法然を読む 「選択本願念仏集」講義 (角川ソフィア文庫 H 106-2)

著者 :
  • 角川学芸出版
3.50
  • (2)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 34
感想 : 3
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044068028

作品紹介・あらすじ

「南無阿弥陀仏」と唱えるだけで皆往生できる-。法然が深甚な智慧と膨大な行の大系の中から選び取った一行は、不条理や不安が生み出す絶望から人々を自由にする唯一の言葉であった。熾烈な弾圧を受けながらも、法然はどのようにして新しい救済の道を見いだすに至ったのか。主著『選択本願念仏集』をテキストとしながら、その信念と現代的意義を丁寧に読み解く。人類社会にとって、宗教の果たす役割とは何かを考える絶好の書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  結論から言うと、浄土宗のみならず真宗の方も読んでほしい。法然上人がお念仏一つといわれたことの勢いと強さを『選択本願念仏集』から読むというか感じる本。
     本の言葉そのままではないが、自分の言葉で書く。
     法然上人は、大悲(衆生を救うという仏の慈悲)は必ずあるはずだ、それは今自分にも届いているはずだ、どうしても三学による仏法を求め続けられない自分にも届くはずなんだと「信じて」多くのお経を読んでいかれる。そして「彼の佛願に順ずるが故に」にたどり着かれる。
     自分は、「信じる」話が好きではない。科学的ではないからだ。それはどうしても、その人が勝手に信じているだけではないかと思うのだ。それは自分が冷たい人間であり、どうしてもそういう考えだからどうしようもない。信じられたらどんなにいいか。
     なのでこの本での法然上人のたどり着かれた答えは、箇条書きにしたら非常に納得がいかない者なのである。しかし、阿満氏の解説を一緒に読んでいくと、そんな気持ちが起こらないのだ。不思議だけれども。原文を読んで、法然上人の強い思いと力強さに呆然とするばかりなのだ。なんとすごい本だ。
     歎異抄第二条で、親鸞聖人は唯円坊にこういう。

    ”たとい、法然聖人にすかされまいらせて、念仏して地獄におちたりとも、さらに後悔すべからずそうろう。”

     自分はご本人たちに会ったことはない。でもこの本を通して法然上人の書かれたものに触れることで、今一度この第二条が鮮やかに思い起こされる。本当のことはわからない。でも、そういう心があるかもしれない。疑いいっぱいの自分の心にも流れてくる「信じる」心。
     このお二人のことを一緒に思うことが大事であると改めて気がつかせられた。法然上人がいなかったら、親鸞聖人もお念仏に合わず、さらに今自分が浄土真宗の教えに触れることもないんだ。自分のような心持ちの人間でも感ずるものしかない本。是非たくさんの人に読んでもらいたい。すごい。

  • 法然を中心に書かれたものを探して,読みやすそうだったので購入.

  • 少し難解であるが、法然の思想を遍く述べられている。日本の浄土教の根本の理解また浄土宗の理解を助けてくれる。

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

阿満利麿(あま・としまろ):1939年生まれ。明治学院大学名誉教授、同人誌「連続無窮」主宰。著書に『法然の衝撃』『親鸞・普遍への道』『歎異抄』『親鸞からの手紙』『柳宗悦』『『歎異抄』講義』(以上、ちくま学芸文庫)、『無宗教からの『歎異抄』読解』『人はなぜ宗教を必要とするのか』(以上、ちくま新書)、『日本精神史』『『往生要集』入門』『『教行信証』入門』(筑摩書房)、『選択本願念仏集』(角川ソフィア文庫)などがある。

「2023年 『唯信鈔文意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

阿満利麿の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×