- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784046532695
作品紹介・あらすじ
真珠湾奇襲を報じたラジオ塔、皇紀二六〇〇年を讃える長野「文化柱」、帝国に叛旗を翻した漁民・炭鉱労働者たちの記念碑…。大日本帝国の栄光と、華やかな大正文化。太平洋戦争の敗北、そして奇跡的な戦後復興…。時代のうねりと戦争の惨禍を伝える20世紀の遺跡から、日本の「今」を考える。
感想・レビュー・書評
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日本としては仕方のないことかもしれないが、20世紀遺跡=戦争の記憶として語られるのは何とも物悲しい。かといって忘れてはならないのは自明。本書を読んで改めて痛感したことは1つ。形ある遺跡はそれ自体が歴史を語り継いでくれるが、虐待や抑留は人しか語り継げないということ。抑留経験者や遺族の間では、8月23日を「シベリアデー」と呼んでいるそうだが、広く一般には認知されていない。なぜか?それこそ「やましき沈黙」に等しくないか?
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≪目次≫
はじめに
第1章 深く眠れぬ死者
帝国臣民たちの墓標ー東京・仮埋葬地
生きている戦艦ー北九州・軍艦防波堤
帰還ー舞鶴・引揚桟橋
国と骨ー東京都小笠原・硫黄島
震災と竹槍ー愛知・東南海~三河地震
第2章 輝ける暗渠
日本史のなかの造船ー三浦半島・浦賀ドック
陰りゆく漆黒ー福岡県飯塚・ボタ山
朝鮮人たちの墓標ー京都府丹波・マンガン鉱山跡
未完の蜂起ー秋田県大館市・花岡事件
第3章 帝国の疵跡
幻のアメリカー渋谷・ワシントンハウス、横浜・根岸競馬場
帝国の科学者たちー川崎市・登戸研究所
原爆のレッスンー大阪/愛知・パンプキン爆弾投下地
大陸と帝国ー大連/旅順・侵略と崩壊の道標
第4章 言葉と声の墓標
落語と国策ー東京都台東区・はなし塚
今も心に流れるー渋谷・春の小川
「耳」の愉しみー関西・ラジオ塔
皇紀の蔵、夢想する塔ー長野・文化柱、宮崎・八紘一宇の塔
第5章 民はいつまでも、生きることに夢中だった
牛車と零戦ー岐阜・各務原飛行場
帝国の叛徒たちー富山県魚津・米騒動
南海ホークス!ーミナミ・大阪球場
生きぬく力ー和歌山県美浜町・アメリカ村
あとがき
≪内容≫
毎日新聞記者の連載記事のまとめたもの。20世紀の歴史を残す土地、モノに寄り添いながら、どちらかというと、「負の遺産」を語ったもの。
ちょっと饒舌かなと思いますが、こうした遺産が日本各地(普通の人の入れないところを含めて)に残り、それを紹介してもらえたのは、いいかな?と思います。