変? (角川文庫 な 34-9)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 60
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784044125240

作品紹介・あらすじ

自他共に認める"買い物依存症"の中村うさぎが、自身のビョーキからの脱却を求めて、精神科医や研究者、はたまた様々なビョーキから生還した先輩たちと突撃対談!ある時は仰天逸話に爆笑し、またある時は的確な分析に深く納得。図らずも、この連続対談中に依存対象が"ホストクラブ"に移行。依存症患者に特有の"渡り歩き症状"も披露する中村うさぎに、果たして依存症の脱出口は見つかるのか?うさぎの明日はどっちだ。

感想・レビュー・書評

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  • 新品が手に入らず中古でゲットした一冊。一つ一つの対談が短めで一部物足りない気もしたのだが、「買い物依存症」→「ホスト」と"依存"に悩む(?)中村うさぎと対談した多くの人もまた、何かに"依存し過ぎ"た経験を持つ人、もしくはそれを治療する立場の人で興味深い。
    完全な人間などいないなんてこと、頭では分かっているつもりなんだけど、いざそれを自分に当てはめようとしても、なかなか「完璧性」への幻想がそれを受け入れることを拒んだりするから厄介だ。普通であれば、日常に"敢えて"埋没して生きていくものなのかもしれないが、そうはできない人々が、結果自分の不足(していると思っている部分)を補うために、依存に走るのかもしれない。宮台氏との対談の中で、自分の居心地が悪い場合に、周りの世界を変えてしまおうとして少年犯罪なんかに走るタイプと、世界ではなく自分を変えようとする依存症タイプに分かれる、というような話があったが(p123)、なるほど根っこにある思いみたいなものは同じなのかと妙に納得。要は自分と世界との関係がうまくいっておらず、何かを変えようとする行為なんだな、と。
    不完全な自分を受け入れてしまった方が幸せなのか、それとも自己確認のためにもがきつつも生きていく方が価値ある人生なのか、そして果たして自分にとってはどちらがいいのか、つらつらと考えてしまう。尤も、後者になるにはある種の勇気、もしくは理性を失うほどの執着が必要であり、自分にそれがあるのかは甚だ疑問ではあるのだが。

  • 買い物依存症の中村うさぎが、依存症を脱出する糸口を見つけるために、13人の人たちと本音で対談。
    和田秀樹(精神科医)、原田宗典(作家)、本橋信宏(文筆家)、島村洋子(作家)、横森理香(作家)、団鬼六(作家)、尾崎弥生(ノンフィクションライター)、宮台真司(社会学者)、月乃光司(作家)、松本侑子(作家)、沢村拓也(ホスト)、苫米地英人(科学者)

    専門家の立場から話す人、依存症を回復した人の経験談等、どれも濃密です。
    アルコール依存症も薬物依存も過食症も命がけの依存。
    それがわかっていてやめられないのだから、、やっぱり病気なんだよね。

    私は鬱病を患っていたことがあるので、躁鬱病の原田宗典の、鬱になった時「温かい無関心」で対応してくれるのが一番いいというのがよくわかる。
    私の時は次男が私の部屋で寝ころんでマンガを読んで、終わったら「また来るね」って出ていくとという距離感がすごくありがたかった。
    落ち込んだとき、「ドンマイ」って肩を叩いてくれて楽になった。
    そういう事なんだよなあ、としみじみ。

    精神科医の和田先生は「人間は依存しなけりゃ生きて行けない。だから、依存するコト自体は別にいいんですよ」という。
    いびつな依存をまともな依存にしていこうと。
    判断ポイントは2つ
    ・自分の意志で辞められること
    ・支払う代償が大きくないこと
    少し心が楽になりましたか?

  • 自己不全感。

    自分と世界との関係が希薄になり、実感が掴めない。あるいは、周りからの承認が得られぬ不安感。結果、自傷行為や依存症に陥る。

    摂食障害、買物依存、薬物依存、性的倒錯…。
    久々のうさぎ姉さん。数々の著名人。特に読みたかったのは、団鬼六、本橋信宏。

    自己破滅的な生き方ばかり選ぶのは、ドーパミンを含む快楽システムの問題。これが、何かしらの経験による自己不全感により、正常の機能とは異なるセンスを生めば、人はセックスよりも自害を繰り返す。

