- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043944064
作品紹介・あらすじ
僕が通う理科系大学のゼミに、北海道から院生の女の子が入ってきた。徐々に距離の近づく僕らには、しかし決して恋が許されない理由があった……『100回泣くこと』を超えた、あまりにせつない恋の物語。
感想・レビュー・書評
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他人さまに迷惑をかけなければバカップル万歳!派なので、お布団の中でかんぴょうと卵になりきってす巻きになろうが、「◯◯なのは△△だけかしら」ゲームをしようが、自分がどれだけ相手を好きか競い合おうが、良いのです。山田詠美さんの「ラビット病」もそんな感じだし。
最初からいいなと思ってて、毎日顔を合わせてて、笑いのツボとか、会話のセンスも合うなら、それは惹かれちゃうのは仕方ないけど…
めぐは旦那と別れる気ないのね…!
タブー感が2人を盛り上げているだけで、めぐが離婚したら案外あっさり駄目になってしまいそうな気もする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
先ずこのタイトル… こんな風に言われてみたい(笑)
主人公の僕は人妻研究員に恋してしまう。期限アリの二人の恋。「その日、僕らは初めてキスをした。銀色の舟を漕ぎ出したような気分だった。」この一文にやられました(笑)男性なんですよね~この作者。驚きです!恋のはじまりと絶頂期を存分に味わえる、アイス&チョコレート掛けマシュマロを頬張るようなあま~い作品。この作品のもう一つの面白みが、富士山の山頂の石を自分のガッツの証としてる、ゴーイングマイウェイの男、木戸さんが最高に良いキャラで楽しませてもらいました。僕と木戸さんの二人のやりとりだけでもお話一本、つくれるのではと思ってしまったほど。惜しかったのは微妙な終わり方です。ちょっと、ちょっと、その先は?みたいな。ハラハラドキドキ、ロマンチックを楽しみたい方へ。 -
読みやすい、するするっと。
大学院に転入してきためぐとの会話は〇〇みたい、〇〇くらい、のような「それってそれぞれの感覚によるやん」って会話がほとんど。ちょっと風変わり。でなんの違和感もズレもなく分かり合えたことがきっかけで運命感じちゃったりして、相手を好きになる感覚はわかる。
許されない恋なのにドロドロしてない。むしろピュアでフレッシュささえある。ただ、手を出しちゃいけない恋愛だって思いが恋を加速させた可能性は大いにある。 -
"ラブの世界にダイブだこのやろう、と思った"
"ともかくその春僕が出会った2人のうち、一人には旧姓があり、一人には偽名があった。"
"正しさは間違いを内包していたり、間違いの前提として正しさがあったりする"
"恋っていうのは、寸止めが1番美しいんだよ"
"この世にはマグレと気まぐれしかねえんだよ。"
"いろいろなものを切り捨てまくって、みんなが普通に持っているものを、どうでもいいと切り捨てまくって、この人は一体、一人で何を守り続けてるんだろう"
"誤解は前提で、理解は敵で、正解は最初からないのだ" -
決して許される関係ではないけれど
育まれてた愛だけは
『本物だ』って思いたい作品。
2人は一緒になる事は出来ないけれど
せめて健やかに
よく眠れるようにと願う男の気持ちは
ずっと胸の中にあり続けるんだと思います。 -
・作者は芝浦工業大学だし、自分の恋について書いたものなのかなと勝手に想像。工学部出身(豊洲キャンパス)らしい。話に出てくる「駅近くのプロント」は2022年現在まだある。
・会話のシーンが魅力的だと感じた。「僕らは二人とも面白がる人で、多分、世界の面白さの一部分を、積極的に担いたいと考えている。」この文の通り2人の会話は面白くて愛しくて、センスしか感じなかった。小説でここまで微笑ましく笑えたのは初めてかもしれない。イチャイチャするシーンがきついと感じる人もいるのもすごく分かるけど、ただのイチャイチャで終わらない二人の会話が自分は好きです。「好きレボリューション」「おれなんか好きスパークだよ。溶接したい」などが個人的にツボ
・不倫じゃねーかよオイオイオイって思うけどそんなこと忘れるくらい爽やかな純愛みたいに描いていて、そこのグロさが好きだった。「人生そんなうまくいかないよね、人って結局弱いよね」みたいな。めぐを好きになったのは事実だけど、もし人妻じゃなかったらここまで盛り上がってなかったかもしれないし。でもそれが本当に山田くんを苦しめただろうし。それでも山田くんの偉かったところはめぐの人生をめちゃくちゃにしなかったところ。タイトルの通り、最後は本当にそれだけを望んだことが美しい。めぐが山田くんの手を離せなくなってしまうところは、彼女の弱さが人間らしくて、浅はかで、許されないけど本当に愛しかった。「離せない」と言っためぐの涙を溜めた顔が一瞬で思い浮かびうるっときた。
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たっぷりとした甘いシロップに沈んでゆくような恋の話。自分の持てるすべてを使って好きだと伝え合うふたりと、間違いを正せば終わってしまう愛。恋愛に溺れていたときの自分が、そのまま主人公に生まれ変わったようだった。気恥ずかしくて、でも、目を逸らせない。
「恋ってのは、寸止めが一番美しいんだよ」という木戸さんの言葉が、読み終えたあとも胸のなかで光っている。完全には手に入らないからこそ、美しいかたちのままを保てるのかもしれない。
十年前に読んだときは、この本の甘さがもっと身に染みたような気がする。きっとわたしのなかにあった溢れるような熱情は、この十年ですべて燃え尽きたのだろう。すこし寂しい気もするけれど、きっとどうしようもないことなのだ。「ああ、そんなこともあったな」と、今では他人事のように暮らしている。 -
終わり方がどうなるかと、読み込んだ。
続編が欲しい。 -
不倫はどんな理由があったって駄目だと思うけど、なんでこの物語はこんなにキュンキュンしちゃうんだろう・・・
〇〇だけかしら、とつけると意味深になるって会話がなんだか印象的。
こんな事を思いつける人になりたかった・・・
この本を好きなのは、僕だけかしら?