田嶋先生に人生救われた私がフェミニズムを語っていいですか!?
- KADOKAWA (2023年2月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046059727
作品紹介・あらすじ
フェミニズムとは、現代を生きる私たちがいま最も身につけておきたい、誰もが生きやすい未来につながる新しい価値観。そんな私たちの日常のなかにあるフェミニズムについて、ついに時代が追いついて再評価がとまらない田嶋陽子と、田嶋のフェミニズムに人生を救われ、現代を代表するフェミニストの一人となったアルテイシアが、笑って怒って語り合う。読めば励まされ、勇気づけられ、明日への活力がわいてきます!
感想・レビュー・書評
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感想で他の方も書かれていたが
田嶋陽子さんはもう81歳?
変わらないなーとお写真を見て思った。
TVで、パワフルに男性陣と激論していたのは覚えているが、その頃の私は全くフェミニズムの言葉は届いていなかった。
対談は第5章まで
各章の注釈も書かれていてわかりやすく、フェミニズム入門書としてお勧め!
学問としてではなく、
経験として語られる田嶋陽子さんとアルテイシアさんに膝パーカッションし過ぎて、膝がヤバい!
「一人一人の経験を
ベースにフェミニズムは語られるのよね。
フェミニズムって言葉を知らなくても、
専門的に学んだわけじゃなくても。
一番大切なことは、その人がどうありたいかだから。
それを推し進めるとフェミニズムのエッセンスに行きつくby田嶋陽子」
痺れるぅーーアイラブ田嶋陽子!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
田嶋陽子再評価はうれしい。
健気で真っ直ぐ、泥を被ってくれて、ずるくない。
たまにテレビで見かける田嶋さんが、相変わらず頑張ってる姿を見て、痛々しくてテレビを消したことが何度かあった。きっと私も田嶋さんを一人荒野に残した卑怯者だ。打たれても打たれても変わらない姿勢でおじさんたちの毒を浴び続けてきた田嶋さんが、再評価!再評価してくれた人たちにありがとうと言いたい。そしてごめんなさい。田嶋さん。
田島さんが一人ぼっちになったのは、イデオロギーでなくて、自分のためのフェミニズムを語ったからだ。だから、学問領域の隠れ蓑が無くて、ある意味一貫性が無いと非難される。それから、テレビに敢えて出てヘイシストたちとやり合うなんて時間の無駄だし不毛だと思う人がほとんどだったから。田嶋さんの「鈍感力」は、勇気と言い換えてもいい。過敏な感覚の人たちにはなかなかない能力だ。
ホント、田嶋さん81歳の今の今まで頑張り続けてくれてありがとう。
この対談も優しさ、包容力いっぱいだ。
そんな田嶋陽子と対談するアルテイシアは、少しケレン味ありすぎる感じがしてたんだけど、やっぱり頑張ってるなあと思った。
「国連のスピーチでエマ・ワトソンが『悪が勝利するには簡単で、善良な男女が何もしないだけでいい』と話してました。つまり、沈黙する善人ですよね。私はそういう人たちに届くものを書きたいと思っています」(アルテイシア)
自分大好きな感じが、バブリーで、危なっかしい感じもするけど、確か人こういう人がいなくちゃ、裾野が広がらないなと思う。いろんなフェミニストがいなくちゃね。ちょびっとフェミニストとか、時々フェミニストとか、ある意味フェミニストとか(笑)
少し前は結婚してるだけでフェミニスト失格っていう雰囲気があった。厳しい世界っていう感じがして、フェミニストって公言するには勇気が必要だった。上野千鶴子は大好きだけど、上野さんもかつてはそういう雰囲気を醸し出してた。あなた、それでもフェミニストなの?といった感じ。
それは流石に最近は聞かないけど、少しでも甘えたらフェミニスト失格っていう雰囲気は、世のためにならないよね。うっかり、私もアルテイシアさんに対してそういう目で見てたのね。
