- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044083373
作品紹介・あらすじ
古来、日本人は未知のものに対する恐れを異界の物語に託してきた。酒呑童子伝説、浦嶋伝説、七夕伝説、義経の「虎の巻」など、さまざまな異界の物語を絵巻から読み解き、日本人の隠された精神生活に迫る。
感想・レビュー・書評
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日本人の異界への考えが、社会の動きや人々の思考にどれだけ影響されたか。
古代の異界征伐が京都政権の維持のため、中世になり、中央政権の弱体化による妖怪のスケールダウン化、また近世になり、消費社会が生まれ、人間の意識が自然から人工物になり、また、自分自身の生き方が問われる時代になり、幽霊のような個人と向き合うものが主流に。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
異界論のすすめ
序章 異界をめぐる想像力
第1章 反魂の秘術ー『長谷雄草紙絵巻』
第2章 源頼光と酒呑童子ー『大江山絵詞』
第3章 妖狐の陰謀ー『玉藻前草紙絵巻』
第4章 龍宮からの贈り物ー『俵藤太絵巻』
第5章 龍宮の逆説ー『浦嶋明神縁起絵巻』
第6章 天界への通路ー『天稚彦草子絵巻』
第7章 義経の「虎の巻」-『御曹子島渡』
第8章 天狗と護法童子ー『是害房絵詞』
第9章 狐の「浄土」と異類婚姻ー『狐草子絵巻』
第10章 百鬼夜行のパレードー『付喪神絵巻』
第11章 幽霊の近世ー『死霊解脱物語聞書』
終章 異界観の変容と妖怪文化の娯楽化
あとがき
文庫版あとがき -
奈良時代から平安時代にかけて、よくもまあこんなに呪いが流行ったものだと感心してしまう。しかも仏教(真言秘密)にまで呪いの術があるとは「因果応報」はどうなっているのか。中世頃は異世界は別世界からの来訪者と言った位置付けなのが、近世にはあの世という扱いに変わっているのが興味深い。
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様々な昔話を通して異界の在り方を探る。
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説話や縁起絵巻等から、題材となるイメージをいくつかに分類し、それぞれの時代やモチーフから日本人の異界感を分類分析してある。
説話や昔話が好きで、軽い気持ちで読み出したので難解でした。
近代に従って、物や動物が変化した存在などの妖怪が人がそのままの幽霊になり、異界に行く話が憑依された人が語る話になったり、異形との距離がだんだん遠くなっていくのが寂しいような。
引用)このような娯楽としての妖怪文化は 、双六や玩具 、絵本などの遊びの道具やタバコ入れや印籠の根付けの装飾としても浸透していった 。それは妖怪文化の商品化ということでもあった。
江戸時代からジバニャンかな -
日文研の小松所長のことを知りたくて購入。一般向けの内容だが、平安時代から江戸時代にかけての妖怪の移り変わりがざっと追えた。