装いの王朝文化 (角川選書 573)

著者 :
  • KADOKAWA/角川学芸出版
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本棚登録 : 53
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784047035751

作品紹介・あらすじ

衣服は、いつの時代も、着用している人物の位や性格など、様々な情報を示してきた。『源氏物語』『枕草子』などの作品の記述を手がかりに装束の記号性を読み解き、作品の新たな解釈と古典を読む楽しみを味わう!

目次
第一章 社会の呪縛と衣が語るもの
第二章 狩衣と恋が語るもの
第三章 直衣と普段着が語るもの
第四章 人物の衣が語るもの
第五章 時のなかの衣が語るもの
第六章 着替えの衣が語るもの
第七章 親子の衣が語るもの

感想・レビュー・書評

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  • 源氏物語、蜻蛉日記、枕草子などから、当時の貴族の衣服に着目して、ある状況において、衣服が持つ意味などを読み解いている。

    衣服の色、素材で表される社会的地位、恋愛時の狩衣、直衣でも状況によってフォーマル、カジュアルになったりといったエピソードが散りばめられている。

    蜻蛉日記の道綱母が裁縫が得意であり、兼家が自分の仕立てた服を着て輝いている様子と惨めな自分を対比して書くことで、自分の承認欲求を満たしていた、だったり、源氏物語の髭黒の描写が、実はファッショナブルな髭黒が、物語では玉鬘の視点で書かれているため、いい印象がないという読み解きが面白く、ただ現代語訳を読んでるだけだとわからない部分だと感じた。

    当時の衣服は、重ね着なので、時間がかかると思っていたが着替えが意外と素早くできたことや、十二単の単は下着のことだとかの豆知識も楽しめた。

  • 蜻蛉日記に関心がある人はぜひ読んでほしい。着目点が増えて、もっと面白くなると思う。
    兼家と心が通わなくなった道綱母に残された唯一の矜持は、装束を整えることだった。この考察を読んで、当時の装束が持つ意味合いの重さを感じた。

    王朝装束というと装束の色合わせなど見た目の解説本が多いが、本書はそれらに加えて装束の仕立てや着替えなど「着衣としての装束」の考察が書いてあることが興味深い。

    気になるのは、当時装束の着付けはどうしていたのだろう。藤原行成が帯を解いて休んで、着付け直したことが書いてある。ここに召使は出てこないので、自分ひとりで着脱していたのだろうか。

  • 美術館に行った時に絵巻がもっと面白く鑑賞できるようになりたくて購入!面白かった!
    装束の解説だけでなく、どういった場面で着るのか、また物語・随筆の中でどのように描かれているのかという装束の果たす機能まで解説されてて勉強になりました。古典初心者でも読みやすかったです!

  • 図書館l
    予約棚にあって気になったので。
    平安文学にえがかれた装束から読み取れるもの 興味深いです

  • 非常に読みやすい。

    装いの王朝文化というので、女性の衣服が中心かと思ったら、むしろ男性の衣服が中心だった。
    狩衣は、狩りのための衣装であるだけでなく、旅の衣装であり、身分をやつしての恋の衣装。
    直衣は平服、リラックスウェアでなく、それなりの人に会い、それなりの場所にも出られる服装であったこと。
    そんな話が出てくる。

    興味が引かれたのは、仕立てや着替えの時間の話。
    仕立ては結構直前に依頼されることもあり、着替えは意外と時間がかからないものであるらしい。
    まあ、そうでなければいかに貴族とはいえ、服装も早く廃れてしまうはず。
    理屈ではそうなんだけれど、書き残された作品の引用でそれがしめされているから、面白い。

    若くなくなった道綱の母が、兼家や道綱の衣服を立派に整えることで妻としてのプライドを保っているという話が、最終章で指摘される。
    このあたりの記述、何か筆者が道綱の母に憑依した感じがするのは気のせいか?

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著者プロフィール

昭和三十一年、東京生まれ。武蔵野大学教授。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)。活水女子大学助教授、新潟産業大学教授を経て、現職。

【著書】
単著に『蜻蛉日記の表現と和歌』(笠間書院、平成十年)、『新版 蜻蛉日記Ⅰ(上巻・中巻)』・『同Ⅱ(下巻)』(角川ソフィア文庫、平成十五年)、『王朝生活の基礎知識--古典のなかの女性たち』(角川選書、平成十七年)・『王朝の恋の手紙たち』(同、平成二十一年)・『王朝文学入門』(同、平成二十三年)、『ビギナーズ・クラシックス 更級日記』・『同和泉式部日記』(角川ソフィア文庫、平成十九年)。編著に『王朝文化を学ぶ人のために』(秋澤亙氏と共編、世界思想社、平成二十二年)など。

「2012年 『王朝文学の光芒』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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