    ただの雑談。別に深まる話もない。しかし、気楽に、表層的にその世界に触れることがワクチンの作用をもたらす事もあるだろう。それを先入観と呼ぶのだが。

  • もともと人間というのは何かに依存してしまう生き物。依存することは別に悪いことではない。依存症と呼ばれる人たちが問題なのはその形がいびつな形をしているところ。やめられない止まらない状態が、ついには自分自身を滅ぼしていく。まともな依存に戻そうというのが、精神科医和田先生のやり方。相手の都合も考えずに真夜中に電話をかける。こういった依存の仕方が下手な人たちにカウンセリングを通して、上手に依存する方法を身につけさせてあげる。自らも依存症の著者が導き出した一つの結論が、依存症の克服とは依存そのものをやめることではなく自覚できるようにするというもの。人それぞれに依存症との向き合い方がある。

  • 他人事じゃない。
    私のことか?と思う中村うさぎ。
    依存症予備軍(もうすっかり依存症かも)としては
    先輩の姿はリアルすぎて突き刺さる。
    そして導き出した結論や発見は、目からうろこ。
    そして学びました。

  • 色んな種類のいわゆる「病んでいる?」人たちとの対談

  • 対談形式。ちょっとクセのある人々。原田氏もいたので読んでみた。
    作品の紹介
    自他共に認める“買い物依存症”の中村うさぎが、自身のビョーキからの脱却を求めて、精神科医や研究者、はたまた様々なビョーキから生還した先輩たちと突撃対談!ある時は仰天逸話に爆笑し、またある時は的確な分析に深く納得。図らずも、この連続対談中に依存対象が“ホストクラブ”に移行。依存症患者に特有の“渡り歩き症状”も披露する中村うさぎに、果たして依存症の脱出口は見つかるのか?うさぎの明日はどっちだ。

  • 期待していなかった分、響いたところが多かった。
    自分もそのケがあるので、共感できる部分が多々。(★3のところ、共感票で+★1です)

    和田秀樹氏、本橋信宏氏、松本侑子氏、苫米地英人氏との対談が良かった。

    なりたい自分がそこにある。
    それを求めた結果の自己満足、自己犠牲。
    達成感を得たはずなのに乾きを覚え、また達成感を求めて...というループ。
    依存(ぎみな人の)思考を断ち切るヒントが其処此処に。

    明日はヤメよう、明日から生まれ変わろう、ではなく、
    『明日はやってもいい。だから今日一日はやめよう』というように『文章の組み替えが考え方を変える』(本橋氏)

    『自我のレベルでは自分のためになっていないと思っているが、
    脳の中では自分のためになっていると判断しているのだろう』(苫米地氏)

    というあたりが響いたところ。

    それと、苫米地氏の回で、
    買物一回につきその都度死んでいる(くらいの快楽を得ている)
    というのが笑えた。

    だって事実だから。あははのは。
    気をつけよー。

  • 中村うさぎが様々な人と語る対談集。
    実際に読んだのは高1のときです。
    当時、女王様はもちろん、対談相手として登場する作家の原田宗典さんのファンでもあったため、本屋で見かけた途端即購入したのを覚えています。

    対談相手のチョイスが面白い。
    鬱(原田さん)、摂食障害、薬物中毒等、いわゆる「社会病理」に「苛まれながら」仕事をしている著名人もいれば、脳科学者や社会学者など、そういった「社会病理」を「研究する」仕事をしている方もいる。
    さらにうさぎ女王様に「人身売買」を斡旋しようとする団鬼六も(ブランドものとSMの関連性の話は、とても興味深かった)、カリスマホスト(当時女王様はホストにはまっていたので)もいる。
    だけどどの対談も、「人間に生まれなければ(それとも、真っ当な人間に生まれてくれば?)こんな業や趣味を持つこともなかったろうに」という事柄についてあっけらかんと話していて、グングン引き込まれます。

    もう少しその事象に突っ込んで語ってほしい、という箇所もあります。
    だけど、それを差し引いても、「生きてみてもいいかもしれん」と思わせてくれる力に満ちた、素敵な一冊です。

  • 再々読。何度読んでも面白い。次々出てくるビョーキの人たち。興味津々で色々聞き出し、時々説得されちゃううさぎさんがおかしい。なんでこんなに読み心地がさわやかなんだろう。

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著者プロフィール

1958年2月27日生まれ。
エッセイスト。福岡県出身。
同志社大学 文学部英文学科卒業。
1991年ライトノベルでデビュー。
以後、エッセイストとして、買い物依存症やホストクラブ通い、美容整形、デリヘル勤務などの体験を書く。

「2017年 『エッチなお仕事なぜいけないの?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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