瞳の中の大河 (角川文庫 さ 60-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年10月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
- / ISBN・EAN: 9784043944798
作品紹介・あらすじ
男は二度、女を撃った。女は一度、男の命を救い、一度、その命を奪おうとした。ふたりは同じ理想を追いながらも敵同士だったから…。悠久なる大河のほとり、野賊との内戦が続く国。理想に燃える若き軍人が伝説の野賊と出会った時、波乱に満ちた運命が幕を開ける。「平和をもたらす」。その正義を貫くためなら誓いを偽り、愛する人も傷つける男は、国を変えられるのか?日本が生んだ歴史大河ファンタジーの傑作。
感想・レビュー・書評
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「黄金の王 白銀の王」が面白かったので他の作品も読んでみようと思ったが、それほどでもなかった。
清廉潔白な人はいないよ、ということ。
メイデン王の今後に期待! -
46:先日文庫を購入した沢村さんのFT、というわけで借りました。めっちゃ面白かったです! 厳しい身分制度と複雑な社会情勢、大地は痩せているのに税の取り立ては厳しい、ままならぬ世界。お飾りの王の陰から国を動かす評議会の存在、そんな体制を覆そうと起った者は反逆者、野賊と呼ばれ、国軍が討伐にあたっていた。物語は主人公、アマヨク・テミズが軍の学校を卒業し、少尉として実戦に出るところから始まります。
たくさんの登場人物、それぞれの思惑や立場や制約、人生があるわけです。それでも何の肯定も否定もせず、推奨も嘲笑もせず、淡々とアマヨク・テミズという男の一生を描く骨太の物語でした。「大河」とは歴史の比喩なのでしょうか、アマヨクから見た歴史、筆者から見た歴史、その揺るぎなさに鳥肌がたちました。
「ふたりは海を見たことがなかった」とか、章タイトルが絶妙でね……!! 伏線というか、ほんの傍流が流れ流れて、歴史っていう大河に注ぎ込む瞬間がたまりません。
4/22、購入タグを追加 -
手段が異なっても目指す物は同じ。
目指す物が同じなのに手段が異なるだけで、こんなにも隔たってしまうのかと思った。
人の難しさが伝わってくる作品。 -
個人的にかなりお気に入りの作家沢村凛の作品。
今気付いたのですがこの本で文庫化された沢村凛の作品は全て読んでしまったことになります。
次は単行本に行きますかね。。。
と前置きはさておき「黄金の王 白銀の王」と似たような
歴史ファンタジーのこの作品。
「黄金の~」の時も少し思ったのですが登場人物の名前が
覚えにくいんですよね。
世界観に完全に浸るまでは誰が誰だか確認しつつという感じでしたが終盤は一気読みでした。
とにかくブレないアマヨクの愚直さが良いです。
登場人物の行動の一つ一つ、発言の一つ一つにちゃんと
明確な理由付けがされているようなストーリー立ても
読んでいて安心感があるというか圧倒されました。
各部の節ごとのタイトルが1文字から1字ずつ増えていく
といったような遊び心も○です。
最後のエピソードは少し説明的過ぎかなという印象も受けましたが。 -
おもろかったが、なんか辛気くさい。出奔貴族娘の子で軍人アマヨク、王位継承権4位のメイダン殿下が国を動かすまでの物語。アマヨクにフォーカスしすぎているので、メイダン比率をもうちょっとあげると面白くなりそうな気がするが、いかんせん辛気くさい。前述の『黄金白銀』もそうだったが、フランダースの犬とか石川啄木的な圧倒的生前報われない感が漂う。おもろないことはないんですが、小説なんだからそこでそんな死に方せんでも、その上にエピローグでぐだぐだとその後が語られてしまいそこで自然死するインパクトと意味がなぁ、よくわからん、と、読了感がナニな感じです。ま、幸せな国の人向けやなぁ、と、何かこう傲慢なものを感じた、それになんかもひとつ足らんような、、。
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ただひたすら誠実に信念に基づいて生きていく主人公。一気に読みました。
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男らしい生き方。
現代社会では薄らいでいる男の責任、信念。そして忠誠心。
熱い男の物語。 -
なぜだろう、アマヨクのキャラがよく分からず
感情移入や共感ができなかった。
彼の考え方や信念は異端だと思うけど、
なぜ彼のような人が生まれたんだろうか。
ただ国のためそこに住む人達のためとあるだけで
なんかしっくりこなかった。
カーミラや子供たちに対しては
人間らしさがあってよかったのだけど。
世界観はだいぶ生々しくてリアルで良かった。 -
魔法は出てこないが、戦ものの異世界ファンタジー。
最初は主人公アマヨクのまっすぐすぎる正義感にたじろいだが、次第に清濁併せ呑む面が見え、引き込まれていった。
「敵」である内戦相手の集団と、時には対話し、恋もし・・・表に裏にと深く関わりあいながら展開する、重層的な物語。
ハイ・ファンタジーは翻訳ものの多いジャンルだが、やはり日本語で生まれたものの読み応えは格別。