ダンタリアンの書架3 (角川スニーカー文庫 123-23)
- 角川グループパブリッシング (2009年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044241155
作品紹介・あらすじ
ダリアンは荒れていた、怒っていた、罵倒していた。読み終えた王都で人気の流行小説第二巻。その三部作の最終巻が刊行されぬまま作家レニー・レンツは半年前に死んでいたのだ。だが、そのレンツからヒューイへ助力を求める手紙が。「奇怪な書物によって囚われた私たちを助けて欲しい」と-。ダリアンは手紙の住所に向かった、続きを書かせるために。人の欲望に応え、不思議な力を発揮する悪魔の本を巡る、少女の冒険、第3弾。
感想・レビュー・書評
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なんか面白さが逓減してる気がする。連作短編の宿命、ネタ切れとマンネリ化か。焚書官とのくだりは新要素となってくれることを願う。
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ダリアンは、薄い本も等しく「本」として読むのだなぁ、と感心しました(笑)
焚書官が無性に好きなので、登場するとワクワクします。
強く生きて欲しい、と思う(笑) -
焚書官登場。
この子たちのほうが主役よりもキャラ立ってるのでは?と思ってしまう。
短編だからかラノベだからか、ちまちましてる印象。
気が狂った女が~系は飽きたなあ。 -
9784044241155 296p 2009・5・1 初版
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【収録作品】第一話 「換魂の書」/第二話 「忘却の書」/第三話 「黄昏の書」/断章一 「眠りの書」/第四話 「魔術師の娘」/断章二 「美女の世界」/第五話 「償いの書」
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11月20日読了。図書館。
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借本。
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“「気にいらんか。贅沢なやつめ……ならば彼女はどうだ。おまえよりも十歳ばかり年上だが、家柄もしっかりしているし、家庭的ないい妻になると思うぞ」
「妻?さっきから何の話をしているんです、叔父上?」
ヒューイがついに苛立ったような態度で訊き返す。ダヴィはむしろ意外そうな顔で、
「もちろん、おまえの結婚相手の話だが」
「結婚?」
ヒューイが啞然とした声を出す。ダヴィは恩着せがましい笑顔で頷き、
「そうとも。ヒューイ、貴様、いくつになった?曲がりなりにも爵位の継承資格を持つ男が、その歳になって許嫁の二人や三人いなくてどうする?」
「許嫁が何人もいたら、ただの結婚詐欺じゃないですか。だいたい、なんだって叔父上が僕の結婚相手の心配なんかするんです」
「そんなもの、おまえのためを思ってやっているに決まっているだろう」
ダヴィが呆れた表情で言った。自分の言葉に何の疑いも感じていない人間の顔だった。”[P.75]
ハルの扱いに思わず笑う。
“「あの少女……全身に九つの錠前か。彼女もきみと同じ読姫なのか、ダリアン?」
どこかのんきな口調で訊いた。
ダリアンは無言のまま、揚げパンの咀嚼を続ける。彼女自身、判断がつきかねているという表情だった。そしてダリアンが何か言おうと口を開きかけたとき、
「くっ」
ヒューイが突然、ダリアンを放り出して前に出た。
長杖を放り出した焚書官が、ヒューイたちに襲いかかってきたのだ。交錯した二人の身体が、もつれ合ったまま、陽炎のように一瞬ゆらりと揺れた。
そして、よろよろと後退したのはヒューイのほうだ。
「ヒューイ!」
ダリアンが血相を変えて鋭く叫んだ。今まで彼女が発したことのないような、頼りない声だ。
ヒューイは無言で唇を拭う。その手の甲に薄く血の痕が滲む。
しかしハルも、身構えたまま動かない。険しい表情で、焚書官は自分の掌を見つめた。確実に仕留めたはずの獲物が、目の前に平然と立っている。そのことに驚いている顔だった。
「面白い動きだな。今のは……たしかバリツとかいう東洋の武術だったか」
切れた唇を舐めながら、ヒューイが皮肉っぽい口調で訊いた。
ハルが、かすかに眉を動かす。俺の砕<くだき>が見えたのか、と感嘆したように呟いて、
「おまえ、兵士か?」
ヒューイは笑って首を振った。
「まさか。僕はただの飛行機乗りだよ。格闘は専門じゃないんだ。手加減して欲しいね」”[P.262] -
読了。