ルポ路上生活

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046808202

作品紹介・あらすじ

果たして貧困とは何なのか?
2021年夏、オリンピックを横目にホームレスと共に生活を見つめた衝撃の記録。

一日七食のホームレス!? 貯金ができるカラクリとは?

寝床探しから襲いかかる災害・犯罪の恐怖まで、家に帰らず2カ月間の徹底取材。
大阪・西成のドヤ街で暮らした日々をまとめた『ルポ西成』で鮮烈デビューを果たした著者が、《生活》の常識を根底から問い直すドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 2021年の日本経済は、前年に続きコロナ禍で大荒れだ。
    その煽りで、どうしようもなく路上生活、いわゆるホームレスになった者もいるだろう。

    著者は、ホームレスの実態がどうなのか、自ら東京の各地で2021年7月23日〜9月23日までの約二か月間をホームレスとして過ごした。

    どうやったら暑さを凌いで、少しでも快適に路上生活できるか、どこで炊き出しをやっているのか、どの地区が雨風凌げるのか…などなど。

    やはり、これも情報がないと何も分からず、食べものにもありつけないということ。
    そして、ホームレスであってもコミュニティーがなければ、上手く生活できないのだろうということ。

    なりたくてなっているわけではないが、抜け出せない人。
    すべてを諦めている人。
    確かに一括りにして、ホームレスはこうである…とは
    言えない。

  • 社会問題を考えるヒント。ホームレスは減少傾向だが,見えない生活困窮者が増加。若者の貧困化も見逃せない。生活保護より路上で自立生活を望むなど生き方は千差万別。※保険証無→無料低額診療

  • 國友さんがとうとうホームレスの世界に飛び込んでしまった…笑。
    働くのが好きではないから将来的にホームレスになるかも、とリハも兼ねて自らホームレスに。
    ルポや特番ではホームレスって悲観的な印象を得ますが、いやいや彼らはとてもたくましい。
    炊き出しツアーに行ったり時々お小遣い稼ぎをして、あとは好きなように過ごす。年金や生活保護もからめた知られざるホームレスの生活を知ることができます。
    手持ちのお金が少なくて家賃が払えない…好きなことにお金を使うために家を持たない選択をした人もいる。
    もちろん情報が得られなかったり、体や心の問題が原因でホームレスにならざるを得なかった人もいる。
    淡々と書かれているホームレスの生活ですが、時々國友さんの心の動きが描かれているのもとても良い。


  • 同じ立場、視点に立たないと分からない世界を見せてくれます。こういう本大好きです。

    おわりに に書かれている"ホームレス生活中と元の生活に戻ったときでは表情が違う"といった一文を読み、妙に納得しました。あと黒綿棒のあだ名は笑いました。

  • 29歳の筆者が3ヶ月間ホームレスとなって暮らした日々のルポ。

    読む前は、荒れた暗い気持ちになってしまうかもと心配したが、そんな気持ちにはならなかった。

    わたしが想像すら出来ないような辛いこともたくさんあるだろう、けれど意外と彼らは逞しく生きている。
    都内にいれば、炊き出しがあるし、冬になればボランティア団体から寝袋や防寒着をもらえたりする。

    中途半端な田舎よりも大都市にたくさんホームレスがいる理由がここにある。支援が手厚いのだ。
    わたし自身としては、なかなかそういうボランティア活動をしようという気持ちが起きず、はなはだ後ろめたい気持ちになった。

    わたしの狭い行動範囲ではホームレスを見ない。炊き出しに遭遇したこともない。近くにないから遠い存在なのかもしれない。
    が、排除建築は見たことある。
    なぜこのベンチにこんな柵が?と不思議に思っていたのだが、そういうことだったのか。

    インドに通っていたとき、様々な人を見た。
    スラムで生活する人、路上で生活する人。
    過酷な暮らしではあるだろうが、どんな人にも場所があった。
    差別は厳然と存在していたけれど、排除されることなく、場所はあった。

