母親を陰謀論で失った (シリーズ立ち行かないわたしたち)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (168ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784046819468

作品紹介・あらすじ

noteで話題となった記事「母親を陰謀論で失った」に大幅な脚色を加え、コミック化。
親子愛の限界を問う、胸えぐる衝撃作。

【あらすじ】
「2020年春。新型コロナウイルスのまん延により、私たちの生活は大きく変わった。
それは生活だけでなく、強固だった人間関係にも影響を及ぼした」

東京で妻と暮らす息子・ナオキ、地方で父と暮らす母親・ケイコ。
どこにでもある仲の良い親子だったふたり。
コロナ禍の度重なる社会不安により会えない日々が続くが、お互いを想い合って過ごしていた。
しかし、ある時期から母親が怪しい動画を送りつけてくるようになり―――。

陰謀論を信じる母親に揺り動かされる息子とその家族たち。
「母親が信じる陰謀論の正体とはなんなのか?」「陰謀論を信じている人はどんな人なのか?」
そして「なぜ母親は陰謀論を信じてしまったのか?」
その真相に迫る過程を息子視点で描いた濃密なセミフィクション。

【「シリーズ 立ち行かないわたしたち」について】
「シリーズ 立ち行かないわたしたち」は、KADOKAWAコミックエッセイ編集部による、コミックエッセイとセミフィクションの新レーベルです。本シリーズでは、思いもよらない出来事を経験したり、困難に直面したりと、ままならない日々を生きる人物の姿を、他人事ではなく「わたしたちの物語」として想像できるような作品を刊行します。見知らぬ誰かの日常であると同時に、いつか自分にも起こるかもしれない日常の物語を、ぜひお楽しみください。

感想・レビュー・書評

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  • 「2020年春。新型コロナウイルスのまん延により、私たちの生活は大きく変わった。
    それは生活だけでなく、強固だった人間関係にも影響を及ぼした」
    東京で妻と暮らす息子・ナオキ、地方で父と暮らす母親・ケイコ。
    どこにでもある仲の良い親子だったふたり。
    コロナ禍の度重なる社会不安により会えない日々が続くが、お互いを想い合って過ごしていた。
    しかし、ある時期から母親が怪しい動画を送りつけてくるようになり―――。
    陰謀論を信じる母親に揺り動かされる息子とその家族たち。
    「母親が信じる陰謀論の正体とはなんなのか?」「陰謀論を信じている人はどんな人なのか?」
    そして「なぜ母親は陰謀論を信じてしまったのか?」
    その真相に迫る過程を息子視点で描いた濃密なセミフィクション。
    noteで話題となった記事「母親を陰謀論で失った」に大幅な脚色を加え、コミック化。
    親子愛の限界を問う、胸えぐる衝撃作。
    かつてナオキが、愛した母ケイコは正義感が強く、優しい母親だった。ナオキは、上京してからも母ケイコとの関係は良好で、お互いを気に掛け合い信頼し合う親子関係が続くと思っていた。
    だが、母ケイコの友人クミコが教えたある動画が、ナオキとケイコの親子関係を決定的に変えてしまう。
    ケイコは、「中国がコロナウィルスを意図的にばら撒いた」「中国やユダヤなど世界を牛耳るディープステートが、コロナウィルスを使い人口を削減し資源の独占を狙っている」「ワクチンを打つと不妊になる」「ワクチンを打つと遺伝子を書き換えられる」などの陰謀論動画を見過ぎて鵜呑みにしてしまい、持ち前の正義感と子供たちを守るため、LINEで陰謀論動画やコロナウィルスに効果的とされる薬やお茶などを根拠もなく勧めるようになった。
    エキセントリックに陰謀論を力説する母ケイコにショックを受けて、ナオキは理性的に反論してケイコを正気に戻そうとするけど、逆にケイコを刺激し、険悪になってしまう。
    ケイコを理解するためナオキは、自分でも陰謀論動画を見てみてLINEやTwitterの陰謀論者トークルームで実際に陰謀論者の発言を聞き、彼らはコロナ禍の不安に怯えながら家族を守るために様々な情報を集め足掻いている普通の人であることを知る。
    ただ、情報の洪水に翻弄され、根拠を確認せず仲間たちで共感し合い陰謀説やデマを共有して信じ込むエコチェンバー現象にハマり、陰謀説を否定する家族や友人を「お花畑」「目覚めていない人」と否定して信じ込むドツボにハマっていく。
    陰謀説にハマってヒステリックで狂信的になっていく母ケイコの現実を受け入れられず以前の親子関係を取り戻すため心身ともにすり減らし奮闘するナオキの葛藤と苦悩、ナオキや夫のために良かれと思い自分が正しいと思う陰謀説などをナオキたちに受け入れられず苛立ちながらも陰謀説を信じ込む仲間たちを居場所にドツボにハマっていく母ケイコの闇、生活を成り立たせるため心身共にすり減らしながら妻ケイコが陰謀説を力説するのを否定せず刺激しないようにしているナオキの父の苦悩がリアルに描かれているからこそ、お互いに気を遣い気にし合い守りたいだけなのにここまですれ違い断絶してしまった親子関係が悲し過ぎる。
    またコロナ禍で、対面で人と触れ合う機会が減った時期に、手軽に悩みや意見を共有できるSNSの情報リテラシーにより、周りの人間関係が良くも悪くもなるSNSの諸刃の剣の面。
    一度でも陰謀説やデマが拡散すると、修正する情報より陰謀説などが目立ちすぎるYouTubeやSNSの悪しき部分。
    家族の命と絆を守るために情報リテラシーと「身近な人を諦める」見切りがいかに大事か、収益化の為にはセンセーショナルな陰謀説などを動画で紹介するブラックYouTuberに怒りが湧くセミフィクションコミック。
    まずは、高橋洋一や神都真Qの動画を見ないように、おススメします。