田嶋さんが言うように、日本が沈没してしまわないように、ガラパゴス化した日本の状況を変えるには、男も女もみんなちょびっとフェミニストになればいい。
本当にこれからの日本が心配だから、男女共にすくすく伸びていって欲しい。誰も足を引っ張ることなく。
この本でおお、そうだ、と思ったこと2つ
性暴力の話に「でも冤罪もあるよね」と言われたら、「あなたは交通事故の被害者に向かって、でも当たり屋もいるよね」と言うのか?と返そう
クリティカルマス
集団の中で影響を及ぼすために最低限必要な数値。
女性登用について一般的に「30%以上」と掲げられるのは、米ハーバード大学のロザベス・モス・カンター教授の「黄金の3割」が根拠
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大切なことを、ユーモアを交えきちんと伝えられるアルさんの才能。本当にすごいし羨ましい。
アルさんが田嶋先生に救われたように、アルさんに救われてる20代30代の子がたくさんいると思う。同年代の自分ももちろん。
私も勇気を持とう。
<心に留めたい言葉>
アル
べつに守ってもらわなくていいから、ちゃんと話を聞いてほしい。「女」じゃなく「一人の人間」として尊重してほしい。
田嶋先生
「差別するな、性暴力をやめろ」と声を上げてくれる男性こそが、女を守る男なんだ
アル、せやろがいおじさんとの対談にて…
「男性優位の日本社会で暮らす僕は特権を享受している」「無意識のうちに女性を抑圧していることもある」という事実。これに気づかないままずっと過ごしていたらと思うと今でもゾッとします
アル
性差別的な表現を批判すると「表現の自由を侵害するな」と赤潮のようにクソリプが発生するので、「表現の自由は批判されない権利ではないし、批判するのも表現の自由である」と除夜の鐘をつくように言い続けてます(笑)
田嶋先生
男性たちが男らしさを捨て始めたとき、女性たちがどれだけ許容できるか、変化として受け止められるか、そこはやっぱり気をつけなきゃいけないと思う。変化した男性がいい面を出したときはいいよ。でも男性が弱い部分を出したとき「男なのにナヨナヨしてる」とか、女性に奢らなくなったときに「男のくせにケチ」なんて言わないようにしないと。
田嶋先生
昔はよく女性向けの看板が道端に立てかけてあって「夜道の一人歩きはやめましょう」って。そうじゃなくて、本当なら「夜道の一人歩きをする女性を襲うのはやめましょう」だよね。
アル
北欧では子どもの頃から民主主義の基本を学びますよね。『北欧の幸せな社会のつくり方』にはこんな文章があります。<北欧と日本で異なるのは、人々が「自分の意見には価値がある」「一人ひとりに社会を変える力がある」とどれほど感じているかだろう。北欧の教育現場では、徹底的に「自分で考える力」と「批判的に物事を見る力」が養われる。>
アル
そうやって怒りの矛先をそらすことで得をするのは、権力者ですよね。決定権を持つ自分たちは批判されず、女を叩いてくれた方が好都合。そんな策略にハマってたまるかよ!とみんなに気づいてほしい。自分たちを苦しめているのは誰?戦うべき真のラスボスは誰?と考えてほしい。そうすれば男女は仲間として連帯できるし、みんなが生きやすい社会になる
アル
女性漫画家への風当たりも強く、原稿料は男性の半分。同じ媒体で、同じくらいの人気があってもです。理由を尋ねると「女は将来結婚して男に食わせてもらうんでしょ?男はあなたたちを食わせなきゃいけないの。ギャラが倍なのは当たり前」と言われました。すごい時代ですよね。
田嶋先生
フェミニズムは人権の話だから「自分はこんなひどいことをされていい人間じゃない」と気づくのが始まり。だから怒れる自分に誇りを持っていい。怒れることは、それだけの感性や知性や能力があるってことだから。 -
アルテイシアさんの田嶋先生愛に溢れた一冊。
(あとがきがめっちゃよかった)