    どんな境遇の人も認められて生きていける世界になればいいと思う。

    どんな気持ちを持って生きていくか、ということが大事だと思った。
    それは路上生活者だけでなく、全ての人に言えることだ。

  • 興味深い
    いろいろな人がそれぞれに生きているんだなぁ
    食事などの支援が思っていたより色々あって驚き

  • これ読むと路上生活できてしまうのではないかと思ってしまいそうです。東京23区に居れば色々な支援が有って、餓死したり凍死したりすることはそうそう無さそうです。冬も防寒着と寝袋がもらえるので寒くないらしいし、日替わりで色々なところで炊き出しがあるらしく、食いきれないレベルらしいと聞いて衝撃でした。
    まあ、だからと言ってそういう生活したいわけではありませんが、昔は自分もホームレスになってしまったらどうしようと怯えていましたが、変な話なんとかなっちゃいそうですねえ。

  • ★★★
    今月5冊目
    いや、凄いよこの人は。2ヶ月実際ホームレス生活をしてみたというルポ。
    とりあえず都内にいる限り炊き出しはあるし新宿なんてサイコーの住処らしい、
    稼ごうと思えば缶広いとか色々あるし、教会から食料や寝袋、現金ももらえるし生きているそう。

  • 事実に即した、というべきか都心に住まうホームレスの実態を解き明かしたルポとして、新たな情報への知見を得るものと一般には捉えるのだと思うが
    地名があり、人があり、(商業出版としての業ゆえかもしれないが)そこに物語があるのだと思うと、時事問題を主題にした(文学賞で取り上げられるような)小説の読後感に似たものを感じた。

    個人的な嗜好として、こういう淡々とした語り口が好みだということに過ぎない気もするし、体当たり的な取材をもとに物語然としたものを量産することはまた異なる段階の課題だと思うが、本著の登場人物たちへの記憶はフィクショナルな衣装を纏いながら長く息吹き続けると思う。

  • 2ヶ月間、ホームレスとして路上生活を送った
    体験記です。

    まさに究極のノンフィクションです。

    ホームレスたちの視点からすると、生活保護を
    受けるのはホームレスの「成れの果て」らしい
    のです。

    つまりホームレスは生活保護者に対して、「あ
    あはなりたくない」と思っているそうです。」

    生活保護を受給するためには家を借りなければ
    ならない。それには当然家賃が必要ではあるが、
    住環境はフロトイレ無しなので、ホームレスと
    変わらないそうだ。

    また生活保護は貧困ビジネスの餌食になる恐れ
    もあり、かたくなに生活保護を拒むホームレス
    もいるそうです。

    ある著名人が「ホームレスなんて支援するな」
    と言って炎上したことがニュースになりました
    が、確かに色々な手厚い保護があり、ホームレ
    スが飢えることはないようです。

    むしろ食べきれないくらいの食料配給もありま
    す。

    それを「やりすぎ」「甘やかしている」とみる
    か、本当に必要としている人に届けるには、そ
    のくらいしないといけない、とみるかは意見が
    分かれるところです。

    ただ読んでいて感じたことは「ホームレス」に
    陥ったのではなく、その生活を自ら選んでいる
    人が一定数いることです。

    その時には「幸福って何?」と考えさせられる
    一冊となります。

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著者プロフィール

1992年生まれ。栃木県那須の温泉地で育つ。筑波大学芸術専門学群在学中よりライター活動を始める。水商売のアルバイトと東南アジアでの沈没に時間を費やし7年間かけて大学を卒業。2018年、西成のドヤ街で生活した日々を綴った『ルポ西成 ―七十八日間 ドヤ街生活―』(彩図社)でデビュー。著書に『ルポ路上生活』 (KADOKAWA)、『ルポ歌舞伎町』(彩図社)がある。

「2023年 『ルポ路上生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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