  • この漫画はぺんたんさんのケーススタディなので、ぺんたんさんのお母さん以上のことはわかりません。(専門家が監修したりして、別の事例が紹介されたり、認知バイアスとかの解説が付けばもっと良かったかも!)
    陰謀論は新興宗教と同じだなぁというのが率直な感想。一旦信じ込むと、確証バイアスやバックファイヤー効果が働いて、ますます信じ込むようになると思います。その過程が何となく見える。
    陰謀論を信じてる人への対応として、ぺんたんさんのお父さんの対応が正解なんじゃないかなと思いました。
    とはいえ、幸いなことに私の周りには誰もいないので、安全なところから言える意見に過ぎないかもしれません。
    ハンナ・アーレントも古くから指摘していることですが、人は不安になると、その不安を解消するために本当が嘘かわからない情報にすがろうとする。まさにその好例だと思いました。真偽の程がわからない情報について、信じるのでもなく否定するのでもなく、「保留する」という態度をとるのが難しい人もいるんでしょう。人によってコロナに対する恐怖の感受性も違うし、難しいですね。
    最近福田村事件の映画も見たので、興味深い話題でした。

  • タイトルの重苦しい印象と比べると、中身が薄いのでさらっと読める。陰謀論者になってしまった母親と同居する、父親のメンタルが心配。大丈夫なんだろうか…。
    陰謀論者に関しては、何が彼らをそうさせるのか、彼ら自身の問題なのか、それとも家庭環境や社会にも責任があるのか、はたまた心の問題なのか、であればそのような心の動きは何故起きるのか、人間の歴史の中での類似例と共通点、などなど、知りたいことがたくさん出てきて知的好奇心を擽られた。関連書籍を読もうと思う。

  • コロナ禍が招いた人間関係の不和。
    不和なんてものじゃない。
    当事者でなければ分からないと思うから、安易に何も言えないけど、
    家族が陰謀論にハマってしまったらと思ったら怖すぎる。
    とっかかりは家族への愛情や心配なところがまた辛い。
    素人の言葉は届かないので、洗脳を解く専門家の力が必要。

    コロナ禍で直に会えなくなり、言葉が届きづらくなった。
    一方で、SNSやらでは溢れ出す情報。
    自分も心配性だし他人事ではない。

    辛い読書でした。

  • 人、それぞれ見ている世界は違い、同じものを見ている人はそれぞれいない。 どちらにとっても、押し付けになったので、崩壊した。 受け入れなくても、ただそういう事もある、そういう事をした理由を理解したら、主人公はこうならなかったように思う。

  • 「身内に陰謀論者がいる」のがどういう状況かがわかる本。解決策は載ってない。そんなに簡単ではないということがわかる。
    陰謀論に「はまる」のはどうしてなのか、ということを考えていて、著者の方はえらいなと思った。
    4コマ形式で絵もセリフも見やすく、要点もまとまっていてサクサク読める。

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著者プロフィール

30代男性。陰謀論にハマった母親との出来事を赤裸々につづった『母親を陰謀論で失った』(note)がバズる。現在は会社員として働く傍ら、陰謀論で家族を失った人々との交流を図っている。

「2023年 『母親を陰謀論で失った』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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