青春、手遅れ

著者 :
  • 角川学芸出版
3.31
  • (18)
  • (35)
  • (93)
  • (16)
  • (2)
本棚登録 : 508
感想 : 63
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046214508

作品紹介・あらすじ

益田ミリが、10代でやっておきたかった「青春」があなたの胸をきゅんとうつ!哀愁のエッセイ&コミック。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 学生時代、青春を謳歌しなかったことを悔やんでいる人は多い、ということを中年になってから始めたネットではじめて知った。

    暗黒の学生時代、と彼ら彼女らは記す。
    特に恋愛関係は縁のない人には全くないようで、彼ら彼女らは自分とは真逆の、リア充だった人たちへの冗談めいた呪詛も多い。
    かく言う私も学生時代異性と話した事は数回だけ、という猛者である。

    この本の著者、益田ミリさんは、友達には恵まれたが、恋愛方面はからっきしだったそうだ。
    ファーストフード店でデート、彼の制服を借りる、ティファニーをもらう、放課後の告白、ペアルック、制服のほつれを縫ってあげる、自転車に二人乗り…
    全部憧れて、日々妄想していたけれど叶わなかったのだそう。
    自転車に二人乗り、なんて、BUMP OF CHICKENの『車輪の唄』の世界じゃないの!♪あのとき 君は〜♪の‘君’がいなけりゃ話になんないよね。と苦笑しながら読んでいくと、あることに気がついた。憧れって、全部外からやってくるものなのだと。

    少女マンガやドラマ、友達の話。
    自発的に、というより、影響されてムクムクと沸いて来るものなのだ、憧れって。

    ミリさんがこの本の内容を連載していたのは39歳から、41歳までの間のこと。
    中年の入口、というか、学生時代の自分からするともう立派な中年である。

    でも、ミリさんは未だにやり残したことのある気がする青春を自嘲しつつ、そんな自分を受け入れ、現在を慈しむ。

    あの時代、外からきた‘憧れ’は‘憧れ’のままに、人生で今まで着々と作り上げてきた‘自分’を尊重する姿が清々しく感じる。爽やかな諦念だと思う。

    私もアラフォー。立派な中年である。
    偶然にもこの作品を書いていた頃のミリさんと同じ歳。
    彼女のように「いつか本当の年齢に、わたしの心が追いつく日がくるのだろうか?なんとなく、一生追いつけない気もするのである」p123、と感じる。

    みなさんもそうだろうか?

    年齢を重ねてゆく体と、追いつけない心とを持て余しているのだろうか。

    この作品のあとがきではじめて知ってショックを受けたのだけれど、バカボンのパパも41歳なのだそうだ。
    もっとおじさんだと思っていた…。

    あんな境地には一生辿り着けないだろうけど、迷いながら、諦めながら、それでもまだ見ぬアラフィフに憧れながらこう思っていたい。

    「たぶん、これもいいのだ。」あとがきより。

    • 5552さん
      高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんな、とミスチルも歌ってますもんね。
      ブクログを始めて良かったことは、本について他の方とお話でき...
      高ければ高い壁の方が登ったとき気持ちいいもんな、とミスチルも歌ってますもんね。
      ブクログを始めて良かったことは、本について他の方とお話できることと、本を通じて色んな方の考えを知ることが出来ることです。
      いかに自分が甘えた考えを持っているのかが分かります。
      ご自分の話、全然かまわないですよ。
      今、macomi55さんとお話できて良かったです。
      2021/06/17
    • Macomi55さん
      こちらこそ\(^o^)/。
      私は口下手なので、文章でお話するほうが自分の気持ち伝えやすいです。
      ブクログを通じて本とかそっからはみ出たお話と...
      こちらこそ\(^o^)/。
      私は口下手なので、文章でお話するほうが自分の気持ち伝えやすいです。
      ブクログを通じて本とかそっからはみ出たお話とか出来て楽しいです。これからも宜しくお願いいたします。
      2021/06/17
    • 5552さん
      あ、私もです。
      文章の方が思ったこと言えます。なんなんでしょうね、これって。
      こちらこそ、よろしくお願いします。
      あ、私もです。
      文章の方が思ったこと言えます。なんなんでしょうね、これって。
      こちらこそ、よろしくお願いします。
      2021/06/17
  • 主に高校時代、著者がやりたくてもやれなかったことを回想したエッセイと漫画からなる作品。女性側の話だけれど、男が読んでもキュンキュンしてしまった。とても懐かしい気分を味わえる。

