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- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043749010
感想・レビュー・書評
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見えないものに真実があるというのは、一つの道理かもしれない。見えるものばかりが見えるのでは、見えないものが存在しなくなってしまう。ある意味、それは恐るべきことなのかもしれない。ま、世の中には知らんでええこともあるけどね!
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まだ
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恐怖とエクスタシーは表裏一体だとこの小説を読んで感じた。
しがない小説家が自分の部屋で隣室に通じる「穴」を見つける。それは両サイドに開いていて(これが一つではなく二つ開いているという点も面白い)、
そこを覗くようになってから彼の人生が大きく動き出す。
両サイドに開いている穴はそれぞれ「現実」と「非現実」の世界を象徴しているように思った。
彼は「非現実」の穴から女性の生活を覗くことにより、今までにない才能を発揮するようになる。原稿用紙に大雨のごとく文字を降り注ぐ様は、読んでいて、モーツァルトが鎮魂歌(レクイエム)を作曲していた晩年もこのような状態だったのではないかと思った。
あるとてつもない恐怖や、興味や、得体の知れない世界に踏み入った時、人は怖いという感情とともに快感を覚え、陶酔境を見るのではないだろうか。
主人公が恐怖を感じながらも、それに絡めとられていく様子はとても官能的だったと思う。