シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫 220-1)
- 角川書店(角川グループパブリッシング) (2009年11月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784044748043
感想・レビュー・書評
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タイトル通り、甘くて暗い物語です。
化け物を狩る少女がヒロインですが、その戦いが衝撃的です。
爽快さは無く、ただ少女の悲痛な叫びとグロテスクな表現が綴られております。
しかし、だからこそ少年の一途な心、自分を犠牲にしてでも彼女を助けたいという強い気持ちがより感じられるんでしょうね。
その後の展開がとても気になるところで物語は終わります。
続きが出る日が来るのか、気になって仕方がないです(^_^)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文句の付けようが無い作品だった。
共同墓地という設定が面白い。その設定の中で、不死の怪物、ザ・ダークがしっかりと生きていて良い。
シリアスな作品の中に、上手に恋が入っている。
とにかく素晴らしい作品だった。 -
なんか雰囲気だけで★5にしてしまった。それぐらい、他のライトノベルとは違ったいい雰囲気の本作。
なんか表紙や序盤読んでるとすごい暗い感じなんだが、途中メリアと出会い、そして後半にいくにつれて主人公・ムオルが現状に抗いそして終盤で一気に返してくれるところが素晴らしい。
8、9割は暗い話なのに読み終わったあとこの物語を単なる暗い物語と思う人はいないだろう。 -
非常に面白かった.よく計算されて練られたことが分かるストーリー.読後,タイトルと副題を確認して,著者の込めた「テーマ」の深さを感じた.ストーリー自体は,理不尽な状況に陥る主人公ムオルが謎の少女メリアと出会い,おぞましい体験を経ながら状況を打破する王子様的ストーリー.しかし作品全体を意識して暗いものにしていることにより,読者には常にその陰鬱さを共感させつつ,最後一気に,まさに“光が射すような”展開へ持っていく.中盤までのダルさと最後のスピード感の緩急が素晴らしい.
その分,表紙や見開き口絵が残念.人によってはネタばれに感じるのではないだろうか.イラストは表象絵みたいなもので十分,と思えるくらい面白いということで. -
なかなかにダークで微妙に甘くてすごくよかった。
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暗くて生々しい描写が続くけど最後には不思議とほんわかできる温かい話です・ω・
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“「おまえは誰だ?」
立ち上がりながら、少年は訊ねた。
フードの少女は相変わらず、不思議そうな視線で少年を見ていた。騒いだり怖がったりするようなことはないものの、彼女の心の中には戸惑いと興味が混在しているようだった。まるで道を歩いている最中、卵から雛が孵るところに出くわしたみたいに。
彼女は不自然なほど間を置いて、それこそ言葉が通じなかったのではないかと思うくらいの沈黙のあと......
「メリア・マス・グレイブ<共通墓地のメリア>」
と、言った。
その単語の連なりが少女の名前だと理解できるまで、しばらくかかった。
「......メリア?」
確かめるように繰り返すと、彼女は小さくうなずいた。
続けて少年は訊いた。
「こんな時間に、一体何してる?」
少女は答えた。
「私は墓守り<グレイブキーパー>だもの」
たった一言ですべて説明が済んだかとでもいうように、彼女は——メリアはそれ以上何も言わなかった。”
最後まで読み終わってから最初の2ページに戻ってしみじみ。
黒いけど綺麗。
“「......メリア」
勝手に赤くなろうとする頬を肩で隠すようにしながら、ムオルは口を開いた。
「こないだも言った通り、オレがここに来たのは冤罪で、俺が囚人<オリッド>になっているのはおかしいんだ」
「......うん」彼女が静かに頷く。
「だから俺は、ここを脱走する。ここから出て行く。この穴が完成したら、さよならだ」
その言葉を理解したときメリアの顔に浮かんだ表情は、ムオルの予想していた反応の中で、二番目にすばらしいものだった。
「......うん......。そのほうが......あなたの為だわ」
——驚きと、それから、悲しみ。
彼女が自分と別れることを悲しんでいる。少年はその事実に、加虐的な喜びさえ感じた。そして二番目にすばらしい反応は、一番楽な反応でもあった。都合の良い想像で申し訳ないが、もし行かないでと手を引かれて泣かれでもしたら、どうなってしまうかわからなかった。
けれどどちらにせよ、やるべきことは変わらない。
時間もない。
やるしかない。
今は囚人としての、最後の穴堀りを。
あとは計画がうまく行くことを、それから自分が耐えられることを、祈るのみだった。” -
すき(・・*
気楽には読めないけど
ぐあーって読めるなんか気になる -
墓堀少年と墓守少女のボーイ・ミーツ・ガールなダークファンタジー。
という割には微笑ましいような物語。あまり怖くもないし。
もう少しテンポ良く読ませてくれる文章なら、もっと面白いと思う。 -
読後感が気持ちいい。クライマックスに向けての土台作りがうまいなー。でも、帯の触れ込みにはどれ一つとして共感できなかったですw