新版 増補 共産主義の系譜 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 189
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044004118

作品紹介・あらすじ

画期的な批判的研究の書として、多くの識者の支持を得た名著!!

共産主義の思想と運動の歴史を、防衛大学校校長も長く務め、自由主義者の論客として知られた政治学者が批判的視座から読み解く。
マルクスの思想とマルクス主義はまったく違う!
マルクス、フォイエルバッハ、ラッサール、レーニン、スターリン、チトー、フルシチョフ、毛沢東に加えて、その後の文化大革命と非毛沢東化、
非スターリン化、ソ連共産党独裁政権の官僚化と軍事力を背景とした力の外交、そしてユーロ・コミュニズム、グラムシに論及。

共産主義の思想と運動の歴史を平易に一望する大傑作!

感想・レビュー・書評

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  • これはすごい。
    マルクスから、レーニン•スターリン・毛沢東という実践家へ、そしてフォイエルバッハ、トロツキー、チトー、果てはローザルクセンブルクまで体系的に、個々の思想を紐づけてその発展と課題、現実などを究めて平易に記してある。それぞれの思想が、有機的に繋がって立ち上がってくる。

    はっきり言って、「マルクス主義」を名乗る大学生はおそらくこの世から完全に駆逐されており、「なんとなく」の理解しか誰も持っていない。これは社会変革を志す学生にとって、自分の思想の系譜を辿る上でも必読ではないかと思う。

  • 復刊。
    こういう本がある日ぽろっと復刊されるから、各社の学術系文庫は恐ろしい。それにしても、トロツキーの生涯なんかは、論文というより何か映画を観ているみたいな面白さだった。

  • タイトル通り。

    共産主義を、その起源から、1970年代まで一本の流れでつかむことのできる本です。

    お恥ずかしながら、40代になるまで共産主義とは何か、その中身に無関心に生きてきました。
    読書会で齋藤幸平さんの『人新生の資本論』を読み、初めてマルクスの思想の一端を理解した次第です。

    作中語るべき気づきはたくさんありますが、一番の発見は、共産主義と言葉一言でいっても、その中身は千差万別だ、ということです。

    マルクスが描く資本の共有と富の分配は
    スターリンが目指した、一国主義とは似て非なるものです。
    その後を継いだフルシチョフはすぐに非スターリン化を打ち出しました。
    では隣のシンパ、中国共産党は変わらずロシア盟友であるか?それも違います。毛沢東の実践するイデオロギーは、それ以前のものとは違います。

    実のところ、資本主義、帝国主義のアンチテーゼになる主義主張を、全部ごちゃ混ぜにしただけ。
    それらを分かりやすく共産主義とまとめたようにも読み取れました。

    さらに本作では、そのごちゃ混ぜを整理し、比較し、体系化する、広範な思索が為されています。
    読後は近代史に対する理解が深まること請け合いです。

    最後に、個人的な感想です。
    広範な知識をベースに書かれているため、歴史的な事実や思想、哲学用語が断続的に使われます。解説無しに。

    読む時には、スマートフォン片手に読むことをお薦めします。



  • 読み始めてみると難しすぎて理解できず、途中で断念。
    自分にはまだまだ時期早尚だった。

  • 面白いし参考になるところも大いにあるけど、読み物の形を取って書かれていたり、結局自分で他の本もまた参照しないといけない作りになっているのが残念。

  • 東2法経図・6F開架:309.3A/I56k//K

  • 第1章 マルクス主義思想
    第2章 フォイエルバッハと死の思想
    第3章 ラッサールの生涯と思想
    第4章 レーニンとレーニン主義
    第5章 トロツキーとトロツキズム
    第6章 スターリとスターリン主義
    第7章 チトーとチトー主義
    第8章 フルシチョフとスターリン
    第9章 マルクスの革命理論とアジアの社会主義思想
    第10章 非毛沢東化と非スターリン化
    第11章 現代の共産主義

    著者:猪木正道(1914-2012、京都市、政治学)
    解説:竹内洋(1942-、東京、社会学)

  • マルクスの思想を踏まえてレーニン、スターリン、トロツキー、ローザルクセンブルク、グラムシ、チトー、毛沢東への変遷を踏まえマルクス主義は無神論の宗教だから他宗教や個人主義に敵対するとか、日本では軍国主義が抜けた空白に共産主義がはまっただけとか、私的資本による本源的蓄積をせず国家が強引に本源的蓄積しただけのソ連と中国は非スターリン、毛沢東化を進めて近代化されるとか、ナルホド!という指摘が多く面白い。

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著者プロフィール

猪木正道

一九一四(大正三)年、京都市生まれ。東京大学経済学部卒、三菱信託株式会社、三菱経済研究所を経て戦後、成蹊大学教授、京都大学教授、防衛大学校長、青山学院大学教授を歴任。京都大学名誉教授、平和・安全保障研究所顧問などを務めた。主な著書に『ロシア革命史』『ドイツ共産党史』『政治変動論』『共産主義の系譜』『独裁の政治思想』『評伝 吉田茂』(全三巻)『私の二十世紀――猪木正道回顧録』『猪木正道著作集』(全五巻)などがある。

「2021年 『軍国日本の興亡 日清戦争から日中戦争へ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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