医者」「断食芸人」「ある犬の探求」の7編を収録。

感想・レビュー・書評

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  •  難解すぎて楽しめなかった。

     「ある流刑地の話」が良かったという感想が多かったので期待したが、最後まで内容と比喩が理解できるのがこの話と「掟」くらい。それで評価が高いのでは?と思わさせる程、他は難解。
     特に「二つの対話」、「ある犬の探究」は結局何がいいたいんだか。

     「変身」、「城」はもっと物語の世界が広がっていて、その世界の中にカフカの思想があったのに対し、これは思想ありき、物語は置きざりって感じ。
     「審判」もいずれ読もうかと思っていたが、この感じだと断念するかも…

     昔、岩波文庫の「断食芸人」を読んだ時はもっと面白く感じたので、もしかしたら訳者によるのかもしれない。

  • 『判決』、『ある流刑地の話』が特に面白かった。

    あとは、『ひとり者の不幸について』、『衣装』も良かった。生きていくことが悲しくなる話ではあるけど。

    すでに読んだことあるけど、『十一人の息子』、『断食芸人』もやはり良い。

  • 2022/10/6 読了

  • 高校時代、現代文の教科書に載っていた「掟」。
    改めて読み直すと、ひたすら放置されていた旅人が、掟の門の中に入れないこと、番人との不毛な、やりとり、これらが「社会性って何?」と、各人に問われているように読めてしまう。
    私は進んで掟の中に入るタイプではない。

  • カフカの短編集がひっそりと復刊されていた。こういうことがあるから、本屋通いは辞められない……。
    フランツ・カフカという作家は、1作家1ジャンルの草分けのような存在なのだな、と、特に短編を読んだ時に感じる。こういう不条理さ、当時は斬新だったのだろうか。

  • 内側へと向かう迷宮


     続けて何冊かカフカを読んだ。
     カフカとは、チェコ語でカラスという意味であることを覚えた。
     著者の顔写真を何度も目にした。カフカは尖った耳をしていた。
     恐ろしい顔立ちというわけでもないけど、不安を感じる。小説の印象を重ね合わせて見てしまうからだろうか?

     カフカの本って、不安のような不幸のようなうす暗い感じがあって、手にしたままふと立ちすくんでしまうのです。でもよく読むのです。

     それでも『ある流刑地の話』は短篇集なので、無限とも見える迷路のなかにも、区切りのよいところで非常口が見つかります。からくも脱出★ 「あれは一体なんだったんだろう」と、さきほど見てきた奇怪な光景を振り返ることに。

     それは、砂漠の中に横たわる壊れた死刑執行台だったり、テーブルの下に墓石を置く洞窟めいた喫茶店だったりする。せっかく逃げてきたのに、またその場面のことを考えてしまいます。
     不安はあちこちに転がっていて、逃れたと思っていても絶えず引き戻されるのです。

     このカフカって人は、一体どこにある世界のことを描いているのでしょうか?

     その答えの一つが
     ――"内側"。

     カフカの小説を読んだ私は、自分の内側に向かって歩き出してしまい、そのせいでどこにもたどりつけないのだと思います。自分の中に自分が迷い込むアホなのです。
     自分の内側へ、奥へと向かう迷宮。そうかと思えば、物語のほうからこっちに向かって接近してくるように感じられる時もある。自分の内臓でも覗いているようなものかな。それで時々不安に。

     しかし、この小説は設定ほど非日常的なことを書いているわけじゃなさそう。日常というものが大概、ちょっとずつ不安で不幸にできていますからね★

     日常生活のなかで育まれた、"内側"にあるものとは、つきあいたくなくても必ず長いつきあいになる。少し、困ったな。

     感想になっているでしょうか?

  • 再読。

  • 村上春樹の『海辺のカフカ』の中で大島さんがカフカで1番好きと言ってた変わった処刑道具の登場する話。どんな話なのか気になって気になって、でもどうやら絶版ぽいし…偶然見つけた古書店で購入。カフカの意味わかんない感じ結構やみつきになる。2011/065

  • その周辺を丹念に、時に執拗に描き、本質を浮き彫りにする。そして本質は、絶対に言葉にしない。

  • 流刑地にて。

    理不尽な罪で人を裁いていく将校。道徳や倫理観はさておき、自らの使命?のようなものから、その任務を遂行していく。ある時にはそれが間違っていることと知りながら。

    人が生きるとはどういうことなのか。

    その他、解釈不能な内容、生き物が続々登場してくる。これはなんなのか、何から考えていけば良いのだろうか。それすらわからない。良い意味でしこりを残された作品。イッツ・カフカワールド!

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著者プロフィール

1883年プラハ生まれのユダヤ人。カフカとはチェコ語でカラスの意味。生涯を一役人としてすごし、一部を除きその作品は死後発表された。1924年没。

「2022年 『変身』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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