ガロア 天才数学者の生涯 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044005511

作品紹介・あらすじ

第一章 少年時代
1 ガロアとその家族
2 リセでの生活

第二章 数学との出会い
1 数学者ガロア誕生
2 ルジャンドル『幾何学原論』
3 数学への渇望

第三章 数学史的背景
1 エコール・ポリテクニーク
2 西洋数学の流れ
3 方程式を解く

第四章 デビューと挫折
1 〈数学者ガロア〉デビュー
2 二つの不幸
3 エコール・ノルマル入学

第五章 一八三〇年 ――革命と放校
1 七月革命
2 革命の傍らで
3 放校

第六章 一八三一年  ――獄舎の中で
1 三度目の論文
2 「ルイ・フィリップに乾杯!」
3 獄舎の中で
4 ガロアの黙示録

第七章 一八三二年
1 恋愛事件
2 決闘

あとがき、文庫版あとがき

(本書は2010年に中公新書より刊行された『ガロア 天才数学者の生涯』を加筆修正のうえ、文庫化したものです)

感想・レビュー・書評

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  • まず。数学苦手でも読めます。

    映画「レ・ミゼラブル」のクライマックス、ラ・マルセイエーズ響く七月革命のシーンがものすごく印象に残っているので(直接的に七月革命に参加しなかったにせよ)、あの前後を生きていたんだなぁと思うと、感慨深いものがある。

    では、父が自殺をしていなかったとしたら。エコール・ポリテクニークに合格していたとしたら。フーリエが亡くなっておらず、アカデミー大賞を受賞していたとしたら。
    ガロアは20歳で亡くなることはなかったのか。
    色んなイフが考えられるけれど、結局それは、語り得ないことであって。

    ただ、彼がいたからこそ、繋がった世界がある。
    今なお、彼を理解しようと試み、憧れる人が世界中にいるというのは、なんだか面白い気がする。

    「ガロアは代数方程式論を通してまったく新しい音楽を聴きだしていた。それが斬新なメロディーや和音に満ちあふれていただけなら、ルジャンドルの本のような古典的な形式に整えて一つの楽曲に仕上げることも可能だっただろう。しかし、ガロアの音楽はそれらのどの形式によっても適切に表現できない種類のものだったのである」

    四則演算と平方根で、解の公式を導くことのできた四次方程式までと、五次方程式ではそれが出来ないと論じたガロアのアプローチを理解するのは、私にはなかなか難しい。
    そもそも言葉や記号の定義を辿っていくだけで、迷路に嵌まり込んでいく感じがする。

    ただ、当時の数学者でも見逃してしまうような、ガロアの発想の転換、問い直し方には、すごく魅力を感じる。
    そして、今を生きている。
    その世界にもう少し近づけるといいんだけどなー(笑)

  • コーシーやルジャンドルの評価が高くなっていた。ガロアの評価は冷静に掘り下げていると思った。

    グロタンディークは自分のことをガロアの生まれ変わりだと言っていたが、数学に強烈な集中を注いだこと、不遇の待遇を受け、政治活動の道へと行ったこと、構造主義的な数学の精神を受けついでいたこと、この辺が共有されているのかなと思った。ガロアコホモロジーっていうのもあったなと思った。

  • ガロアの人生の話。
    どうしても歯切れが悪くなってしまうのは、
    彼があまりにも若くして亡くなったからでしょう。
    しかし、数学との出会いも運命的で、人生なにがきっかけになるかわからないのは全人類共通。

  • ガロアの生涯と当時の時代背景などについてよくまとめられた本だと思いました。数学的な業績については、別途勉強しないといけませんが、それを作ったガロアやその時代背景、社会情勢などをよく知ることができました。
    レ・ミゼラブルのマリウス・ポンメルシーとほぼ同世代ということは、この書籍を読むまで気がつきませんでした。社会情勢については、レ・ミゼラブルでの描写も参考にしながら読み進めていました。

  • 時代背景にも詳しく言及があり、ガロアの生きた王政と民主主義の狭間の混沌を感じることができた。しかし15歳で数学を始めて20歳までの5年間で一つの大きな体系を作り上げるとは。どういう脳の構造をしているんだ。。ここまでの天才でも基礎的な数学はそれほど学校の成績が良かったわけではなく、物理は全然良くなかったというのは意外だった。

  • 天才数学者Galoisの生涯

  • 現代数学を先取りする理論を構築するも決闘で若くして亡くなった天才数学者の生涯。孤独な天才数学者と激しい政治活動化という二面性は、7月革命やコレラの蔓延など激動の時代ゆえなのかもしれません。いずれにしろ、「時代に殺される」というのは悲しいものです。
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  • 偉大な数学者ガロアの物語。数学者というと、静かな書斎で一人黙々と計算をしているイメージがありますが、彼は違いますね。波乱万丈の生涯でありました。数学を学んでわずか数年の若者が、それまでの数学にない新しい概念を生み出せたことにビックリします。ガロアは、レ・ミゼラブルと同時代の人なんですね。

  • ガロアの”特別扱い”については腑に落ちた。「悲劇の人生」については、不運と言うよりは自業自得に近いんだな。
    功績についてはきちんと評価されていて、数学者ならではのバランスの取れた評伝。
    しかしながらなくなってしまった論文については惜しい…

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著者プロフィール

かとう・ふみはる 1968年、宮城県生まれ。東京工業大学理学院数学系教授。97年、京都大学大学院理学研究科数学数理解析専攻博士後期課程修了。九州大学大学院助手、京都大学大学院准教授などを経て、2016年より現職。著書に『ガロア 天才数学者の生涯』(角川ソフィア文庫)『物語 数学の歴史―正しさへの挑戦』『数学する精神―正しさの創造、美しさの発見』(以上、中公新書)『数学の想像力―正しさの深層に何があるのか』(筑摩選書)、『宇宙と宇宙をつなぐ数学―IUT理論の衝撃』(KADOKAWA)、
『天に向かって続く数』( 共著、日本評論社)など。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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