- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046211507
作品紹介・あらすじ
親がちょっと見方をかえれば、子どもの好奇心を引き出すことができる「大発見」が日常生活にはいっぱいだ。子どもを理科好きにするためのアドバイス満載の1冊。
感想・レビュー・書評
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★大宅壮一ノンフィクション賞作家・中野不二男 理科好き育成を目論む★
これが最新刊本でこの時期に原発テーマの本を上梓していないのに驚きましたが、中野不二男は1950年新潟市生まれの科学・技術ジャーナリストでノンフィクション作家。豪州での先住民アボリジニーの調査・研究を経て、帰国後は国立民族学博物館でその共同研究への参加、80年代後半から宇宙政策シンクタンク宙の会の代表幹事も務めました。
本書は、理科離れが指摘されて随分経つ子供に一緒になって簡単な実験をしてみたり、夜空の星を観察するとか、身近に理科的環境を用意してあげれば科学や自然への興味や関心は無限にどんどん膨らんでいくこと、子供が理科を好きになる瞬間は日常生活のどこにでもあると指摘します。こういうちょっとした体験が好奇心を育て理科への栄養となる、と工学博士の著者自らの体験にそった豊富なアイデア満載で、子供ばかりか理科嫌いのあなたも楽しめる一冊です。
私が彼に遭遇したのは『マレーの虎ハリマオ伝説』(文藝春秋1994年)を読んだからです。
その本は、マレーの虎と呼ばれたハリマオが、昭和の初めに、マレーシアで三千人の手下を連れて密林を駆け巡る盗賊の頭になり、その後、太平洋戦争中は日本軍に利用され諜報員となった実在の人物で、福岡県出身の本名を谷豊といいますが、その彼がシンガポールで30歳という若さでマラリアで死んだのが、今から70年前の1942年3月17日です。父たちの世代は、1960年から1年以上続いたドラマ『怪傑ハリマオ』で、勝木敏之という俳優演ずるハリマオの格好良さに熱狂し虜になってハリマオごっこを興じたといいます。
生前充分過ぎるほど戦争の道具にされたのに、死んでからも戦意高揚のために、それこそ死んでもラッパを放しませんでしたという日露戦争の木口小平二等卒よろしく英雄に祭り上げられ、敗戦後にはマンガやドラマ化されたというのが、ことの真相です。
盗賊になるきっかけは子供の頃住んでいたマレーシアで、反日運動のさなか在中国人によって彼の妹が殺されたからですが、盗賊といっても中国人から奪った略奪品を貧しいマレー人に手渡したという一種の義賊だった。それもこれも、英雄ハリマオ伝説を解き明かすために福岡とマレーシアにおよぶ現地調査や綿密な取材を敢行した著者の強烈な分析力の成果ですが、そういうものからは遠ざかって今や彼は、最先端科学を解り易く解説する第一人者で科学・技術ものを得意とするノンフィクション作家の感があります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
理系といわれる分野に対して、どの様にこどもに興味を持たせるか、著者自身が実践されている方法がたくさん出てくる本です。
日々の家での様子がエッセイ風に書かれており、文章が情景が分かるように丁寧にかかれているので、とっても面白く読めました。
そして、強く感じたのは、著者の様々なワザを実践するには、まずは実践する大人側に興味を持っているということがとても大切だということ。
今思えば、自分の両親も、本著者がしてくれたようなことをいっぱいやってくれました。私は文系、夫は理系。夫の力を借りて、この本のように、子どもの視野を広げる手伝いをしていきたいと思いました。 -
子育て本としてかなり気に入った一冊!
2人のお子さんを育てた経験をもとに書かれているので、統計を根拠としているわけではないのだけど、一般的な啓発本よりよっぽど良い印象を受けた。
・章ごとにポイントはまとめてあるものの、基本的にはエッセイの体で書かれていて単純に読んで面白い
・著者がとった作戦に対して子どもがどんな反応をしたのかが書いてあり、真似したい!と思ったワザが多くあった
具体的には…
・こどもが手の届く本棚
・こどもの興味が湧きそうなページを開いておく
・科学雑誌
・衛星チャンネル
・NHK教育番組
・科学館、博物館の活用
・工作、ものづくり
・テレビゲームとの付き合い方
・自由研究
・百科事典の活用