「配偶者控除はなくすべきか」の章で触れられている「恐ろしいくらい優秀なパートのおばちゃん」は様々なところで遭遇する。おばちゃんだけでなくもう少し若い人も。
昔から染み付いているジェンダーロールのせいで、正社員として働けない女性はたくさんいる。
働きたい人が働ける社会にするためには一番身近な方法は投票に行くことだと思った。
どの党を応援するかは自由だと思います。
あと、おじいがフェミニズムを理解できていなくても「まあ、そうですよね…。」と諦めがあるのでそこまで傷つかないが、同年代の女友達に理解されないと傷つくというのは膝パーカッションでした。 -
対談内容は初心者向けで文字数も多くない為、フェミニズムの入門としておすすめ。
声に出して読みたいフェミニズム語録が満載なので覚えて使っていきたい。
作者の漫画の例えがふんだんに使われたテンポと躍動感溢れる文章が魅力な
「アルテイシアの熟女入門」もおすすめ。
https://www.gentosha.jp/series/artesia_jukujo/ -
田嶋陽子さん、もう81歳なんだ。
パワフル。
数十年前からTVで活躍していたが、まだまだ彼女の言論が受け入れられているとは言い難い状況。
もちろん前進はしているのだろうが。
亡くなった安倍さんを筆頭に、山谷えり子だの杉田水脈だのが逆方向の言動をいまだし続けている。
明治時代の家庭が理想?ちゃんちゃらおかしい。世の中は変わっているのだ。
さて、振り返って、私はフェミニズムであろうか?
レジャーと教育以外は子育ては妻任せ。
小児科の順番待ちくらいはしたか、、
今では失格だ。
ただ、考え方は新しいと自認している。
「女はこうあるべき」と考えたことは、ない。
そういうステレオタイプは大嫌いなので。
あくまで一人一人。
素敵だなーと思う考えを持つ女性もいれば、ふつ―の女性もいる。
それは男も同じ。
まあただ、若い女性に惹かれるのは本能で仕方ないとは思うが。
中学時代は恐れ多くて?口もきけなかった同級生の女子と、
40過ぎてからやっと話ができるようになったのはありがたい。
気がつけば60過ぎてしまったけれど、付き合いは続く。
ほんとにありがたい。
選択的夫婦別姓を否定する理由がわからない。
何を縛ろうとしているのか。
戸籍など無くしてしまえばいい。マイナンバーを進めるのであれば。
自民はやっていることがめちゃくちゃ。
日本はどんどん遅れている。
役所や病院の待ち時間、システムが悪すぎ。
国民皆保険なんて威張っているけど、システムとしてはめちゃくちゃ。
あ、話がずれた。
女性の意見が反映される日本にならないと、日本に明日はない。
頭の固い男と、それに追随する女だけが生き残る今の政治、馬鹿すぎる。
なんとかせにゃ。 -
フェミニズムについて書かれた本の中では珍しく(あえて先に書くが)「男性と」女性に向けて書かれた本だった。
私は基本的に男性支配社会において、女性は奴隷であり、男性は所有者だと考えているから、男性学になど1ミリの興味もないのだけれど、ただ、読了して思ったことは、私たちのように世界を変えようとかではなくて、今現実目の前のことに生きて、明日や老後を考える女性にとって、今のシステムを仕方なく受け入れて現場で戦う時には、男性に語り掛けることも、譲歩することも、語り合うことも、現場目線で必要な部分もあるとは思った。(私はしないし、基本的には男性同士でやって欲しいけれど)
色んな面で田島先生は男性への譲歩を、現実主義的に許容する。
門徒を広げるという意味でも評価できるだろう。
しかしやはりそこには根深く、わかってもらうは乞食の思想、という田中美津の言葉は横たわる。
田中美津は先生とは呼ばれなかった人だから。
分からない人間にわかってもらおうなんてところまで、誇りを売り渡したくない、とも思ってしまう。
そこを生きる為にしなければならないと本書は説く。
そのねじれの深い哀しみを思う。
何にせよ、女性同士どんなに争わされても、真のラスボスは、男性である。