  • そういうシチュエーションに強い憧れを抱く人がいるということは理解できた。そういうシチュエーションを経験してきた人のスピンオフも読んでみたい。

  • あー、分かるー!の連発。私もこんな青春時代を送りたかったなあ〜。今現在にやっても多分意味がない、あの若い時代だからこそやりたかったんだろう。可愛いエッセイでした。

  • ”手遅れだらけのモテないわたしの青春もまた、なんか愛しくもあったりしてね”(P69から引用)

    ”友達の結婚式に招待されても、友達がわたしの人生の主役になる瞬間はない。わたしの人生の主役は、どんなときも、やっぱりわたししかいないのだ。”(P82から引用)

    ”休み時間に男子たちとふざけてじゃれあっている女の子ことがまぶしかった。まぶしすぎて、そういう子たちのことが、ちょっと嫌いだった。”(P129から引用)

    ---------------------------------------

    脱力感たっぷりのエッセイのなかに、はっとするような名言が何度もでてきた。中学や高校生のとき、青春的なことをしてこなかった(できなかった)益田さんの想いに共感しながら読んだ。

    昔の自分を卑下するのではなく、ちょうどいい具合に笑い話にしてくれる益田さんはすごい。
    当時うまく立ち回れなかった自分を恥ずかしく思いつつも、過去があるからいまの自分がいるわけで、頭ごなしに否定するんじゃなくて、笑いながら全部包み込むような感じ。

    イケてない10代を送ったひとは、イケてる青春を過ごしたひとが知らない感情を持っている。それがいいことなのかはわからないが、そういうこと。

  • (2023/12/8読了)
    漫画は挿絵程度のエッセイ。
    益田ミリさんは私より6歳年下。同じような時代に青春を送っている。
    この本は、益田ミリさんが39歳から41歳にかけて書かれたもの。自分はその頃同じように思っていたのだろうか…
    確かに、その歳にどのように付き合って行くか戸惑って、何を着たらちょうど良いのか考えていた気がする。タブタブのワンピースを着たら、ご懐妊?と思われるか思われないかの年頃。
    還暦を迎えて今、そんなのどーでも良くなったし、若い頃にやり残したことを振り返ることもなくなった。これがおばさん化(お婆さん化)というものかもしれないけど。
    思い悩む、振り返って心残り、手遅れと思う、それはそれで良いんじゃないかな。そういう年代があって今がある。

  • ティファニーのオープンハートをいまだに欲しいのではなく、それを首からぶら下げている青春に憧れている。

    これはよくわかる!
    オープンハートではないけれど、学ランを借りる、一緒にファミレスで勉強、イヤホンを片方ずつ(大学じゃなくてもっと若い時がよかった!)とかはわかる。
    でも、私が“10代にやっておきたかったーっ”と思うことはなんだろう?
    女子校だったからか、ミリさんとはかなり視点がズレている。中学は言ってもそこまでじゃない。

    今、もうできないな、やりたいけど怖くてやりたくないなと思うことは昔からやりたくない。

    中高時代、もっと気楽に構えてたら、私の青春も広がってたろうなーと根本的なことを思う。笑
    これだ。。

  • 学生時代に憧れた彼との青春。
    あ~、私も色々憧れてたなぁ。
    彼と一緒に勉強、調理実習で作ったお菓子をプレゼント、第2ボタン。
    学生時代を思い出し懐かしかった♪
    青春がいっぱい詰まってます。
    いつもながらミリさんの語りが面白かった!
    クスッと笑えて癒しの一冊です。

  • 楽しく読めました

    ソーイングセット!懐かしい〜!

  • あ、私この人のエッセイ好きだな。
    初めて益田ミリさんのエッセイを手に取ったのですが
    序盤でそう思いました。
    こんな青春送りたかったー、共感しました。
    こういう、若いうちしかできないこと
    に、人はワクワクしますよね。
    若いって素晴らしい。
    あと可愛い子しか経験できないことってあるよね、
    っていうのにもとても共感。
    制服姿の高校生みると私もウキウキします。
    今しかできないことってなんだろ?って考えてみました。
    着る服が絞られる、とか、アラフォーにならなきゃわからない価値観も同時に学んだ気がしてやっぱ今できることは今しとかなきゃの気持ちはより大きくなりました。

全63件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に『欲しいものはなんですか?』『みちこさん英語をやりなおす』『そう書いてあった』『今日の人生』『しあわせしりとり』『すーちゃん』シリーズ、『マリコ、うまくいくよ』『僕の姉ちゃん』シリーズ、『スナック キズツキ』『ツユクサナツコの一生』『ヒトミさんの恋』『ランチの時間』等がある。

益田ミリの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×