倭人・倭国伝全釈 東アジアのなかの古代日本 (角川ソフィア文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044006082

作品紹介・あらすじ

中国の歴史書に記された「日本民族」のルーツに迫る。『漢書』から『旧唐書』まで、倭人・倭国について記した中国の正史の原文と読み下し文を掲げ、詳細な語注と解説をほどこす。
倭族は長江流域を出て広がった民族であり、稲作と履き物を脱いで家に上がる文化を持っていたなど、著者のフィールドワークによる知見が活かされた「倭族論」の集大成。

感想・レビュー・書評

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  • ・序説、倭人について
    倭人=日本人ではない。長江流域を原住地とし稲作と高床式住居を文化的特質として四方に移動分布した民族の総称。鯨面文身、断髪、網漁。長江以北では粟と麦、竪穴式住居で靴を脱がない。
    朝鮮半島南部の狗邪韓国から北部九州の奴国。
    ・漢書、地理志第八下
    楽浪の海中に倭人。100余国。
    ・魏志、東夷伝、倭人
    帯方東南の大海の中。元100余国で使訳の通ずるところ30国。
    その他、後漢書・列伝・東夷・倭、晋書・列伝・東夷・倭人、宋書・列伝・夷蛮・倭国、隋書・列伝・夷蛮・倭国、北史・列伝・倭。
    宋史・外国伝・日本国では、日本国はもと倭の奴国、後漢より朝貢し、魏・晋・宋・隋をへて皆来貢す。

    最初の倭の奴国(九州北部)はAD180の倭国大乱にて滅亡。
    安帝永初元年(107年)倭国王の帥升、生口180人を献じる。(倭の奴国)
    邪馬台国の記述。著者は邪馬台国=近畿の大和と推定。
    近畿までいくために路程と方角を変更して解釈し、投馬国は吉備。
    女王国より北という記述は西に変更。その他出てくる21の国名は全部架空と断定。

  • 興味深かったです。

    アジア地域に様々な倭族と呼ばれる人が居ることを初めて知りました。
    習俗、風習、生活様式、似通う点が多いのは面白いですね。
    紀元前から始まる中国の文献には「倭」が登場しますが、そう考えると謎の多い記述は「当時は伝聞だし真偽不明な情報も裏付け無しで書いている、日本とは別の倭の情報も混じっている」と考えることは自然なようにも思えます。

    ただ、各国に足を延ばしてフィールドワークされていらっしゃるので、ご自身が得た情報と考察に自信がおありなのでしょうけども…諸説あるものについて断定が多いことは気にかかりました。
    この方の書籍はこれしか読んでいないため、本書では「すでに他の本で書いた」と根拠をサラリと流され、疑問だけが残ります。
    他を細かく考察されているだけにそこが目につき、「諸説あるものを断定し、それを根拠として証明する」モヤモヤがどうしてもあります。
    特に、邪馬台国論争で九州説に一票を投じる方は「えぇ…」となるでしょう。

    とはいえ、調べ物のために図書館で借りましたが、他には「倭について書かれた文献を一つに纏めた本」が無かったため、とても面白く読めました。
    一冊に纏められていると、日本について割かれた紙面の多さや内容の細かさ、前史書のコピペなのに微妙に変えたところ、そういった比較ができるところが良いですね。
    一読の価値はあると思います!

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著者プロフィール

1914~2007年。岡山県生まれ。1938年、関西学院大学法文学部文学科卒業。大阪教育大学教授を経て、同大学名誉教授。日本生活文化史学会会長。文学博士。専攻は文化人類学・古代史。著書に、『おもろさうし全釈』(清文堂出版)、『大いなる邪馬台国』(講談社)、『原弥生人の渡来』(角川書店)、『倭族から日本人へ』(弘文堂)、『古代朝鮮と倭族』『古代中国と倭族』『女王卑弥呼の国』(以上、中央公論新社)他多数。

「2020年 『倭人・倭国伝全釈 東アジアのなかの古代日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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