シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と青の公爵 (角川ビーンズ文庫 73-2)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年8月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044550165
作品紹介・あらすじ
ハイランド王国の冬。王家が認める、幸福をもたらす砂糖菓子の作り手=銀砂糖師を目指す少女・アンは、宿代にも事欠く貧乏っぷり。子爵のヒューに才能を買われ、城で修行をしないかと誘われるけど、自分の力でがんばるため断ることに。そんなとき、フィラックスを治めるアルバーン公爵が、望み通りの砂糖菓子を作った者に破格の報酬を出すと知り…!?大反響を呼んだ、第7回小説大賞受賞作、待望の第二弾。
感想・レビュー・書評
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一巻だけのジョナス君かと思ってたら、またもや嫌なヤツとして登場。いやいや、彼、それなりに技術あるのね。真面目に頑張れや。アニメ6話~がこの本。アニメ5話目はまだ読んでないけど『王国の銀砂糖師たち』、多分。
貧乏生活を続けるアンと妖精達。現、国王の血を引くアンバーン公爵が腕の立つ砂糖菓子職人を求めていると知り、城に行くが、それには深い訳があって、色々なことに巻き込まれるアン…。
2巻も定番的な面白さと、アンの職人を目指す気高さが良かったです。このお話では高い地位にいる人やできる職人はちゃんと分かってる人が殆どなので、そこでイライラ~っとしないのが良いですね。銀砂糖子爵のヒュー、その知り合いのキャット(詳細なエピソードは省略されてました)、ラドクリフ工房のキースなど、これから鈍感アンとにぶちんシャルの恋模様に色付けてくれそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ジョナスの人でなし度が上がってない……?
っていうか、腐れ縁なんですね。
シュガーアップル・フェアリーテイルの第二弾。
銀砂糖師にはなれなかったアンは、いまだジリ貧、いえ清貧生活真っ只中。
救いは、旅を共にしてくれるシャルとミスリルがいること。
銀砂糖子爵のヒューに才能を買われ、彼の城で修行を持ちかけられるも
それはなんか違う、とお断り。
そんな折、王都近郊のフィラックス領を治めるアルバーン公が
彼の望みどおりの砂糖菓子を作った者に
多額の報奨金を出すと聞いたアンは、フィラックスへ向かうのでした。
ティーンズ文庫ということもあって
全体的にソフトな印象で、そんなに酷いことも起きないよねと、ある意味安心して読めました。
おそらく、直前に読んだのが十二国記で
血なまぐさいものだったせいでしょうね。
しかし、ティーンズ文庫と侮ることなかれ。
また夜ふかしして読み切ってしまいました。 -
一作目が面白かったので、続きも買ってきた。
世界観がちゃんと確立されているので読みやすい。
シャルとアンの関係に他者の介入があったり、相変わらずストーリーの展開は上手。それが透けて見えるところも安心して読める一因かも。 -
作品全体から溢れる空気がほのぼのとして綺麗な作品。
アルバーンの望む砂糖菓子の真実はとても切なく悲しく、でも、結末はアンの手で暖かさも感じられる。
ヒューの保護者的なアンへの対応とか、それに対するシャルの微妙な空気とか、男性陣が何だか良い感じに動いている。
アンがひたむきに銀砂糖師を目指す頑張り屋さんなのでラブ度があまりないけれど、
シャルがアンに対し特別な何かを感じているから今後に期待。
アンにしても、前にシャルが共にいた女の子のことを気にしたりしていることだし、この2人は今後が楽しみ。
読了 2010/08/25 -
雰囲気が綺麗で、可愛らしいです。
砂糖菓子、それも幸運を運んでくれる、銀砂糖で作られるお菓子。その職人を目指す少女・アン。アンの旅についてきてくれるのは、黒曜石の妖精と、湖水の妖精。
雰囲気は綺麗なんだけど、登場人物たちがその中で生き生きしてて、読んでいて楽しかったです。
砂糖菓子を作るシーンとか、「あぁ、こんなかな」なんて想像したりして、現物が見たくなっちゃいました。
ほんわりとしていて、可愛らしい恋も見れます。
かわいいなぁ、と呟いちゃうような、可愛らしい物語でした。 -
恋、夢、前向き、キラキラ。
強い意志を持って頑張るヒロインは理想。
ただのお姫様より、とても好きです。
頑張ってる様子には勇気づけられるし。
なんとしてもお菓子を完成させるんだ!という意気込みは、とっても応援したくなります。
ヒーローの男の子が、ヒューに言われて一度はヒロインのもとから去ろうとしたその葛藤もよかった。ミスリルの健気な活躍も。
キャラが立ってるんだよなー。
妖精と人との間の確執や葛藤もよんでて面白いです。仲良くしたいけどそうもできなかったりする、世の中のことを描いているようで。
第三弾の発行も決まってるみたいですが、とてもとても楽しみです。 -
1巻を踏まえてさらによかったです。面白い。☆5つでもよかったかな…。やさしいきもちになれました。
冒頭見開きの人物紹介が1巻と同じだったので、えっこんな同じメンバーなの!? とちょっとびっくりしつつも読み始めたら最後までノンストップでした。今回もアンはものすごく頑張っています。そしてジョナスのへたれっぷりは脱帽ものです。逆にすげぇと褒めたくなる(笑) …ヒューっていくつなんだろう? 気になる…。
砂糖菓子も繊細な芸術品ですが、アンの瑞々しい感受性もとても繊細で愛すべき才能です。ふふふ、シャルと仲良くね。
第3巻は12月発売予定だとか。楽しみにお待ちしております。 -
“若者たちはにやにやと笑って、アンを見ている。ジョナスも笑っている。
――泣くものか。泣いたら、負ける。負けを認めたら、そのとおりだと思われる。
「国王陛下は、わたしの作品を好きだと仰った。事実よ」
それだけ言うと、アンは台の上に置いてあった砂糖菓子を手に取り、足もとの木箱に入れ始めた。アンのやろうとしていることを察して、ミスリルが台の上から飛び降り、白い布を取り払い手早くまとめる。木箱に、ミスリルがまとめてくれた白い布をかけると、持ちあげた。
「あれ、なにしてるの?アン」
白々しいジョナスの問いに、アンはきっとなって答えた。
「今日は、とんだ邪魔がはいったから、店じまいするわ。そこ、どいて!」
「逃げるのか?」
からかうように道を空けながら、ジョナスが笑った。
アンは歯を食いしばって、彼らの間を通り抜けて、荷台に向かう。
「銀砂糖子爵に、また泣きつくかい?」
「銀砂糖子爵の趣味も、変わってるよなぁ!こんなチビを相手にするなんてさ。それとも俺たちには想像も出来ないような、すごいサービスでもしてんのか?」
荷台に木箱を載せようとしているアンに向かって、若者たちがけたけたと笑ってやじる。
それにいちいち、反論する気はなかった。ぐっとこらえる。アンが騒げば騒ぐほど、彼らは喜ぶはずだ。場はさらに混乱し、彼らの思うつぼだ。
「黙れ」
その場に、緊張が走った。
シャルがいつの間にか、剣を握っていた。切っ先を、若者たちに突きつけている。
「それ以上は、許さない」
野次馬も若者たちも、息を呑む。黒い瞳が、今にも襲いかかりそうなほど怒気を含んでいた。”
続編が出たことがすごく嬉しい。一息に読んでしまった。
ヒューとシャルのやり取りとか、面白い。
貧乏でもめげない砂糖菓子職人としてのアンの一途な思いがすごく伝わってくる。
彼女の職人としての誇りは、すごく綺麗だ。
何度も読み返したくなる。
三巻のでる12月が待ち遠しい。
“「この馬鹿。心配をさせるな」
「ごめん。でも、わたし。砂糖菓子職人だから……。でも、ごめん」
「アン」
無事を確かめるように、彼女の名を呟く。するとアンが、ぼそりと言った。
「二度目……」
それを、シャルは聞き留めた。
「なにが?」
「『かかし』とか『この馬鹿』とか『間抜け』とか呼ばないで、わたしのことをアンって、名前で呼んでくれたの。今ので、二回目」
その言葉に、シャルは目を丸くした。
「そんなものの回数を、いちいち数えているのか?どうして」
「だって。名前で呼ばれると、嬉しいから」
――そうなのか!?
軽く、衝撃だった。そんな些細なことで、嬉しがったり悲しがったりするのならば、アンの奇妙な態度を、自分が理解できないのも頷ける。
つくづく。人間というのは、よくわからない。
特にアンのことは、リズよりもわからなかった。すくなくともリズの行動は、予測できた。
しかしアンの行動は、予測できない。あのアルバーンを目の前に、城が兵士に包囲されているのを承知で、砂糖菓子を作り続けるとは思わなかった。それが望みだと、強い意志を宿した瞳で言い切った。あんな強い眼差しをする少女を、シャルは他に知らない。
理解できないことや、驚くことばかりだ。
だがそれが、なぜか不愉快ではない。面白いとさえ思える。それが不思議だった。” -
かわいいお話。
砂糖菓子に特別な力があるっていうのがメルヘンチックでかわいい
これが刀とか芸術品とかならありそうだから、そういう重みがあると思って読むとしっくりくる
あとはあれか、イギリスの結婚式のときのケーキみたいな感じかな
かわいそうな公爵様の終生の友を作ることができてよかった